第三幕 リディアナの考え
投稿が遅れた上に短いです。明日はもう少し早くに投稿する予定です。
このようなお触れが出たのにはわけがある。
リディアナが兄にある提案をしたのだ。
「レオお兄様こういうのはどうでしょう。まず、十七歳から二十五歳の男性に私の婚約者となる権利を与えます。そしてその中で、婚約者になりたいと仰ってくれた殿方たちにレオお兄様と私で試練を与え、条件をクリアして最後に残った方を婚約者とするのです。物語の中でも姫の夫となる者には試練が付き物ですから。」
「最後に残った者がどんな身分や容姿であってもいいのか?」
「はい。どのような方が残ったとしても私は受け入れます。良き夫婦となれるよう努力します。」
探るような視線を向けてきた兄の目を真っ直ぐに見つめて答えた。
「なるほど。それは面白そうだ。では、俺からは最初と最後合わせて二つ出すとしよう。良いな?」
ニヤニヤと何か企んでいるような兄を不気味に思いつつもリディアナは頷いた。
そしてリディアナの婚約者を決める大会が行われることになり、お触れが出されたというわけだ。
リディアナはこの婚約者を決める大会で彼を見つけようと考えていた。婚約者決めを逆に利用することにしたのだ。
婚約者の権利を持つ男性を十七歳から二十五歳という範囲にしたのは出会ったときに彼が4、5歳ほどリディアナよりも年上に見えたからである。
また、もうすでに若い貴族の男性は一通り素性を調べてみたが、その中に彼はいなかった。彼の服は一般市民では到底着れない物だったし、貴族の作法も知っていたので、もしかしたら没落してしまって今は貴族ではないのかもしれない可能性と他国の貴族の可能性を考えて全国民と近隣諸国にお触れを出した。
彼を見つけることが出来るかは五分五分といったとこで、そもそも大会に彼が参加するかは分からない。けれど、リディアナは彼に会える予感がした。そして彼との約束が数年の時を経てやっと果たされるのではないかという気がしてならなかった。
リディアナはもうすでにどんな試練を出すか決めている。その全て彼との思い出にまつわるものだ。参加してくれる人たちには申し訳ないが彼でなければきっとクリア出来ないだろう。何も知らずにクリア出来たとしたらそれこそ運命かもしれない。
兄がどんな試練を出すつもりなのかは分からないがきっと大丈夫。そんな不確かな確信がリディアナの中に芽生えていた。