1話 悪夢
「んん……」
「夢か……」
どうやら夢だったらしい。
「…………」
「また見ちゃったかぁ。」
私は障子の向こうに見える、青い空を眺めた。
変わらない風景。何年経っても同じ空。
一応、私の家となっているが私はこの土地から出ることはできない。
「まぁ、あいつを呼べば出れるけどね。」
私の家には庭がある。しかし、そこから先に広がる世界はない。
私の家の門には外界、いわば人が住む世界と繋げる門がある。
要するに、この家は大きな部屋の中にある家。
「つまんねぇのよね。」
私はため息をつきながらつぶやいた。だって景色変わんないんだもん。せめて雲ぐらい動いてくれたらいいのに。
私が望むものは大体与えてくれる。
流石に最新ゲーム機は無理らしいけど。また抽選落ちたって言ってたし。
理由はないけど、何度かこの部屋を脱走したことがある。
ここに来た当時は監視がキツくて、常に誰かが私の家にいた。
私の家に来た人間は私に何もしなかった。私が質問すれば答えたりしてくれた。
ただ、毎日人が入れ替わるのでなんとなく居心地が悪かった。
私は監視の人間が席を外すと同時に、門を破壊して外に出た。
門の外は真っ白な通路があった。映画で見た気がする。研究所だっけ?
私が門を破壊して外に出たと同時に変な音が鳴った。映画で見た記憶が正しければ、警報音だと思う。
パニックよ。パニック。
私はとにかく通路を走り回った。
なんとか出口を見つけたくらいで捕まった。初めての時は。
そのあとは5回ぐらい繰り返してやっと外に出れた。
その時の景色は黒い空に粉砂糖のようなものをまぶしたような世界だった。
美しい空だった。
あの感動は忘れられないね。ホント。
「今何時?」
「朝の10時かぁ……」
この大きな部屋は外界が夜になると暗くなる。
今は明るいから朝か昼である。
一応昼夜サイクルはあるんだよね。雲は流れないくせに。
「朝の10時ならあいつ暇でしょ。」
「授業とかいうやつがないらしいし。」
私は家の中にあるボタンを押した。
ボタンの上にはモニターと呼ばれるテレビみたいなものがついてる。そのモニターには映画の様に人が映る。音も流れる。どうやら、モニターに写っている人間に私の声が届く様になっている。
「お呼びですか?」
いつもの女の人が写った。美人なおねーさんだと毎回思う。
「翔を呼んでくれる?」
翔。私があいつと呼んでいた人間だ。今、私の監視員として色々してくれるのは翔だ。
映画を借りてきてもらったり、お菓子を持ってきてもらったりしている。
外に出る時に翔がいれば、ある程度自由が効く。
「何か持ってきてもらいますか?」
「今回はいいよ。」
「なるべく早く来るように伝えて。」




