1話 鏡は真実を映し出す、かも?
〜魔人界〜【サゥレスト自室】
やぁ!俺の名はリィグ。
勇者を生業に配達や土木や田植えなど幅広いバイトをして生計を立てている紛れもない勇者だ。
そんな生活をしてきた中で、かつてないほどのピンチに直面している真っ最中です助けて。
「ま、魔王様っ!お、おお、おは、おはようごじゃるましゅ〜!!」
泣きべそかいて震えながら朝の挨拶をしてきたのはメイド服をきた魔人族の少女だった。
何を恐れているのか分からんが、一つ分かった事がある。
身長は少し物足りないが、そのハンデを覆い隠すほどのワガママ果実!
そして愛くるしい泣き顔から溢れ落ちる涙腺が描くその甘美な雫道!!
さらにきめ細やかなサービス精神に乗っ取って弾き出されたこの怒涛の一礼!!!
ハッキリ申しまして、、、。
超っっっ激かわっマジタイプでっす!!結婚を前提に(ry
…ではなくて、俺の姿が魔王?だという事だ。
「あ、ああ。…おはよう。気持ちのいい朝だな。」
あ、やばい。魔王に気持ちのいい朝なんか訪れるもんなのか?そもそも何でこんな幼気な子泣かせてんの?魔王の奴普段何やってんだよはっ倒すぞ。
「…お叱りにならないのですか?今朝は早めに起こすようにとの御達しでございましたが??」
「あぁ!そうだな!その通りだ。だが少々予定を誤ってしまってな。すまん!!お前が気に病むような事は一切ないぞ安心してくれ。」
相手に不信感をあたえるな!!
思考の時間を一切あたえるな!!
配下への命令を忘れたというわけではない、敢えて私が間違ったという事にすれば誤差はさほどないはずだ。
その上で自らの非を認め、一括の謝罪をし、支配者たる威厳を損なわぬ様に相手への気遣いも忘れずにフィニッシュ!!
「……魔王様?」
不味い、一瞬で不信感持たれちまったよチキショー!
何でわけわからん状況で勇者であるこの俺が!?
魔王なんかの配下の気を慮ってやらんとならないんだ!!
こっからどうすればいいの?!?魔王って何?
ふんぞり返ってればいいのか?
ぐっへへへっ!今日も朝からお仕置きじゃぁぁ!
とか言うべきなの??わっかんないよ誰か助けてぇ!!!
「はっはっはっ!魔王は今日も元気だぞ!ちょっと顔洗ってくるな」
「は、はい?」
完っ全に怪しまれしまってる。
まずこの状況を打開するには落ち着かなければ!
洗面所が自室の奥の方にあったので確認ついでに。
「おー、鏡あるじゃない…かぁ↑↑」
一方その頃。
〜人間界〜【リィグ馬小屋】
はぁ、はぁ、はぁ〜頭がぁぁぁ!!!
私は魔王軍率いる12団大隊所属にて筆頭である魔王サゥレストである。
数千〜数万という場数を難なくこなしてきた魔王である私がかつてないほどの危機に直面しているどうしよ。
「ほらっリィグったら!いつまで寝てんのよ起きなさい!!今日は朝から討伐の依頼に行くって決めたでしょう、がっ!!!」
くっ、先程から頭がカチワレそうだというのになんなのだこの金髪女は!?
起きた矢先にピーチクパーチクキャンキャンと礼義というものがわからんのか。
あた、あたたた、あ、頭がぁ〜くぅぅ!!
…反応するのも面倒だな。
よし音波を遮断することにし…。
「ヒヒーン!」
ガキンッ!!
「でぃあぁぁぁぁ!?な、何をするこの不届きものがぁ!」
何者だこの金髪は!?いきなり馬の足を使って蹴り上げてきたぞなんて危険な金髪なのだ。
私を一体誰と勘違いしているのだ!
うっ!うっぷぇ!っうえ〜、くそぅこの吐き気一体なんなのだ病気!?
さらに付け加えるとすれば見ず知らずの人間に…人間だとぅ!?
そうだ!ここは一体何処だ?何故人間が目の前にいるのだ?
「いいから、早く顔洗って10秒で支度しな!じゃないともう一発お見舞いするわよっ。」
「ヒッヒヒーン!ブルルッ」
「くぅ、貴様覚えてろよ」
金髪に言われるまでもない事だが、確かに寝覚めは顔を洗わんとな。
小汚い水源が近くにあった。
それしかないので、それを使わざるを得なかったクソが!
ふぅむ、でもまぁやはり気持ちが晴れるな寝覚めに顔を洗……
ん?
ふと、目の前に鏡が。
「な、なぁんだコレはぁぁぁぁぁ!?」
END