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式 SIKI  作者: 夢入


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23話 姉の力

私の3歩先には先程までなかった大きな穴が現れた。

まるでアリジゴクである。


「……威力は下げたんだけどね。」


「下げてこれはとんでもないやつだな。」


零式さんの手にはやけどのような傷が出来ていた。


「大丈夫ですか……?」


零式さんは少し笑いながらこう言った。

「数秒もすれば治る。」


そう言うと零式さんの手はゆっくりと元の形に戻り始め、30秒程で元の手に戻った。


「ほらな。」

「安心しろ。私は簡単には死なない。」


零式さんは大きく空いた穴を見た。

「これを使えば街を丸ごと吹き飛ばせそうだな。」

「お前が争いに興味を持たなかったことが本当に救いだと思うよ。こればかりは。」


お姉ちゃんの力はすごいと思った。そして怖いと思った。


「……麻希?」

「手が震えてるよ。」

「怖かった?」


「え?!」

「ま、まぁそうだね……」


お姉ちゃんは少し悲しそうな顔をした。

その顔を見ると、いつものお姉ちゃんを思い出した。

別にいつも悲しそうな顔をしている訳じゃないけど……

ただ、何となく思い出した。

私が辛くて泣き出した時、お姉ちゃんは悲しそうな顔をしながら私を慰めた。その時の顔だ。

変わらない。あのお姉ちゃんだ。

私は思わず吹き出してしまった。


「どうしたの……?」


「いや、これだけの力があってもお姉ちゃんはお姉ちゃんだなって思っただけ。」


お姉ちゃんは安心したのか、悲しそうな顔ではなく優しい笑顔に変わった。


大きく空いた穴には海の水がゆっくりと流れ込んでいた。


「これ下はどうなってるの?」


「普通に砂だと思うよ。」

「降りたいの?危ないよ。」


半円状に綺麗にくり抜かれた地形。

絵本や雑誌にすら載っていないであろう景色だった。

私は下からの景色が見てみたかった。


「私も気になるな。」

「多分いつか崩れるだろうから、見れるのは今だけだぞ。」


お姉ちゃんは私の手を強く握った。


「一緒に降りてみようか。」


「うん!」


お姉ちゃんは私の手を握ったままふわっと浮いた。


「私の手を離さないでね。」


まるで地面があるかのようにお姉ちゃんは歩き始めた。

私も続いて歩いたが、不思議な感覚である。

地面に触れている感覚はないが歩くことができる。

お姉ちゃんはどんどん穴の方へと歩き始めた。

私は足がすくんでしまったが、お姉ちゃんを信じて足を進めた。


「わぁ……」


宙を歩く。

お姉ちゃんは穴の中心へと足を進めた。

穴の中心へと近づくと、お姉ちゃんは階段をおりるように歩き始めた。


「歩幅は気にしなくていいよ。」


螺旋階段がそこにあるかのように、ゆっくりと穴の底へと近づく。

底までは遠く、感覚では10階建てのマンションから下を見た時の景色に近しかった。

海水が滝のように流れ込みはじめたが、それでも溜まることはない。

半分かそれ以上進んだところで、私はお姉ちゃんの手を離した。


「麻希!」


海面に引き寄せられる感覚を感じた。

海面にどんどん近づく。

どぼんという音をたて、泡に包まれ、ひんやりとした感覚が身体を覆った。

私は海面へと泳いで顔を出した。


「びっくりした……」

「いきなり手を離すから……」


「大丈夫。」

「一度飛び込んでみたかっただけだから。」


高い砂の壁に囲まれているこの場所は、やはり見た事のない景色だった。

逆にある方が怖いかもしれない……


「この穴どうするの?」


「明日には戻ってるよ。」

「麻希はもうそろそろ寝た方がいいと思うけど。」


「そうだね。」

「そろそろちゃんと寝ようかな。」

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