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式 SIKI  作者: 夢入


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16/19

15話 新しい家

手続きが大体終わり、私は学園に戻ってきた。

「赤羽さん。」

「寮の準備がまだ整ってないみたいだから、しばらくは零式の家で過ごしてもらってもいいかな?」


「わかりました。」


「高校の友達に挨拶してないけど、大丈夫だった?」


……いつかはバレてしまうだろう。

私が高校に通っていない事は。

あの事件以来、私の家族はお姉ちゃんだけになった。

表向きは事故として処理されたが、実際はお姉ちゃんと違う霊によって跡形もなく消されたのである。

正直、霊のことは恨んでいない。むしろありがたかった。

私に暴力を振るう親を、私は親だと思っていなかった。

私を否定する親を、私は親だと思っていなかった。

親だと思っていなかった……!

私にとってあの人たちが本当の化け物だった。


「実は……」

「実は高校には行ってないんです。」


白銀さんは驚いた様子だった。

「どうして?」


「私の両親が霊に消されたからです。」

「学籍はありますが周囲から人が離れて、通いづらくなってしまったんです。」


白銀さんは不思議そうな顔をした。

「そんな話、聞いたことないけどなぁ……」

「いつ頃の話?」


「6年ほど前です。」


白銀さんは記憶を遡っている様子だった。

「……やっぱり、そんな話は聞いたことがないなぁ。」

「時間はかかるだろうけど、調べてみようか。」


「見つからなくても大丈夫です。」

「私はありがたいと思っているので。」


白銀さんは困ったような複雑な顔をした。

「まぁ……話してくれてありがとう。」

「ゆっくり探しておくね。」


「赤羽麻希。」

「これがお前の名か?」


零式さんの声だった。

「そうです。私は赤羽麻希です。」


「そうか。」

「これがクロが言っていた可哀想か。」


「クロ……?」

「クロって誰ですか?」


「お前のお姉ちゃんのことだ。」

「好きに呼んでいいって言われたから、そう呼ぶことにした。」


いつの間にか仲良くなってる……?!

まぁ喧嘩するよりはいいけど……そんな短期間で……?


「お姉ちゃんが言っていた、可哀想って?」


「お前に取り憑いている理由だよ。」

「クロがお前を守っている理由は、可哀想と思ったから。」

「なるほどな。」

「安心しろよ。赤羽麻希。」

「私とクロがお前のそばにいる。」


私の味方はお姉ちゃんだけだった。

施設に友人もいなかった。高校にも友人はいなかった。

両親だった2人も私の味方ではなかった。

お姉ちゃんだけが私を理解してくれた。

そのようなことを言ってくれる人間は私のそばに一人しかいなかった。

今まで隠してきた感情が一気に溢れ出した。


「え?あ、嫌だった?!」

突然涙を流す私を零式さんは心配した。


嫌なんかじゃない。

「16年間、私を助けてくれた人間なんかいなかった。」


気づいた頃には目の前に零式さんがいた。

「寂しかっただろ。」

「よく頑張ったな。」


そういうと零式さんはしゃがみこむ私を優しく包んでくれた。

私は小さな子供のように泣いた。

嬉しかった。安心した。


………………………………………………

…………………………

………………


「……ごめんね。」

「零式が整理整頓しないから散らかったままで……」


寮の準備が整うまで、零式さんの家で過ごすことになった。読みかけの漫画が伏せておいてあり、ゲームのコントローラーが床に放置されていた。


「私はこの方が落ち着くんだよ。」


「どうやって寝るのさ。」

白銀さんは呆れきった顔で聞いた。


「私は寝なくても活動可能だ!!」

零式さんは自信満々に答えた。


「はいはいそうだね。」

「片付けるよ。」

慣れた様子で零式さんの放置したものを、白銀さんは整理しはじめた。


「そういえば、この家ってお風呂ってあったっけ。」


「あるぞ。」

「使えないが。」


「どういうこと?」


「見ればわかる。」

零式さんは歩き始めた。

脱衣所と思われるところにはコンセントがあり、黒い線が2本とも風呂場に繋がっていた。

零式さんはお風呂の蓋を開けた。


「うわっ……」

白銀さんの顔が真っ青になった。

「浴室になんで金魚がいるのよ……」


「お前が連れて行ってくれた縁日の金魚だぞ。」


「だろうね。」

「というか、水槽買ってあげたじゃん。」

「水槽は?」


「落としたから割れた。」


白銀さんは深くため息をついた。


「赤羽さん、今日は寮のお風呂まで通ってもらってもいいかな……?」

「ごめんね……」

「明日には綺麗にしておくから……」

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