第一話 ある日、森の中
日曜日の昼間、人里知れぬ森にいる。
全裸になるために、ここにいる。
ジジイは、外で裸になり、体から発せられるオーラが輝きを放っていた。
上司や同僚たちの負のオーラとは正反対だった。
俺は、いつも自問自答する日々の中で、突如としてやって来た一筋の光を目に焼き付けた。
ジジイの言葉が脳内で何度もささやき続けている。
俺はまず、Tシャツを脱ぎ捨てる。
1970年代、Tシャツは下着として認識されていて、外で着て人前で歩くのはしたないとされていた。
それが今はどうだ。
夏の外出は、女も男もほぼTシャツで出歩いてる。
それから、ジーパンを脱ぎ捨てる。
ジーパンはかつて、鉱夫の作業服だった。
それが今はどうだ。
世界で一番着られているズボンである。
常識は時代によって常に変わるものだ。
そして最後の砦、パンツだ。
日本では昔、ブリーフがスタンダードであったが、トランクスに代わり、今はボクサーパンツが主流である。
だが、人類は気づくだろう!
フルチンこそが原点にして頂点であることに!
おれはパンツを脱いで、空に投げ捨てた。
鳥のさえずりが聞こえ、金木犀の香りがする森の中で全裸になり、仁王立ちの状態で悦に浸っていた。
心の中にある檻が開かれ、もう一人の自分が解放されたような気持ちになった。
自然に涙が溢れ、地球に感謝した……。