act1:人形
私は人形
造られし者
血の海より生まれ落ち
その身を真紅に染め上げる
敵が骸を積み上げて
自らがその仲間入りをするその日まで
act.1 人形
「完成……か?」
一人の男が呟いた。
そこは薄暗い研究室。
薬品の匂いが満ちるその部屋には、複数の白衣の男たちがいた。
彼等が見つめるのは部屋の中央部。
そこには部屋の半分以上を占める巨大なビーカーのような円筒型の容器。
硝子張りのその器は薄緑色の液体で満たされていた。
その器の中には。
一人の女性が入っていた。
女性の長い髪が液体中をゆらゆらと漂っている。
その色は黒。
だが、一面の黒い紙に白い絵の具で所々に線をひいたように、白い髪が束になって混じっていた。
その美しい顔には何の表情も浮かんではいない。左右の黒い瞳は光を失ったかのように虚ろで、そこにはとても深い闇のみがあった。
彼女は膝を抱いた状態のまま瞬き一つしない。時折吐く気泡がブクブクと小さな音をたてており、それが彼女の生存を示している。
だが男たちはそんな『モノ』など見てはいない。
彼等が見ているのはその背中。
そこにある自分達の『成果』。
一対の、だが色違いの翼。
左の翼は白。
その純白は汚れを知らない美しき光を示すがごとき白。
右の翼は黒。
その漆黒は全てを引きずり込む暗き闇を示すがごとき黒。
その正反対の色を持つ翼を、男たちは興奮した面持ちで見つめていた。
久しぶりに読み返してみたら……ひどいなぁ、自分。
文才どころか、ただの妄想爆発小説……。
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