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式 SIKI  作者: 夢入


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2話 白銀 翔。教師です。

僕の名前は白銀しろがね かける。教師だ。

ただの教師ではない。

空挺学園・式という学校で働いている。

ここでは「式」。言い換えれば魔法みたいなものの使い方を教えている。

自分で言うのはあれだけど、教師の中では結構強い方なんだよね。


(ピンポンパンポン)


この時間にこの音が鳴ると、次に言われることは大体わかってる。


「白銀先生、零式様がお呼びです。」


ほらね。言ったでしょ。


「はいはい。」

「すぐ行きますよ。」


零式様。僕は零式って呼んでる。ここに連れてきたのは僕だし。仲は良いと思う。多分。

彼女は式の始まりである「零式」を使うことができる。

零式は彼女しか使うことができない。


式の取得方法は主に二つ。

一つ目は先天性のもの。生まれた時から何らかの式を使うことができた。

もう一つは、なんらかの方法で式霊が体に宿って、使える様になった。

うちの学校は前者が多い。最近は後者も増えてきてるけど。


どちらも式を変えようと思えば変えることはできる。あとは効果を足したり色々派生することができる。

変えたりする場合は、さまざまな場所に点在している式神の祠を訪れることで変えることができる。

と言っても、最近は祠を収集して校内にある研究所で厳重に保管されている。


その中で零式は祠を持たず、零式そのものが祠となっている珍しい例なのである。珍しいというか、零式だけ。

零式が他の式霊や式神と違う点は、会話をすることができるという点だ。

本来、式霊も式神も会話ができない個体がほとんど。

そしてもう一つ。

零式は式を作り出すことも破壊することも可能であるという点。

零式が生み出した式神は原式と呼ばれている。意思を持っており会話を実際にすることができる。

火、水、雷、土等……主に自然に関する式が原式と定義されている。


そんなことを説明していたら、着きましたよ。

僕は大きな白い門をノックする。


「入っていいぞ〜」


僕は門の隣にあるセンサーに名札をかざす。

名札に入っているICチップが反応してるらしい。そこは式じゃないのねってツッこんだ気がする。

門がゆっくりと開く。

できた当初はスムーズに開いていたんだけど、零式が過去に何度も門を壊した影響で立て付けが悪くなったらしい。そのうち直すってさ。

門は半分くらい開いたくらいで止まった。日に日に壊れてている気がする。


「なんか用事?」


「面白い話をしてくれ!!」


でた、零式の無茶振り。

「無茶苦茶言わないでよ……」


「私は退屈なんだ。」

「面白い話がないなら、私を外に連れて行くんだな。」


今に始まったことじゃないけどさ、最近ワガママなんだよねこの子。別に良いけど。

「連れて行きたいのは山々なんだけど、今日はこのあと行かなきゃいけないところがあるんだよね。」


零式は頬を膨らました。

「私も連れて行け。」


「今から行くとこは流石にダメ。」

「住宅街の中だし、変わったものはないよ。」


零式は諦めたのか、縁側に横になった。

「何か面白いことはないのかー!」


「大好きなゲームやれば良いじゃない。」


「全部クリアしたし、やり込み要素もコンプリートした。」

「それを3周くらいしたから、やることがなくなった。」


暇人かよ。

とはいえ、零式を一人で外に出すことはできない。

過去に一度、零式を自由にしたことがある。

その時は大阪に行きたいと言っていたから、大阪行きの新幹線のチケットをとってあげた。

大阪の中心街の路地でカツアゲを目撃した零式は、当時大学生だった三人を懲らしめた。

ただ軽く懲らしめたのなら、多分誤魔化すことができたんだけどね。

建物の壁を壊した上に、店内で暴れてしまったらしい。

それを連絡で聞いた時は青ざめた。授業を中断して急いで大阪まで飛んでいったよ。

大阪では店主に平謝り。運よく優しい方だったから、修理費だけで許してもらえた。

大学生の方にも謝罪と治療費。大学生たちは今は社会人らしい。今もたまにメールが来る。

大阪から学校に帰ってきた時は学長とか、偉い人数名にこっぴどく叱られた。

それ以来、零式の外出は僕が同伴しなければならない規則ができた。


僕は零式に聞いた。

「今何時?」


零式は部屋の時計を見た。

「11時くらい。」


「11時?!」

「11時半にはあっちに着かないといけないのに!!」

僕は零式に用事が終わったらまた来ると言って、急いで部屋を後にした。

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