18話 学園案内
「今、赤羽さんが住んでいるこの施設は昨日も説明した通り、式神が住んでいる祠を保護、研究してる施設だよ。」
「式神研究所って僕たちは呼んでるよ。」
私達は研究所内を歩いていた。
「試しに、ここを開けてみようか。」
「式等級によって、入れる部屋と入れない部屋があるから。」
「ここは三式以上の式者に付与が認められてる、火砲式みたいだね。」
「単体で使ってもよし、自分の式に合わせて合成式としても使える、汎用性が高い式みたいだよ。」
白銀さんは零式さんの門を開ける時のように、門の隣に名札をかざした。
そうすると、門は自動ドアのように開いた。本当はこれくらい滑らかに開くのだろう。
中には小さな祠だけが置かれていた。零式さんの家がある部屋と違う点は、壁に何も描かれていないこと。そして地面も砂ではなく、研究所の廊下と同じ素材であること。
「三式以上の人にのみ付与が許可されている式だから、赤羽さんはまだ付与出来ないね。」
「それじゃあ、次のところに行こうか。」
そういうと、白銀さんは祠のある部屋から出た。
「次は青空商店街に行こうか。」
「学園前にある、商店街だよ。」
この空を飛ぶ島の上にお店があるの?
私は疑いはしたものの、少し興味が出た。
白銀さんと研究所を出て、学園と思われる建造物に向かって歩いていった。学園の大きさに驚きつつ足を進めていると、私が住んでいた街にあるような商店街が見えてきた。
「ここが青空商店街。」
「日用品から武器まで揃っているから、基本ここに来れば大体のものは手に入るよ。」
八百屋、服屋、刀の専門店、銃の専門店などなど……
数えるとキリがないほどのお店が並んでいる。
中には、私の住んでいた地域の商店街でも見たことがあるファミレスやカフェもあった。いつもどうやって来ているのだろうか。
白銀さんについて行くと、大きな門が目の前に現れ、私とは違う服を着た人が数名通り抜けているところだった。
「ここが空挺学園・式。」
「これから赤羽さんが過ごす学校だよ。」
「変わった子が多いけど、悪い子ばかりではないと思うから……」
ここが私がこれから通う学校……
近くで見ると、より童話の世界で見たお城のようだった。
「大きい……!」
「あの制服を着ていない方は先生ですか?」
「あの子は生徒だよ。多分。」
「制服はあるけど、自分のポテンシャルを最大限まで発揮することが出来る防具があるなら、そっちでも大丈夫なんだ。」
直感的な感想としては自由度が高いんだなと思った。
「式者は実力主義だからね。」
「この学園も実力がない人は落ちぶれていくから、みんなよく頑張ってると思うよ。」
「それじゃあ、軽く中を紹介しようか。」
私達は門を通り抜け、学園へと足を進めた。
学園には、学園外と同様に植物が沢山植えられており、広場のような場所もある。
「広場は生徒間の対決の場となりやすいから、しばらくは近づかない方が安全だと思うよ。」
「あっちの高い網で囲まれているところは、運動場だよ。」
運動場は小学校と同じような砂地となっているようだ。
「学園内に食堂があるから、そこを少し見た後に赤羽さんが入る予定のクラスに案内するね。」
そういうと、白銀さんは校舎の方へと歩き始めたので、遅れないようについて行った。
学園内もお城のような作りになっているが、少し近代的な作りのように感じた。
白銀さんは大きなドアの前で立ち止まった。
「開いてるかな?」
白銀さんは少し力を入れてゆっくりとドアを開いた。
「わぁ……!」
ドアの先にあった空間は、フードコートのような場所だった。
「結構メニューの幅は広いから、飽きはこないと思うよ。日替わりや週替わりメニューもあるし。」
「昼からの営業だから、まだどこも開いていないみたいだけど。」
「生徒の休憩スペースでもあるから、1限目が始まる頃に開くんだよね。今日は少し早めに開けたのかな。」
白銀さんはゆっくりとドアを閉めた。
「それじゃあ、クラスの方に行ってみようか。」
白銀さんは階段の方へと足を進め、そのまま4階まで上がった。
「毎朝4階まで上がるの大変だと思うけど、頑張ってね。」
中学時代も1年生の間は4階まで上がっていたような気がする。
私は廊下を歩いている時に、教室の窓から部屋の中を覗いていた。私の中学校には、廊下から教室の中が見える窓がなかったため、なんとなく新鮮味を感じた。
ふと目に入った教室内は数名の生徒が談笑している様子が見えた。ただ、あまり人が来ている様子ではなかった。まだ早いかな。
「少ないでしょ。」
「みんな結構ギリギリに来るからね。」
なるほど。中学時代もそんな子が多かったような気もする。
白銀さんはある教室のドアの前で立ち止まった。
「ここが赤羽さんが入る予定のクラスだよ。」
ドアの上には、1年5組と書かれていた。
教室内は相変わらず人は少なかった。
「強い子達は集まってるけど、優しい子が多いとは思うから、安心してね。」
「今は休養中だけど、1年生で生徒会長になった子もいるから、困ったらその子を頼るといいよ。」
「1年生で?」
生徒会長は3年生がなるものでは??
「そう。」
「この学園の生徒会長の座は奪い取るものだからね。」
怖い怖い。
「一応、チームを組んで挑むことが最低条件なんだ。」
「ただ、その1年生は2人組のチームで5人チームの3年生に勝ったんだよね。」
「3年生の生徒会メンバー達も強かったんだけどね……彼女たちの圧勝だったよ。」
「一応、生徒会が2名は明らかに足りないから増やすようには伝えてるけど、誰も入りたがらないみたい……」
話を聞いてるだけで人が入らない理由がなんとなくわかる気がする。
「校内は軽く案内すると、こんなところかな。」
「まだ色々あるけど、そろそろ生徒が来ちゃうからね。」
「生徒が来るのはまずいのですか?」
「赤羽さんのこと、まだ話してないんだよね。」
白銀さんは少し笑いながらそう言った。大丈夫かな……
「そろそろ武器を扱う練習の方に入ろうか。」




