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全裸王に俺はなる!!  作者: ラ・ゼン
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プロローグ

「人は見た目で判断するな」という考えの人間がいる。

 ならば、裸になるべきだ。

 服は見た目の象徴であるからだ。

ラ・ゼン(哲学者)

 スマホの目覚ましが鳴る一分前に起きた。

 二度寝を試みたが、一分後に目覚ましが鳴り響いた。

 すぐに目覚ましを切り、洗面所に行く。

 鏡の前に写る固まった目ヤニを取る事が少し快感である。

 目ヤニを取りながら、毎朝思うことが口に出てしまう。

「めんどくさい」

 社会人になってから会社を辞める事を毎日考えてる。

 こんな日が、いつまで続くのだろう。

 

 駅に向かう途中、行き付けのパン屋によって朝食を買う。

 そこには、いつも笑顔が素敵な店主が僕に話しかけてくる。

「木口さん、おはようです」

「オリバ、おはよう」

店主はアフリカ系アメリカ人のオリバ、日本の在米軍基地に所属していたが、去年から軍人を辞めて、パン屋を始めた。

「木口さん、パンが売れないねんけどどうしたらええ?」

 オリバの流暢な関西弁は、奥さんの影響だろうか?

「パンは美味しいんだけど、なんでだろうね」

 両腕にはタトゥー、身長も190近くあるムキムキな黒人は怖いからだろう。

 本人には言いにくいけどね。

「まぁ、なんとかなると思うよ」

 自分は本音を言えない事に、たまに自己嫌悪に陥る。

 だが、オリバは満面の笑みだった。

「木口さん、ありがとうです」

 人間は無垢な笑顔とサンドイッチが大好物である。

「サンドイッチ、1点、350円なります」


 会社に着いてすることは、パソコンの電源を入れてメールをチェックする。

 始業のチャイムが鳴ると朝の会議に出席して、今日行う業務内容を報告する。

 他人の業務内容など聞いても、何の足しにもならない。

 会議が終わると、洋式トイレで10分間の安息を取る。

 昼休みのチャイムが鳴ると、急ぎ足で食堂に行き、定食を食べる。

 昼休みを終えると定時まで、仕事をする。

 俺が働いてる会社は、世間では所謂、大企業に属される。

 残業も強制されないし上司も優しい。

 だけど、一つ言えるのは、仕事はつまらない。

 大企業病というべきか、分業でやるため同じ仕事の繰り返しで朝からずっと資料作成の業務を行っている。

 これを毎日繰り返すのは、はっきり言って奴隷と同じであるのだが、奴隷と気づいてない人が多いのではないか。

 大企業に入れば幸せという価値観は、崩れ去っていくものかと脳内で考えるけど、自分の好きな事をして生きていく行動は取らない。

 社畜精神が染みついてしまって、会社員という肩書を失うのを怖がっている。

 そんなことを考えてる間に、定時のチャイムが鳴った。


 家に帰る途中に、じじいが目の前から走ってきた。

 その姿に、久しぶりに体から冷や汗が吹き出し、心臓の鼓動が大きく鳴っている。

 それもそのはず、じじいは全裸でこっちに向かってきているのだからだ。

 じじいはおれの目の前に立ち、言い放った。

「君は仕事が退屈だろう?」

 心の中を見透かされたのか。

 このじじいは只者ではないと俺の直感が訴えている。

「なんで分かったんですか?」

「君の心の声が聞こえたから駆け付けたのだよ。このままの人生はもったいない」

「どうすれば良いでしょうか。この平凡で退屈な人生を変えたいです。」

「裸になれ。以上」

 俺は一番説得力のあるアドバイスをもらったのかもしれない。

 俺はじじいに感謝の言葉を述べた。

 じじいは、颯爽と去っていった。

 冷静に考えると、何者なんだ。

 だが、どんな事でも試してみるものだ。

 固定概念を脱ぎ捨てて、俺は裸になる。

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