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魔法使いが転生したらそこは見たこともない科学世界でした  作者: 空宙機動兵器FSR‐13隊長機
第一章 魔法使い
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第3話 エルリットイム樹国

 光輝く空間、背景には大木がそびえる。


 その天辺に6体の小さな何かが、会談している。

(ヤミちゃんの占いによれば、明日に運命の主人が現れるんだよね。)

 水のように透き通った流れる髪を、揺らしながら喋る何か。


(その通りだよ、スイちゃん。私にとっては二度目の主人。)

 暗闇に吸い込まれそうな黒髪の何かは、水晶に映る未来の主人を覗く。


(楽しみだな~、ワクワクするぜ。)

 燃えるような深紅の髪を持つ何かは、テンション上がりまくりで落ち着きがない。


(ずっと落ち着きがないよ、ヒーくんは。)

 風のようにふわふわとした緑の髪を持つ何かは、赤に皮肉を言う。


(まあまあ、いいじゃないか。本来の力を引き出せる主人なんて、この先現れるかなんて不明だからね。)

 茶色の髪を持つ何かは、周囲に岩石を浮かせて、ジャグリングしながら喋る。


(皆、落ち着いて。運命の主人はまだ幼い身、騒いでいたらビックリしてしまうから、静かに接しましょう。)

 虹色に輝く髪を持つ何かは、皆を纏める。その発言で6体の何かは頷く。




 エルリットイム樹国 


 この国は北に位置し、国の周囲は年中、吹雪で人を寄せ付けない様に自然となっている。国内は世界樹から溢れる高純度マナで、満たされて自然なシールドのような物で保護されており、内部は温暖な気候が保たれている。


 ここに来るには、エルフやハーフエルフなど精霊魔法を扱える者と同行しなければ出入国は出来ない。ミクミとアルヴィアは2人でこの国に今到着する。フォルネルは魔国にある料理店の質が落ちていないかを、母と一緒に回っているため来れなかった。


 ケルベ、ルベロ、ベロス、の3匹は家で留守番中。


 ミクミは精霊魔法を練習する場合、母アルヴィアの精霊に力を貸してもらって発動していた。だが他人の精霊を使うと本来の力を発揮できないため、発動する魔法は不完全な弱い魔法しか発動できなかった。


 ということで、ミクミの相性が合う精霊を探しにこの樹国を訪れた。


 首都は世界樹の隣合せなので、住処などは太い幹の周囲に都市が作られ、根の内部にも地下都市として住処がある。


 街の中心にある噴水がある広場で、一休みしたあと2人は世界樹の中へと足を踏み入れる。周りにいるエルフ達は半透明な精霊たちと話をしていたり、食事をしていたりしている。何も気にせず、奥へ奥へと向かうアルヴィアとミクミは徐々に、人気(ひとけ)のないところへと進んでいった。


「ミクミ、これからね女王様に会いに行くからね。」

「女王様? 国の偉い人? なんで?」

「女王様とはちょっとした知り合いでね、ミクミを紹介したいのよ。」


 そして、世界樹内部中心にある、王宮へと辿り着き、約束があるということで門をパスして執事と思われる初老の白髪の人が案内してくれた。そして1つの扉に着くと、執事は礼をして去っていった。アルヴィアがコンコンっとノックすると、「どうぞ」と聞こえたので扉をゆっくりと開けた。


「久しぶりね、アルヴィア!」

 席に座っていた女王様と思われる人が、席を立ち出迎えてくれた。

「お久しぶりでございます、メルラーニャ女王陛下。」

 とアルヴィアがお辞儀すると、


「ちょっと、かしこまらないでアルちゃん。今は私1人だから、気軽に接して。貴方は唯一の親友なんだから。」

「分かったわ。久しぶりねメルちゃん。」

「ささ、立ってないで座って話しましょう。隣に居るのは、アルちゃんの娘ね。」


「ミクミ・フォルシーです。」

 目の前に女王様がいるのでカチコチに緊張していた。

「緊張しないで、ミクミちゃん。メルラーニャっていうの、気軽にメルさんと呼んで構わないわ。」

「はい。」

「いい返事だわ。」


 それからアルヴィアとメルラーニャは久々の再開ということもあって数時間も話していた。


  アルヴィアとメルラーニャはどういう関係なのかというと、2人ともハーフエルフということだった。普通エルフは女性しかいないが、ハーフエルフだと男性も生まれることがあるので、先ほどの執事もハーフエルフであるという。


 この王宮の半分はハーフエルフの人たちが働いている。この国以外では普通、ハーフエルフは蔑まれることがよくあるので、国や王宮などで仕事先を作っているという。この女王であるメルラーニャもハーフエルフであるので当時子供の頃、学校に通っているときはまだ、そういうハーフエルフを蔑ます習慣があった。


 メルラーニャは純血を誇りにするエルフの人たちに虐められていた時があり、その時にミクミの母であるアルヴィアがメルラーニャを庇い助けたので、親友になったという。その後、実力で頂点にたった2人は当時のエルリットイム樹国を作り変えようとして、現在に至る。


 外の国では未だに蔑まされる存在だが、故郷は作り変えることに成功したのだった。


「そういえば、ミクミちゃんはまだ精霊と契約していないんだよね。アルちゃんの手紙で見たけど。」

「そうです。早く自分の精霊持ちたいです。」

「私の精霊の力を貸して、精霊魔法を練習しているのだけど、やっぱり自分のじゃないと上手く発動できないみたいなのよ。」


「それで訪れたってわけね。とにかく、精霊と契約するには待つことのみよ。上位精霊以上はね。来なかったらまあ下位や中位精霊捕まえればいいわけだし。どのくらい滞在する気なの?」

「1週間ぐらいかしらね、あまり休みすぎると、お店の常連客さん達困っちゃうし。」

「アルちゃんの旦那さんのフォルネルさん、料理おいしいですよね。来てくれた時に作ってくれたよね、本当においしかったわ。」


 それからアルヴィア、ミクミの親子はメルラーニャ女王と別れた後、首都にある高級ホテルに女王の計らいで泊まれることになった。夜も遅いのでそのまま2人は寝たのであった。

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