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おやすみなさい

作者: みひる

冬になりすぎ。

とくに今日の空は夜でも昼でも薄曇りで余計に寒く感じる。

こうして寒いって言ってる間はあの夏の暑さなんかすっかり忘れた気分でいるけど、あの暑さの一部を切り取って保存できたらいいのに、と毎年思う。

でも彼女の頬が赤くなるのは少しかわいい。



「完全に冬。しっかりと冬すぎる」


「寒さ対策で電気毛布とか買おうか?」


「んー……。でも私はくっついてれば暖かいんだよね」



それはぼくもいつも不思議でいる。布団の空気があるから~とかそういうのじゃなくて、授業で習ってない気持ちの部分。

自分だけじゃない体温ってなんでこんなにあたたかく感じるんだろう。


パジャマを着てもちゃんと布越しに体温が伝わってくる。

今よりぎゅうぎゅうに抱きしめたらもっとあたたかく感じるのかな。

でも君の身体はぼくと違って柔らかいから腕に力を込めたら潰しちゃいそう。



「だから冬はこうして寝てたい」


すり、と猫のように擦り付けてくるおでこに唇をおく。

庇護欲かもしれない。



「夏は?」


「また来年も暑いだろうからそのときに考える」


エアコンの設定温度は夏でも冬でも20度くらいのほうが君から抱き締めてくれるかも。

あ、でもそれだと冬はお布団の外にある顔が冷たくなるのか。それはいやだな。

ふたりでうとうととしながらぎゅ、と背中に回された腕はやっぱり細くて心配。

一緒のベッドで暖かいお布団に包まれて抱き合ったまま、カーテンの隙間から月の光りが部屋をにじませるのをながめる。


…眠りにつく直前のことが夢に出てくるって本当かな。

君はもう半分寝ているのを見て少しのお願いをしてみる。


ぼくと同じ夢を見てくれる?

寝ているときでもぼくをちゃんと想ってくれてる?

来年の話をするとき、本当にそこにぼくはそこにいていいの?

起きているときだけ愛されるの、本当は全然足りない。

寝ても覚めても朝も昼も夜も全部ぼくを想ってほしい。


…ぼくはそれに負けないから。


「夢の中でもぼくと一緒に眠ろうね」



おやすみなさい。

あたたかい夢をふたりでみよう。

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