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二年間  作者: 聖魔光闇
3/9

世界観

この話、執筆開始から一応の完結に至るまで、二日しかかかっていません。


なので、粗雑な作品になっていませんか?









(ああ、今日は雨か……)


 これ迄の私なら雨の日の登校は億劫以外のなにものでもなかった。確かに学校に行けば、友達とおしゃべりをしたり、楽しい事がなかった訳ではない。でも、通学途中は違う。傘をさしていても自転車に乗りながらの私は、ブレザーだって濡れたし、スカートだって濡れて気持ち悪い事この上なかった。


 でも今は違う。学校に行く、その行為・状況については何も変わらない。でも学校に行けば和君に逢える。それだけの、たったそれだけの事で、私の世界観は逆転していた。いつも夜までメールして、たまに電話で話もする。でも、それじゃあ和君の顔が見れない。抱き付く事も出来なければ、キスしてもらう事だって不可能。通学の途中で和君に会って、そこからは手を繋いで学校に行く。確かに授業中、傍に居られないのは正直不満だったけど、それは学年が違うから仕方のない事であって、当然の事だったから諦めもついた。


 たまに先生に「コラッ! 桐島、ボ〜としない!!」なんて怒られる日もあった。そんな時は、クラス中の皆が笑っていた。そしていつも毎回同じ事を言われるんだ。「加藤は授業態度も真面目だし、成績だってそこそこ優秀なんだぞ」って。そんな時は、顔から火が出る程恥ずかしかったけど、学校中が私達の関係を認めてくれていると感じる瞬間でもあった。


 そしてお昼ご飯の時、これ迄なら、友達と他愛ないおしゃべりをしながらお弁当を食べるだけだったけど、今は和君が私の作ってきたお弁当を「美味しいよ」って言いながら食べてくれる。たった二人だけで食べるお昼ご飯なのに、数名の友達と一緒に食べるお昼ご飯よりも何倍も美味しく感じられた。


 何よりも幸せなのは放課後だ。手を繋いで帰る。抱き寄せられ、頭を撫でられる。深くキスをする。そのどれもが私にとっては、とても幸せだった。まだ付き合いはじめて半年も経ってないけど、私の初めても捧げた。親友の聡子からは、「先輩は手が早すぎるよ!」なんて言われたが、私にとっては幸せを感じる行為にしか感じられなかった。


 最初のうち、と言っても二回目位までだったけど、キチンと避妊具を使用してくれてたんだけど、「こんなん着けてたら美鈴の全てがわからない」って言って避妊具の着用をやめてしまった。恐かった。もし、万が一なんて事があったら……。なんて事を頭を過ったから。でも、それも直ぐに吹き飛んだ。私も危険をおかして条件を付けたからだった。「あのね、和君……。私も和君の全てを感じたい。だからね……、えっと……、最後は私に欲しいの」って。それには和君は反対した。けど、私は諦めなかった。避妊をしてない実状、その行為は万が一の可能性を高めているのは確実だった。それがどれだけ危険で愚かな行為だと理解はしていたけど。でも、それでも、最後の最後まで和君を感じていたかったから。和君の愛が欲しかったから。何度も何度も和君にお願いして、和君の承諾をもらった。但しこれには、和君からの条件があった。


「美鈴、これから言う事を必ず守って欲しい。先ず、毎日体温を測ること。そして生理の有無を俺に報告する事。そして一番大事な事は……、美鈴、もし万が一が起こった場合、……な、……指輪が無くても一緒にいてくれる事。……、万が一なんて事、本当はあったらいけないんだ。でも、その時は、俺と一緒にお互いの親に頭を下げて欲しい」


 それは、私にとっては選択の余地がない条件だった。もし万が一が起こった場合、籍を入れろと言われているのだ。不安だった。それと同時に嬉しくもなった。和君が私を受け入れてくれるという現実を目の当たりにしたから。


 でも、その時から私は毎月が不安で、恐くて、期待もあった。生理がきた時は安心もしたけど、絶望も同時に味わった。和君との行為が、恐怖と期待の矛盾したものに変わっていた。それでも私は、和君が「やっぱり着けるよ」と言ったのを何故だか知らないけど拒否していた。


 和君が私の世界の全てで、和君の全てを受け入れる事が、私の幸福の全てに変わっていた。恐怖や不安が無かったなんて事はない。正直、恐かった。一日に何度も熱を測る習慣さえついていた。体温計を持ち歩き、学校でも、通学中でも体温を測るようになっていた。でもそれは、恐怖や不安だけではなく、期待や渇望も含まれた行動だった。


 毎日、私の作ったお弁当を美味しそうに食べてくれる和君がいて、毎日、手を繋いで通学して、毎日、キスをしてもらって、時々、本当に危険を避ける事の出来ない行為をして、その全てが私の幸せで、私の世界の全てに変わってしまっていたんだ。





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