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第7話 Side カーミラ 魔技(マギ)

 直後、バジリスクの前方で大きな音が鳴り響いた。バジリスクの頭が左に逸れ、進行方向を変えてわずかに速度が落ちる。

 音のした場所を見ると、見知らぬ騎士様が大きな楯を持って構えていた。

 続いて今度は爆発音が鳴り響く。


「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


 バジリスクの正面で何かが爆発したのが見えた。バジリスクにまた一歩近づく。


 誰かが戦いに巻き込まれているようだった。


 私の所為で・・・。急がないと・・・ッ。


 私は力強く大地を蹴る。


 直後、目の前の光景に私は息を飲んだ。


 人が宙を舞っていたのだ。


 まさか、バジリスクの攻撃を受けたというのだろうか。


 私は剣を左手に持ち替え、身を低くしてさらに加速し、落下ポイントに飛び込んだ。


「うわっ!」


 落ちてきた人を右腕で抱きこむように受け止めると、すごい力がかかってくる。

 そしてその体勢のまま、勢いが止まらず草原の上を滑り続けた。

 受け止めた瞬間落ち人の声をあがっていた。何とか生きてるみたいだ。よかった。

 程なくしてようやく失速をはじめるが、これでバジリスクとの距離がまた離されてしまった。


「ごめん!」


 私は巻き込んでしまったことを謝ってさっと落ち人を地面に降ろした。


「あ、あり・・・」


 落ち人が何か言おうとしていたがそれどころじゃない。

 私はバジリスクを追うべくすでに駆け出していた。

 バジリスクの逃げた方を目で追うと今度はバジリスクが完全に足を止めていた。


 まだ誰かが巻き込まれてるの?!


 でもここからならすぐに追いつける。間に合って!


 私は右手に剣を持ち直し、バジリスクに追いすがる。


 そしてもう追いつこうかというところで破砕音が鳴り響き、バジリスクが再び動き出す。

 しかし、今更動き出したところ遅い。既にこちらの攻撃圏内には捕らえている。


 正面にまわるべくバジリスクの横を走りぬけようとすると、見知らぬ黒髪の少女が襲われようとしているのが見えた。少女の身を守っていたらしい人たちはバジリスクに弾き飛ばされている。


 危ないっ!


 私は咄嗟に剣を振りかぶり、少女の前に滑り込むと再びバジリスクと視線が絡み合った。

 ここに来るまで戦っていたせいか、かなり眼が血走っている。


「逃げるな」


 バジリスクの目を見据え言い放つと、顔面を斬りつける。

 斬り付けた衝撃で私とバジリスクの距離がひらく。が、やはりその硬い皮を傷つけることができない。


「ん、恨んでもいいよ」


 あなたの命を奪うのは私だから。


 剣を上段に構え、力を集中させる。


 ()るための力を。


 力を使おうとすると血が騒ぎはじめる。それはいつものこと。

 血を通して何かと繋がっているような感じになる。身体中が悦びで悲鳴をあげている。



 ・・・・・・、血が・・・熱い。



「キュオオオオオオオオオオオオオオオオ」


 バジリスクが悲鳴を上げ、身をよじるがもう逃がしはしない。


「ハァァああああああぁぁぁッッ!!!!」


 力の限り剣を振り下ろすとそれは発現する。


 力が敵を()り裂く刃となり、刃が敵を()り裂く力となる。


 剣から放たれた力が紅い死神の鎌となってバジリスクに襲い掛かった。


 ズバンッという音とともにバジリスクが真っ二つとなる。


 ごめんね・・・


 生きるためとはいえ、私の都合でまた命を奪ってしまった。

 きっと私は地獄に落ちるだろうな。

 それでも私は歩みを止めるわけにはいかないのだ。


 振り返ると黒髪の少女が立っている。


 先ほどまで魔物に襲われていたというのに、その黒い瞳には力強い眼光を宿している。


「初めまして、あたくしの騎士シュヴァリエ様」


 少女はにっこりと笑って言う。



 この日私は王と出逢った。

これで第1章は終わりとなります。次章では魔女というものを少し明らかにしていこうと思っているので、これからも楽しんでいただければと思います。気になった点は随時修正していく予定なので感想やご指摘などお気軽にいただければ幸いです。

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