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兄とロリコン 後編

更新が大変遅くなり申し訳ありませんでした。


一度書いたものが大幅にデリートされるというアクシデントに見舞われ私の心がバキバキでした。


なんとか折れた心を修復して書きなおすことができました。個人的には前のよりよくなったと思うのでよしとします。


では楽しんでいただけると幸いです。

 俺、相澤あいざわ 総司そうしは焦っていた。ヤバい!ヤバすぎる!俺はこのまま行くと明日の朝日を拝めないかもしれない。


 俺の目の前にはさわやかな笑顔を浮かべつつ黒いオーラを発する魔王 佐伯さえき 一馬かずまがいる。周囲の空気は魔王のオーラにひきずられて淀みきっていた。その隣を見ると何も気付いていないみやびがのん気にコタローと戯れている。こいつは何でこの空気をスルーできるんだ。俺にはとても出来ない…。思えば昔からこいつのスルースキルはハンパない。なぜかけるのラブラブアタックに気付かない…なぜ魔王のストーカーに気付かないんだ!!


 俺は雅の助けを諦め、恐る恐る魔王改め一馬さんの方へ視線を戻す。一馬さんは相変わらず笑っていた。しかしやっぱりノンフレームメガネの奥の目は笑ってない。視線の先は俺。何で俺見てんの?愛しの雅がそこで天使の笑顔をさらしてますよ?こんな時こそゆっくり眺めましょうよ。俺なんか見る価値もないですよ~。

 冷や汗をダラダラと流しながらそんなことを思っていると一馬さんの口が動く。音は発していないから口パクだ。

 なになに?まとめ?何の?いや違うな。後で?イヤイヤイヤ。それこそ何ですか?後でなんだって言うんですか?俺は知らない。そんなことには気付いてないぞ。うん。今日は帰ってご飯食べて寝る。俺は何も見なかった。何も見てないってば!


 そんな俺と一馬さんの静かな攻防戦(俺、防戦のみ)は雅によって破られた。雅は名残惜しそうにコタローから手を離すと立ち上がる。


「さてお兄。お母さんも待ってるだろうしそろそろ帰ろう。」


 なんと言うことだろうここに天使がいる。これに便乗して俺も帰る。絶対帰るんだ!そう意気込んで口を開きかけた瞬間。そこに魔王の声がかぶった。


「もう帰るのか?」


「うん。お母さんに心配かけちゃうし。」


「ふぅん…。あっそう言えば!ソウ、お前数学で解らないところがあるって言ってなかったか?」


えっ?一馬さんを見ると暗黒のオーラをまとってこっちを見ている。無言ながら目は逃がす訳ないだろう?と語っていた。


「今からなら空いてるけど来れるか?」


 …あぁ。もうダメだ。これは否定を許さない疑問系だ…。


「ウン。ダイジョウブデス。アリガトウゴザイマス。一馬サン。」


「お兄今から教わりに行くの?頑張るね。じゃあ私先に帰ってる。お母さんには言っとくね。」


「悪イナ、雅。飯ハ家デ食ベルカラ。」


「了解☆じゃあ、お兄頑張ってね。一馬お兄ちゃん、お兄の事よろしくお願いします。コタローまたねー。」

 

 そう笑顔で手を振ると雅は足取りも軽く去っていった。


「さあ、いこうか?」


 にっこりとそうおっしゃる魔王に絶望を感じつつ、俺は諦めて後に続くのだった。雅。お兄ちゃんは逝ってきますよ。





 そんな訳で俺は今人気のない夜の公園にいる。目の前には魔王。後ろはトイレの裏の壁。周囲は木に囲まれ、人気がない上にさらに人の視線を遮っていた。コタローは一馬さんの家によって置いてきたので今はホントに二人きりだ。


「さて、ソウ。何で呼び出されたか解ってるかな?」


俺は冷や汗をダラダラ流しながら考える。解んねえ。目線はアッチにフラフラ~、コッチにフラフラ~と泳ぎまくってる。そんなことをしていると無理やり目線を合わせるように下方向からガッシリとアゴをつかまれる。痛だだだだだ!やめっ痛い痛い。容赦なく加えられる力に俺のアゴは粉砕寸前だ。


「図体ばっかりでかくなって、お前はほんと使えないね。雅に変な男を近づけるなとあれほどいってるだろう?」


 どう言うこと?もしかして一昨日のストーカー?でもあいつはまだ雅に声さえかけてなかったはず…しかも一馬さん直々に制裁を加えていた。ついでに俺も軽くやられた…。


「今日の男。どういうつもりだい?」


 今日の男?もしやあずまくんの事ですか?てか何で知ってるの?ついさっきの事なんですけど。やべえ。まじストーカー怖いんですけど。怖いんですけど!


 そんなことを考えているとアゴをつかむ手の力がゆるむ。チャンス!俺はここぞとばかりに逃げようと身体を捻った。しかしそうは問屋がおろさない。今度は俺ののどを狙って腕を押し付けてきた。っくっ苦しい…。俺死ぬ!死んじゃうから!


「きっかけはまたお前。もしかしてわざと?お前には俺が雅をお嫁さんにもらうまで守れとは言ったが、男を紹介しろなんて言って無いよね?」


 ねえ。海の藻屑と山の肥やしどっちがいい?


 最後にそっとささやかれた言葉に背筋がゾッとする。ど、どっちも嫌ですぅ~。ほんとマジ勘弁してください。俺紹介してないから!断じてしてないから!俺は必死になってよく動かせない首を横に振る。動かす度に首が締まって苦しいがそんなことに構っていられない。俺の命が風前の灯火だ。

 そんな風にもがいているとふと力がゆるみ俺は地面に放り出された。急に解放された事により咳き込んでしまう。


「まあ。お前は俺の未来の兄でもあるし仕方ないから許してあげるよ。でももう少し自分のことを自覚するんだね。」


 へっ?自覚ってなんの?そんなことを思っていると一馬さんはきびすを返し悠然と歩いて行ってしまう。後に一人残された俺は疑問符しか浮かんでこない。何のことか結局解らなかった俺は腑に落ちないながらも帰路につくのだった。



 雅。お兄ちゃんは虐められています。でも翔じゃありません。雅の大好きな一馬お兄ちゃんです。もういい加減にしてください。

 


 ヒロインな兄にお付き合いいただきありがとうございます。

 前後編のつもりがここまで長くなるとは…。次回こそ最終回の予定です。今度は間をあけないようにがんばりますね。

 よろしくお付き合いください。

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