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天使たちの鎮魂歌  作者: ちゅう吉
道化師
4/8

act4:謁見

すみません。投稿が遅れました。

では、続きをどうぞ。

【王】

其は従えし者。

貴き血と高き誇りは全てを束ねる。

その足元に全てが跪く。


【王】

其は全てを統べし者。



ACT4:依頼主



 一晩考えてみたが、依頼の内容は見当もつかなかった。

 今は日も昇り、太陽が絶好調なご様子で照り付けている時間帯。ジークは城の近くでギルドマスターを待っていた。長く続く城壁の一ヵ所によりかかり、目を閉じている。

 服装はいつも通りの黒一色。約束の時間より一時間ほど早く到着した彼は、何をするでもなく手持ち無沙汰になっていた。待ち合わせているこの場所は、城門から少しばかり離れた、比較的人通りの少ない一角である。

 通りの向こう側に人々の賑わう声を聞きつつ、待つこと丁度30分。時間通りにラグーはやって来た。


「ふぉっふぉっ、待たせたようじゃな。すまんのぅ」


 笑いながら近寄ってくるラグーに、ゆっくりと顔をあげたジークは露骨に眉をひそめて見せた。


「笑ってる時点で謝罪の気持ちは感じられねぇよ」


「待ち合わせ時間はピッタリのはずだがの?」


「『時間前行動は人間関係を円滑にする上での基本事項だ』って吐かしたのはあんたじゃなかったか?」


「そんな古いことは覚えとらん」


 そっぽをむくラグー。こういうところだけは、いつまでたっても変わらない。頭が痛くなりそうだ。ジークは頭を軽く振る。


「ったく、言い合ってる時間すら無駄だな。さっさと用件すまそうか」


 仮面を着けてフードを被る。少し俯けば、フードは仮面の半分以上を覆い隠す。人通りの多い道を、仮面を着けた男が歩くと目立つことこの上ないから、フードは必須だ。

 もっとも、フードで顔を隠しているのも目立つのだが。まぁ、仮面より幾分はマシ、である。


「うむ。時は金なり、じゃな」


 ジークに頷き、ラグーは先導すべく賑わう通りへ足を向けた。


☆☆☆


 門番の兵士に挨拶をする。ただそれだけで、ラグーとジークはすぐさま城内に通された。どうやら国王にはすぐにお目通りが叶うらしい。


「――――にしても、だ」


 『ここでお待ち下さい』と案内された部屋。そこに置かれたソファーに腰をおろして、ジークはポツリと呟く。


「どんだけいい生活してやがんだか。王族も、貴族ってやつもだ。血筋がいいっつうことが、そんなに偉いんかね?」


 敷かれたカーペット。大きな窓。飾られた美術品。置かれた家具。どれをとっても下々の者が一生働いても手に入れることのできない品々だ。それが、ただの待合室であるから、ジークにはただひたすらに無駄としか思えない。

 すると対面に腰を下ろしたラグーは、何を今更という雰囲気で笑った。


「仕方あるまい。王族とは建国を行なった初代国王の直系じゃ。偉くもあろうよ。何せ建国者『ランディス』といえば―――」


「わぁってるよ。【第一の魔術師】。魔術の基礎を広めた人物だろ?」


「うむ。この部屋にも肖像画が飾られておる」


 そう言って壁にかかった絵画に視線を送る。

 そこには一人の男が描かれていた。短い金髪に鋭い眼。玉座に座っている様子であろうその絵からは、微かに威圧感すら漂ってくる。


 建国者にして現代魔術の始祖、『ランディス』。

 かつて地上に魔族が横行していた時代。摩訶不思議な力を扱う魔族に、人々はなす術を持たなかった。

 だが、一人の男が世界を変えた。

 魔族の力を解析し、人が扱えるよう応用することに成功した彼は、仲間四人とともに人々の中心となり、各地の魔族を平定。かくして平穏を手にいれた世界で、彼は国を建国した。

 自身の名をとり『ランディス王国』としたその国で、彼は王に、仲間は貴族となり、国を治めたという。


 それが建国史として知られる英雄伝。現在ではランディスの直系は『王族』として、その仲間四人の直系は『真貴族』として力を奮っているのである。


「建国者の直系に、そのお仲間の四大貴族。くっだらねぇ話だ。何百年も前の祖先の功績を振りかざして、血筋がどうのって偉ぶってんのはどうかと思うぜ」


 ジークは、貴族や王族なんて輩が大嫌いだ。憎んでいるといってもいい。

 彼等は何もしてはくれない。それでも彼等は、自分たちから全てを奪っていく。文字通り、全てを。力があるのならばそれもいい。ジークは、この世の弱肉強食の理をよく理解している。だが、彼らに力があるかと問われれば。


 (たかが、魔術が使えるだけ。たったそれだけの差だ。それも何百年前ならいざ知らず、今では平民に魔力を持つ者は多い)


 結局は、血統に胡坐をかいた権力者。それがこの国の貴族である。敬えるはずはない。

 そんな気持ちを読み取ったのだろう、ラグーは困ったような笑みを浮かべていた。


「不敬なやつじゃな。しかし、現国王はまさしく【王】たる男よ。能力も人格も、じゃ。今は亡き先代とは違う」


 ジークに不敬といいながら、前国王を非難している。あんたも十分不敬だと睨んでみるが、そんなジークから視線を外し、ラグーは部屋の扉へと目を移した。


「どうやら時間のようじゃな」


「ふん、そのようで」


 扉の外に人の気配。おそらくは、先ほど案内してくれた兵だろう。

 

「気を引き締めよ。やる気のない態度を見せるでないぞ?」


「言われんでも、わかってる」


 外していた仮面をつける。そう、ジークにもわかっている。

 響くノック音。次いで、扉が開かれた。


「お待たせいたしました。謁見の間へとご案内します」 


「では、行こうかの」


 ラグーに促されるようにジークは立ちあがる。

 貴族、王族なんてものは嫌いだ。だが、仕事は仕事。それも自身の存亡のかかった仕事だ。


「あぁ、わかってる。どんな仕事だろうが、全力でやってやる。俺はまだ、死ねないからな」


 最後にもう一度肖像画に目を移す。描かれた男の、強圧的な雰囲気は変わらない。どんなにジークが睨みつけようが、変わることはない。

  ふんっと鼻を鳴らし、ジークはラグーを追って歩き出した。


☆☆☆


 謁見の間に通されたジークとラグーは、二人静かに国王を待っていた。

 謁見の間は、ラグーの執務室など問題にならぬほどの豪奢な広間である。だが、いつもならばズラリと並んでいるであろう貴族たちもおらず、たった二人の人間しか存在しないその広間はガランとした寂しい印象を受けた。

 ジークはすることもなく、つまらなそうに辺りを見回した。

 まず目に入るのは、ジークが立っている場所より少し高い位置にある玉座。どこか古めかしいものの美しい装飾を施されたその椅子は、そこに座る主人が不在の今でさえ不思議な威厳を漂わせていた。そのすぐ横には一本の旗。飛翔する大鷲と左右に並んだ四本の剣。王国の国旗であるあとは壁一面に施されている装飾の数々。そういう物には疎いジークにはよくわからないが、おそらく高級品だらけであろう。ジークが立っている大理石の床には、遥か後ろの扉から玉座まで敷かれた赤いカーペット。こちらも高級品に違いあるまい。

 待合室など比ではない。なんという無駄な造り。貴族様が暮らすためには、ここまで金がかかる物なのだろうか。

 ジークの口から思わずため息がこぼれた。

 その時。まるでタイミングを見計らったかのように、国王の出座が声高々に告げられた。

 すぐさまラグーが跪くが、ジークは立ち上がったまま。するとラグが慌ててその腕を引っ張り、ジークに無理矢理膝をつかせた。


「じじいっ。何しやがるっ」


 跪いたまま突掛かるジークに、ラグーは小声で言い返した。


「何しやがるっ、ではない! 陛下が出座なさる御前で、突っ立っている阿呆はおぬしぐらいじゃっ」


 道理としてはラグーが正しい。わかってはいるが何となく気に入らないジークは、頭を垂れながら無言でラグーと睨み合う。

 やがて玉座付近の扉が開き、目の前に国王が座る気配がした。


「ご苦労。二人とも、面を上げよ」


 低く荘厳な声に促されて、ジークは顔をあげる。膝をついたままであるため、ジークは見上げる格好だ。

 目に入ってきたのは二人の男。玉座に座しているのがランディス王国の国王陛下。まだ40代後半にも関わらず、長い髭と刻まれた皺のせいで実際の歳よりはるかに上に見える。しかしその眼光は異様なほどに鋭く、瞳の奥には生命力の輝きが満ちていた。

 もう一人は玉座の傍らに立っている。国王を補佐する役職の者であろう。国王とは対照的に、髭を綺麗に剃り落としており、どこかヒョロッとした印象だ。


(……こんなひょろいのが偉いのか?)


 ジークが疑問に思っていると、


「重鎮のブラン侯爵じゃな。かなりできる人物だと聞いておる」


 ジークの訝しげな雰囲気を感じたのだろう。ラグーがこっそりと呟いた。


「なるほど。其の方が【道化師】か」


 ジークは国王の無遠慮な視線が、自分に向けられているのを感じた。まるで品定めされているかのようだ。

 無言でその視線を受けているジークは、当然仮面を外してはいない。正体が知られているとはいえ、ここで外しては自分が負けたみたいで嫌だったからだ。


「無礼なっ! 陛下の御前であるぞっ! その仮面を外せっ!」


 その態度を不敬と見たブラン侯爵が指を差して怒鳴りつけるが、ジークはどこ吹く風である。


「陛下? 関係ねぇよ。この仮面は俺が俺であることを示す物だ。仕事の話なんだろ? だったら外す気はねぇよ」


 その物言いは、いつも通りのからかうような軽い口調。火に油を注ぐ結果となるのは明白だ。

 こんな無礼に慣れていないであろうブラン侯爵は、顔を怒りで真っ赤にしていた。


「なっ何という物言いっ。陛下! 此奴めの捕縛の許可を!!」


 だが、目の前に座る国王は一顧だにしない。


「構うな」


「しかし此奴、陛下に対して無礼にもほどが―――」


「その王たる余が構わんと言っておるのだ。ブラン、席を外せ」


「陛下っ!」


 悲鳴のように叫ぶブラン侯爵だったが、国王は視線だけを横に向けて低く鋭い声を発した。


「聞こえなかったのか?」


 こうなっては逆らうことなどできはしない。侯爵は拳を握り締めて震えながら、唸るように声を絞り出した。


「っ、御意に」


「ラグー、貴公もだ」


 国王はギルドマスターに視線を移した。

 考えてみれば、ラグーはただの通行手形だ。こうして謁見している以上、もう必要はない。


「しかし、陛下――――」


「構わねぇよ、じいさん。あとでギルドに寄るからよ」


 何か言いたげなラグーを、ジークが遮る。ジーク一人をここに残すことに、ラグーは抵抗を感じているのだろう。だが、ジーク本人からしてみれば、ここに一人残されることに、何も感じてはいない。


「……仰せのままに、陛下」


 それを感じ取ったのか、小さく嘆息したラグーは、素直に下がった。

 肩を落として二人が去った後、残されたジークと国王はしばらく口を開かなかった。重苦しい沈黙が続き、やがて国王がポツリと呟いた。


「臣下が騒がしくてすまんな」


「構わねぇよ。それより俺と二人きりだけどよ? 刺客ならブスッといってるぜ?」

 

 それは先程と同じくからかうような口調。国王には見えないが、仮面の下で、ジークは不敵に笑っていた。

 ジークの発する殺気は、常人ならば膝が笑いだしてもおかしくはないものだ。腰を抜かす者もいるだろう。歴戦の騎士や魔術師、魔族でさえ、足を竦ませ後退りをするかもしれない。

 それほどの凄まじい殺気を、ジークは国王に向けていた。

 しかし――――


「貴公が噂通りなら、たかが数人の違いなど関係なかろう。ならば余一人で十分だ」


 この国の頂点に立つ男は、顔色一つ変えることはなかった。


(なるほどこれが【王】、か。こいつぁ器が違う)


 無駄だとわかったジークの行動は早い。肩をすくめると、殺気は嘘のように消失した。


「立ち上がっても?」


「構わぬ」


「そいつぁ、有り難い」


 すぐさま立ち上がって、ズボンの裾を払う。立ち上がると、玉座の王と視線がほぼ同じ高さになった。玉座に座している国王は、足を組み、肘掛けに肘を置くとその掌に顎を落としている。こちらを見る目は、既に値踏みするような視線ではない。


(さて、さっそく本題かね?)


 ジークは軽く身動ぎして身構える。


「あまり長話になってもいかんな。率直に言わせてもらう。其の方に受けてもらいたい任務があるのだ」


「そこまでは聞いている。問題は内容だ」


「護衛だ」


「……は?」


 あまりにも予想外の返答に、ジークは唖然として開いた口がふさがらなかった。


(……こいつ、今何て言った?)


 固まってしまったジークをよそに、淡々とした様子で国王は続けた。


「娘の護衛をしてもらいたい。今年、魔術学院に入学する予定でな。護衛のできる凄腕の者を探してたのだ」


 そこでジークはようやく我に返った。


「おいおい王さまよ。あんた、頭のほうは大丈夫か? 俺の職業、忘れちまったか?」


 仮面の下はあくまでも真顔、しかし相手を馬鹿にする様な調子で、自らの頭をコンコンッと人差し指で示しながら言った。


 流石の王も顔をしかめる。


「失礼な。ギルドの凄腕暗殺者だろう? こんな短時間で忘れるものか」


「わかってんなら尚更だ。俺は『裏』の人間。それも殺しが専門だぜ? 守るなんてやったことねぇよ」


 困惑顔で乱暴に頭をかいたジークは訴える。対する国王は、そんなことは問題ないと片手をひらひらと振った。


「そのことなら大丈夫だ。娘を、アリスを狙う者は殺してくれて構わないからな。それならいつもとやることは変わらないだろう?」


「あんた、どんだけ親バカなんだっ!」


 ここが何処か、相手が誰か。全て忘れて、思わずジークは叫んでいた。

 だが罵倒されようとも、この王の態度は微塵もゆるぎはしない。相変わらず淡々と話を続けていく。


「勘違いするでない。『貴公のもとまで辿り着いた者は』という意味だ」


「あん?」


「貴公には娘の最も側近くを守ってもらう。当然、余は貴公以外にも護衛は配置する。それらを潜り抜けるほどの者なら、手加減している場合ではないからな。殺して構わないということだ」


 それを聞いてジークは沈黙し、腕を組んで思考する。

 確かにやることはいつもと同じだ。周囲に自分の存在が悟られぬよう対象を消す。要は、護衛を潜り抜けてお姫様に近付く怪しいやつを片っ端から消せばいい。派手好きなジークとしては些か不満だが、もともと暗殺とは地味なものだ。

 だがはたして自分にこなせるだろうか。冷静に、頭の中でやるべきことを整理する。

 学院に潜入、姫様にバレぬよう日常に溶け込み、怪しいのが近付いたら周囲に気付かれぬよう消す。


(何だ、簡単な話じゃねぇか。どっかの国で要人暗殺、とかよりずっと楽だ)


 ふぅっと小さく息を吐くと、頷いた。


「……無理な話ではねぇな」


「うむ、やってくれるな?」


 前向きな姿勢を見せたジークに、国王は僅かに身を乗り出す。

 その問いには答えず、ジークは質問で返した。ずっと気になっていたことだ。


「一つ質問しても?」


「あぁ、構わぬ。何だ?」


「何故、俺なんだ?」


「何故とは? 凄腕だからだとさっき―――」


「騎士団の連中じゃ、何故いけない? わざわざ外部の、それも殺し屋なんぞを雇う理由はどこにある?」


 王宮には直属の『騎士団』が存在する。そこに所属する魔術師や戦士たちの質は『ギルド』に勝るとも劣らない。

 魔族の討伐を率先して行う『ギルド』が存在する現代において、彼らの主な役目は一つ。

 『護衛』。一般市民もだが、何より貴族や王族を守ること、それが任務だ。わざわざ外部からこんな怪しい(自覚はある)自分を呼ぶ必要はないだろう?

 そう言いたいのである。

 しばらく口を噤んでいた国王は、やがて重々しく口を開いた。


「簡単だ。年齢、それが全て」


「歳?」


 問い返すジークに、国王は大きくうなずいた。


「魔術学院がどんなところか、知っておるか?」


「魔術を習うところだろ? 名前から察するに」


 首を傾げて答えたジークに、国王は頷いた。


「うむ、娘のアリスが通うのは、『アレスト魔術学院』、その高等部だ。高等部は初等や中等とは違い、魔術師の素質がある者ならば誰でも入れる。授業内容は……実戦的な魔術の使用」


 そこで一度言葉を切ると、小さくため息をつきつつ首を振って言葉を続ける。


「だが、いかに素質ある者は全てといえど。既卒者や成人を通わせるわけにはいくまい」


「……確かにな。でもよ、護衛という名目でなら―――」


「アリスは一貴族として入学する。王族としてではない為、過度な護衛は慎まねばならぬ。さらに言えば、だ。学院の結界は王国で最も優秀とも言われている。たとえ貴族でも護衛を連れて入学する者はいない」


 そういうものなのだろうか。学校と名の付くものに通ったことのないジークにはわからない。だが、一般的に学院の高等部に入学するのは15、6歳だ。ジークは今年16になる。確かにピッタリだし、辻褄も合っていた。


「アリスはあまり公の宴には顔を出していない。周囲にばれることはないだろう。だが下手に護衛でも付ければ、怪しまれることになる」


「……なるほどな」


「万が一があっては困るのだ。故に余は、『アリスに年齢が近く凄腕の者』を探した。そして当てはまったのが―――」


「俺、か」


「うむ」


 呟くように言ったジークに、国王は重々しく頷いた。

 何も言わずに黙っているジークを見て、納得したと思った国王は、話を次の段階へ進める。


「さて、あまり時間もない。余も忙しい身なのでな。早速娘に会って―――」


「却下」


 だが、ジークはにべもなくそれを拒絶した。まだ何か不満があるのかと言いたげな目でジークを睨む国王に対して、ゆっくりと首を横にふる。


「……何故だ?」


「顔、見せるつもりはないんでね。仮面をつけて会っても意味ねぇし」


 そう言って自分の仮面をチョンッとつつく。

 国王は、依頼自体は受けてもらえそうだと安堵した。しかし、ジークに疑問の視線を向ける。


「顔も見せずに護衛ができるとでも?」


「表の護衛は自前で用意しな。騎士団にも若いのは数人いるだろ? 俺は俺なりに影からやらせてもらうぜ。その方が性に合ってる」


 それならば構わないと国王は頷く。


「ふむ……まぁ、よかろう。余は娘を守ってくれさえすればよい。入学に関する細かいことは、ギルドマスターに聞くがいい」


「あぁ、そうさせてもらう」


 無事話し合いがまとまり、ジークは安堵の吐息をもらす。


「以上だ。貴公の働きに期待する」


 国王は「用件は終わった」と身振りで出て行くように示した。


「あいよ……それではまたいつか。国王陛下様」


 一礼をするジーク。しかし、そこに畏敬の念はない。

 彼にとって、国王は今回の依頼主。それ以上でも以下でもなかった。

投稿したつもりができていなかったという……。

というか、手を加えながら、自らの文才のなさに涙が……

感想、その他お待ちしています。

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