夜のねずみ
夜の洪水
灯りを灯せ。
埋没した月
盲目の行進。
真暗の中を一人彷徨う青年。
もがけばもがくほど深くなる夜。
自分はどこへ向かうべきか。
目印が無ければ進むべき方角さえ掴めない。
ちょっと歩けばたちまち不安の芽に全身を押さえつけられる。
待つしかないのか?
ひたすらに明かりを待つしかないのか?
いつやってくるかも分からない明かりを。
青年は、じっと動かないで進み出す事を諦めたようだ。
しばらくすると次第に手先の輪郭がぼやけ、ゆっくりと確実に夜に飲み込まれていった。