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二年間  作者: 聖魔光闇
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はじめての恋

キーワードを見てもらえばおわかりの通り、R18との境目に近い際どい描写があります。


また、私(聖魔光闇)は男にもかかわらず、主人公を女の子に設定しています。


細かい描写は、意図的に描いていませんので

、登場人物やその他の風景は読者の皆様の脳内描写にて想像しながら読んで下さい。


また、私は”恋愛小説”という分野を大の苦手分野としています。(これは読み書きにかかわらずです)


そんな作者の苦手分野小説ですので、きっと至らない点が多々あると思いますが、そこは温かい目で見守って下さると幸いです。


全九話の連載短編小説ですが、現在、推敲の途中でいきなり一話だけ放り投げますので、更新は不定期とさせていただきます。


また、言い訳になるとは思いますが、この作品は、私のリハビリ作品でもありますので、以前の聖魔光闇をお知りの方には、聖魔光闇ってこんな作品書く人だったっけ? と思われるかもしれませんがご了承ください。



(愛って何? 恋って何? わからないよ。そんな得体の知れないもの……。でも何なの? この胸のドキドキは……。ち、違うの。きょ、今日はこんな展開を期待してたんじゃないのに)


 放課後、私は先輩に話があるからと言って、一緒に帰ってもらう約束をした。話とは言うでもない。友達の聡子さとこの事だ。聡子から、先輩が私の事どう思っているか聞いてきて欲しいと頼まれたのだ。私個人としては、聡子自身がキチンと先輩に告白して、その反応をみるべきだと思った。けど、聡子は恥ずかしさのあまり、そんな事は出来ないと言って、私に先輩の気持ちの確認を託したのだった。


 それがどうしてこんな事になってしまったのか私には見当もつかなかった。帰り道、普段なら通り過ぎる駅の改札を出て、先輩に聡子の事を聞いてみるつもりだった。それなのに……。


「なぁ、今、俺、彼女いんだけど、好きなが出来たから、別れて欲しいって頼んだんだよ。そしたらさ、彼女が、そのが、加藤君の事好きだって言うなら考えてもいいよ。って言うんだよ。なぁ、桐島きりしまは俺の事好きか? それとも嫌いか?」


 私が聡子の話を持ち出す前に、先輩からそんな事を聞かれてどう答えて良いのかわからなくなってしまったのだ。これ迄の十八年間、私はデブブスで通ってきた。高校を卒業するまでの間に、告白を受けた事など一度もない。それがどうして、私なんかにこの先輩はこんな話をするのだろう? と疑心暗鬼に囚われた。


 もしかして私がモテなさそうだから、りたいだけで、こんな話を持ち出したのか? と疑ったりもした。しかし先輩の目は真剣だ。


「桐島の答え次第によっちゃぁ、俺は今すぐにでも彼女と別れる。俺の事を好きでいてくれるなら、一週間以内に必ず彼女と縁を切って、桐島だけの彼氏になると約束する。……どうだ? 直ぐには返事が出来ない質問なのは百も承知だ。でも、今すぐ結論を聞かせて欲しい」


 先輩の目は真っ直ぐに私の目を見て話をしてくる。聡子の話をしなくちゃいけない。そうはわかっているのに、聡子の話を切り出せない。しかも、先輩は私からの答えを聞くまでは、私を帰すつもりはないようだった。


(ドキドキが止まらない……。聡子の事、ちゃんと聞かなきゃならないのに、先輩の目を見てると、聡子の事を切り出す勇気が出ない。どうしよう……。今まで、こんな気持ちになった事なかったから、どう答えたら良いのかわからないよ……)


 私の気持ちを察したのか先輩が突然、「桐島、お前、自分の事、デブでブスなんて思ってるんじゃないのか? それならば心配は無用だよ。桐島は可愛い。俺から見ればすごく可愛い。確かにぽっちゃりしてるけど、そこが更に可愛いと俺は思ってる。なぁ桐島、答え聞かせてくれよ」なんて言い出したものだから、私はもう頭に血が昇っちゃって「す、好きです」って無意識に答えてしまっていた。もう聡子の事など忘れていた。先輩の真剣な眼差しに見とれるようにして、そう答えるのが精一杯だった。


 それを聞いた先輩は、突然、私を軽く抱きしめ「ありがとうな」と言った後、「必ず今の彼女とは別れるから!」そう言って、私を解放した。


 これ迄の十八年間が嘘のようだった。聡子には悪い気もしたが、聡子が私に託したのがいけなかったんだ。と自分に言い訳をした。



 それから五日後、先輩から「彼女と別れたよ。一発思い切り殴られたけど、これからは桐島と一緒にいられるんだって思うと、仕方のない事だって割り切れたよ」そう言って嬉しそうに笑う先輩を見て、私は私の選択が間違えていなかったと確信したんだ。そりゃぁ、私も聡子に報告した時、聡子にいっぱい怒鳴られたけど、先輩の笑顔を見てると、そんな事、どうでも良い事に思えたんだ。


(ねぇ先輩? 今は恥ずかしくて聞けないけど、私の何処が可愛いの? ぽっちゃりしてるって言ってたけど、やっぱり私はデブだよ。体重計に乗っても、やっぱり自覚してしまうもの。ねぇ先輩。いつか私が聞けるようになったら、聞いても良いかな? まだ会って間もない私を可愛いと言ってくれた事。ロクに話もした事のない私を好きになった理由を聞いても良いかな? ねぇ先輩?)


 そんな事を思いながら先輩の顔を見てると、ふと前髪を持ち上げられたと思うと、額に軽くキスをして優しく抱きしめられた。


「いきなり唇を奪ったりしたら、ただりたいだけの告白だったんだ。なんて思われたら嫌だから、今はおでこにキスで許してね」


 そんな先輩の笑顔を受け止め、私ははじめて女に生まれて良かった。って思ったんだ。


「これからは、登下校、一緒にしようね」


 そう言ってもう一度私の額に軽くキスをすると、手を繋いで歩き出した。


(うん。こんなドキドキははじめてだけど、先輩の事、大好きだよ)


 そう思って、先輩の手を強く握り返した。その掌が汗ばんでも、離す事なく強く握りあっていた。




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