第一章・夏の始まり
この小説を選んでいただきありがとうございます!小説を書く、ということは何せ初めてですので、
温かい目で見守っていただけると幸いです。
7月の終わりごろ
俺の名前は望月悠。アウトドアが好きな男子高校生だ。
どうしてこんなテンプレみたいな自己紹介文を考えているかが自分でもわからん。
「これで帰りのHRを終わる。夏休みだからって課題と部活、さぼんなよー。じゃ、荷物持って帰れよー」
先生のその一言に周りから
「ダリー」やら「めんどくせー」とかの愚痴が聞こえてくる。
「よっ!望月!後でコンビニ寄ろうぜ!」
そう話しかけてくるのは昔からの幼馴染でクラスメイトの海原ツムギだ。
彼女はクラスでもかなり明るく頼れるリーダー的存在である。
「いろいろあって金欠だから奢らないぞ」
「知ってるよ~」
「ならいいけどさ」
コンビニにて
「おっ、おい望月!ブル○カマンチョコが値引きされてるぞ!」
「でかしたぞツムギ!ドカ買いだ!」
「な、なあ望月、そんな金あるのか?」
「奢る分はもってねえってだけだああ!買い占めたらあ!」
~10分後~
「財布がすっからかんだ...」
「だから言ったのに~」
「これでいい...自分の欲望のためなら金を払うさ...!]
「ふーん?変な奴」
「そもそも教えてきたのおめえだろ!」
「それはごめんて」
そんな他愛ない会話をしながら帰路に就く。
こんな日常が、ずっと続けばいいのに――――
そう思っていても世界というものは酷である。
願うだけでは、叶えられない。
何かを叶えるには代償が必要だ。
その代償は命かもしれないし、金かもしれない。
何はともあれ、今のままでは何も変えられない。
「なあ望月、急に黙り込んでどうしたんだ?」
「考え事してただけだよ。」
「ふーん?望月もそうやって考えること、あるんだ」
「人間である以上『考える』、ということは常にあるからな」
「何それ(笑)」
「人間は全員考え事をしてるってこった」
「望月ってそんなこと言うんだ、ふーん?」
「何だ?珍しいか?」
「別に?」
そんな会話をしながら帰っていると家が見えてくる。
「じゃ、俺こっちだから」
「いや、家隣だからそれくらい知ってるし(笑)」
「それもそうだな」
「ところで望月は夏休み予定あるの?」
「無人島にキャンプしに行くよ」
「え?うらやまけしからん。」
「来たいのか?」
「是非連れて行ってください望月様ぁ!!」
「用具とか自腹で頼むけど」
「構わん!」
「あっそうですか」
「むかつく言い回しだなあおい」
「じゃあ明日の土曜の昼に買い出し行くから」
「おけまる水産」
明日の買い物には何を着ていこうか...そんなことを考えながら部屋に入る。
スマホから通知音が鳴る。
確認してみると、ツムギからだ。
『明日の何時でどこ集合?』
『ショッピングモールで11:30集合』
『おk!』
返信し終えた。この後何をするか悩む。
明日の持ち物でも確認するか。よく考えてみれば財布の中身ほぼ空だった。
おのれツムギ。購買意欲を刺激しやがって...
「こんなことで貯金を少し使うことになるとはな」
もう風呂に入って服と持ち物だけ準備したのちに飯食って寝よう。
うん。そうしよう。
「あ、悠」
「何だよ父さん」
「明日買い物行くのか?」
「なんでわかるんだよ父さん...」
「親心でだよ。」
「怖っ...」
「まあ明日買い物に行くならこれ持ってけよ」
そう言い父さんは諭吉を差し出してきた。
「ちょっ!父さん!5000円あればいいよ!」
「女の子に奢らせちゃダメだぞ?」
「なんで女子と行くことも知ってるんだよ...」
「ん?女の子と行くなんて一言も俺は言ってないぞ?」
「ムカつく...」
「まあ、持っていきなさい。」
「無人島から帰ったら返す。マジで父さんありがとう。」
「いいんだよ。息子の恋路を支えるのが俺の役目なんだから。」
「ツムギとはそんな関係じゃないって!あ」
「ツムギと行くのか?ならもっと渡さなきゃな...」
「いや良いよ父さん...俺が返せなくなる...」
「ははっ...まあ、なんだ。無人島、楽しんで来いよ」
「言われずとも楽しんでくるさ。年に一度あるかないかのキャンプなんだから。」
「じゃあ、叔父に船の手配もしてもらうから。」
「何から何まで助かるよ。」
「いいんだって。じゃ、孫の顔、期待してるからな^^」
「父さん...俺まだ高1なんだけど...」
「そのうち見せてくれるだろう?」
「そりゃどうかねえ...仮にツムギが俺に好意を持ってなければどうすんだ?」
「アタックし続けろ!」
「玉砕覚悟かよ...」
「まあ、そういうわけだから」
「ありがとうな父さん。この『諭吉』は大切に使うよ。」
「そうしてくれ。女の子の前じゃ恥をかかないようにな?」
「善処するよ...」
「善処じゃない、絶対だ!」
「は、はい!」
「よし、それでいい。」
「じゃあ俺風呂入って飯食って寝るわ」
「おう」
ザバアアアアアア...
明日の買い物で買うものはいろいろあるな....
テントに食品にその他アメニティ...
買うもののリストアップをしなきゃならないのは少しばかし面倒くさい。
ただそうしなきゃ当日絶対にグダるからやらなきゃならん。
とにかくさっと風呂を上がろう。
~10分後~
「あ、悠」
「どうしたの母さん」
「今日の晩御飯カレーね」
「うっひょー!カレーだカレー!!」
「そんなに嬉しいの?」
「うん」
「じゃあすぐにリビング来てね」
「ハイヨー!!」
最高だ!ん?何か嫌な予感が...気のせいか?
「いただきます。」
「召し上がれ!」
ハグッ!モグモグ
「美味い!やっぱ母さんの作る飯が一番美味いわ!」
「うれしい事言ってくれるねえ!」
~5分後~
「ご馳走様でした!美味かった!」
「お粗末様でした!」
さて、飯も食ったし寝るか。
zzz...
その日俺は夢を見た。
あまりにも現実味のない、奇妙な夢を。
――――――――――――――――――
「総理!この実験はあまりにも危険かつ非人道的です!中止しましょう!」
「だめだ...この実験を止めてはならない...」
「ですが...」
「黙れ!お前にはわからんだろう!!この実験が、この国の未来に直結していると!!」
「っ...!わかり...ました...実験を続行...します...」
(なんだ?この奇妙な夢は...ここが日本?明らかに人には見えない謎の生命体に...これは??)
そこで俺は目が覚めた。
――――――――――――――――――
「っはあ!!夢か...?にしてはあまりにも描写がリアルだ...」
時間を見ればもう10時半だ。早く支度をして出なくては!!
財布...カバン...必要なものはこれだけか?
10時45分。急がなきゃ間に合わない!!
「行ってきます!!」
そう言い放つと同時に俺は家を飛び出した。
「間に合えっ...!」
ひたすらに駅まで走り続ける。あと15分で着かなくてはならない。
「間に合ええええ!」
ひたすらにそう口をこぼす。叫ぶほどに酸素を無駄に使うだけなのに。
駅に着いた。スマホを見れば10時55分。ギリギリだ。
改札を通り電車に乗る。
「次は...」
なんとか間に合った。
スマホでツムギからの連絡を見る。
『ごめん望月!少し遅れそう!』
『わかった。俺も少し遅れるかもしれない。』
そう返信して少しすると電車が止まる。
すぐに電車を降り改札へ向かう。
そこからしばらく歩き目的地に着いた。
ツムギに連絡を入れる。
『じゃあ広場で待ってるから』
しばらくして既読がついた。
『わかった!ショッピングモールっていつものところだよね?』
『そこ以外知らないからな』
とりあえず返信した。
11時20分。早ければもう着くが遅れると来ていたのでもう少しだけ待とう。
そう思ったときにツムギが来た。
「望月来るの早いなあ」
「俺もギリギリだったよ...」
「ま、取り合えず中に入ろ!暑い!」
「それもそうだな。」
季節は7月中旬。暑くない方がおかしい。
急ぎ足で施設に入る。
「涼しい~」
「技術様様だな」
「そうだねえ...人類の科学技術は凄いや」
「とりあえずテント見に行くぞ」
「おっ!来た来た!」
「じゃあ付いてこいよー」
あー...自分用のテント買うの忘れてたな...
「あ、悪いツムギ」
「どうしたの望月」
「自分のテント買うの忘れてたわ」
「ええ...ちゃんとしなよお...」
「ごめんって」
「まあ別にいいよ!一緒に買えばいいでしょ!」
「んー...一人用二つ高くつくな...」
「お、てことはぁ~??」
「家のやつ使っていいか許可とるか...」
「...つまんない男だなあ」
「え?なんで?」
「いや、流れ的に二人で入るテント買う流れでしょ?!」
「あー...そゆこと?」
「望月ってほんと鈍感だよね...」
「よく言われるよ。」
「だったら直せよ(困惑)」
「はは...てか、一緒のテントでいいのか?」
「別に私は構わないよ~」
「なら許可とるのめんどいから二人用で」
「ヨシッ!(小声)」
「なんか言ったか?」
「何もー?」
「あっそ」
「あ!これいいじゃん!!」
「どれどれ...って10万?!?!買えねえよ!!」
「え~そんなあ」
「いや、二人だけでこのサイズはでけえよ。あとたけえよ。」
「じゃあこれは?」
そうしてツムギは一つのテントを指差した。
そこには3×3mのサイズのそこそこ大きなテントがあった。
「これならまあちょうどいいか...」
「お、てことは~?」
「これ買うよ」
「やった~♫」
ツムギはいい笑顔で笑っていた。俺の財布は笑ってないけどな...(泣)
「あとは銀マットと寝袋買って終わり。」
「思ったより簡単なんだねえ」
「まあな。次は飯買いに行くぞ」
「ええ?無人島なんだから現地調達でいいじゃん...」
「ど素人が捕まえられるわけないだろ」
「そっかあ...」
「じゃあインスタント食品とか買うから」
「はーい」
そして俺たちは食料品売り場に向かった...
「とりあえずここのインスタント買うぞ」
「おー!いろいろある!」
とりあえずレトルトやフリーズドライ食品、カップ麺などを買った。
「ひとまずこんなものか。」
「すごい買うね...」
「まあ二泊三だからな。多いに越したことはない」
「え?そんな長期滞在なの?」
「うん」
「マジ?!最高かよ!」
「とりあえずいつ行くかは追って知らせるわ」
「おけ!てか望月さ」
「何?」
「用具は自腹って言ってなかった?」
「あー...それは父さんに女の子に奢らせるなって...」
「なるほど~」
「とりあえず必要なものは買ったし帰るぞ」
「はーい」
「あ、父さんからライン来た」
「何て来たの?」
「明後日の火曜の午前8時に船出すって」
「え?早くね?」
「だよな」
「じゃあ帰るか。」
「おっけー!」
そして駅に向かい電車に乗った。
「ねえ望月、なんか人少なくない?」
「そりゃこんな微妙な時間じゃ人は少ないわな。」
「そゆことね」
そうやって会話しているうちに家からの最寄り駅についた。
電車を降り改札を通る。
「まだ明るいな」
「微妙に明るいよね」
「せっかくだし行きたいところあるからついてきてよ」
「望月が行きたい場所?別にいいけど」
本人の了承が取れたなら行くしかないな。
あの場所に。
「ねえ望月、こんな家から離れた神社まで来てどうしたの??」
「ここから先に用があるんだ。付いてきて」
そのままツムギの手を引いて向かう。
「綺麗...」
「だろ?この前ジョギングしてる時に見つけて綺麗だったから連れてきたかったんだよ。」
そう話す俺たちの先にはまばゆい光を放つ都会の夜景が広がっている。
ここにはある伝承がある。
ここでプロポーズをすると必ず成功するという。
だがまだそんな年ではない。
ただ二人で静かにこの夜景を眺めるために...
「望月、もうすっかり暗くなってきたよ?まだ帰らないの?」
「帰りたいならすぐに帰れるけど...」
「じゃあまだここで夜景見よ?」
「いいよ。親に連絡だけしておきな。」
「はーい」
そういうと彼女はおもむろにスマホを取り出し親にラインを送った。
「じゃ、まだここに居よっか」
彼女はそう言い俺の手を握った。
「もうすぐ8時だけど帰らないのか?」
「さすがにそろそろ帰ろう」
「じゃあ一緒に帰ろうか」
「わかった!」
「そういえば明日予定ある?」
「私は特にないかな」
「じゃあゲーセン行こうぜ!」
「お、いいね~」
「じゃ、昼に俺んち来てよ」
「え~私が行くの?」
「嫌ならいいよ」
「いや行きたいわ」
「じゃあ来いよ」
「めんどいから望月ん家に泊まるわ!」
「はあ?!」
「いちいち行くのめんどいから望月ん家に泊まれば最初からいるからすぐ行けるね!!」
「はあ...父さんに聞くだけ聞いてみるよ」
『父さんツムギが家泊まりたいって』
『もちろんいいぞ』
秒で既読付いた...やばっ
「...いいって」
「じゃあ持ち物準備してくるね!」
「おう...」
続く
この小説を見てくださりありがとうございます!気づけば自分の思うままに書いてしまってましたね...w
設定とかめちゃくちゃなので、読みづらかったかもしれません...申し訳ない...
初めて執筆した作品なのでまだまだ拙いところはあるかと思いますが、今後ともよろしくお願いします!!
美味しい玉子焼き