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運命の相手とは来世で結ばれたい

運命の相手には生まれ変わっても愛されたい

作者: さくら

 ぜひ『運命の相手とは来世で結ばれたい』を読んでから、この別な視点からみた作品を読んでみてください。誰もが考える…《もしあのときこうしていたら…》の物語です。

 この広い世界の中で、たった一人愛する相手を見つけられたなら…それが本当の生きる意味で幸せなのだとわたしは思う。

 『結婚して夫婦になる』とか、『付き合って数年』とかそんなんじゃなくて、お互いの心の中で永遠に繋がっていることこそが『愛してる』ことなんだ。


 付き合って数ヶ月とか、数年ですぐに愛してるとか言う人いたけど…それは絶対嘘で、愛ってそんなに簡単じゃない。だからわたしは、過去に一度しか言ったことない。本当に愛した人は、今も昔も一人だから。

 そして、運命の相手だから…来世でも会うことを約束している。


 『愛してるけど一緒にいられない相手』だから、

 『愛してないけど好きになった相手』と夫婦になる。

 それでも、愛って強いから…やっぱり愛した相手は忘れられない。好きだけじゃダメなんだって思いしらされる。


 だから、離婚したり…仮面夫婦の人たちもたくさんいるだろうし、愛してるって勘違いして一緒にいる人たちもいるだろう。そのパートナーが運命の相手だとしたら、別れても会わなくても繋がっていられるのだ。


 運命の相手には生まれ変わっても愛されたいと、互いに約束した気持ちを大切にしているからこそ奇跡はおこる…。この『ゆまとひろき』のように。


 出会ったときには、運命の相手とはわからなかった。この出会いもきっと、過去からの記憶を辿ってやっと会えた二人だったのかもしれない。


『わたしたち、前世でも一緒にいたのかなぁ』


『前世でも愛し合っていたかもな』


 前世なんて考えたこと無かったけど、きっと前世でも一緒になれなくて…またお互い探していたのかも。


 その逆もあるのかもしれない。前世では結婚して夫婦になって愛しあっていたからこそ、まためぐり逢いたいという思いが二人を引き寄せた。

 どちらにせよ、二人はまた出会うことができた。


 わたしはときどき考えることがある。あの時別れを選んでいなかったら、ひろきとはどうなっていたのだろうか。

 

 『ひろき…わたし、別れたくないよ。今のままでもかまわないから。別れたくない…』

 

 そんなふうに言えていたら何かが変わっていただろう。わたしたちは、まだまだ子どもだった。

 

 《あの日に戻りたい…》


 夜空を見上げ、そう思ったときだった。満天の星空が流れ星となって降り注ぐ………

 そして、満月の光が輝いたー。


『その願いを叶えましょう…』

 

 次の瞬間、わたしは見覚えのある部屋の中にいた。

(え?どうゆうこと?)

(ここは学生のときに住んでいたアパート…?)

 

 そして、電話がなった。おそるおそる出てみるとー。


「もしもし…ゆま?突然ごめん…」

 

 電話の相手はひろきだ。そしてこの後…別れ話が始まったのだ。

「ごめん。やっぱりおれたち別れよう…」


(やっぱり、あのときと同じだ。あの日に戻ってる?)

 全然状況が掴めなかったわたしだったが、今はあの日の別れ話をしている、ということだけは理解できた。

(だったらここで、未来を変えてみせる!)

 そう思ったわたしは…


「ひろき…わたし、別れたくないよ。今のままでもかまわないから。別れたくない!」


 ひろきも、動揺している様子だった。まさかわたしがこんなことを言うとは思っていなかったのだ。


「おれとこのまま一緒にいても、また寂しい思いをさせちゃうよ?なかなかデートできないよ?」


「それでもいい!わたしは、ひろきが大好きだから。もう離れたくないよ」


「そっか…なんかごめんね。おれは、一人でいろいろ考えすぎちゃったみたいだな」

「こんなおれでいいなら、ずっと一緒にいてくれる?おれも、やっぱりゆまが好きだよ」


「うんうん!ずっと一緒にいたい。少しくらい会えなくてもわたしは大丈夫だよ」

(だって…現実世界では何十年も待ってたんだから笑)


「いろいろ迷惑かけてごめんな。なんか考えすぎて疲れたー。今すぐゆまに会いたいな…」


「いいよ。わたしも会いたい。待ってる」

(なんかすごいことになってる…)

 

 わたしはドキドキしながらひろきが来るのを待っていた。どれくらい時間がたったのだろう…


《ピンポーン》

 インターフォンが鳴った。ひろきだ。すぐに玄関を開ける。


「本当に来ちゃった」

 と、笑いながらひろきが入ってきた。


「どうぞ。入って…」


「おじゃましまーす。なんか照れるな…」


「なんか、こうやって会うの初めてだね」


「さっきまで別れ話してたしな」

 ひろきが笑って言った。


「そーだった。わたし、振られたんだった」

 わたしも笑って言った。そして、続けた。

「もうぜーったい別れるなんて言わないでね」


「わかったよ。本当にごめん」

 

 それからつまらない話で盛り上がり、明日また学校で会おうとひろきは帰って行った。


(キスくらいしてくれてもいいのにな笑)

 そんなことを考えながら眠りについた。そして、朝目が覚めるとわたしはまだ過去にいたのだ。わたしは今、過去の自分として生きている。未来を変えるためにタイムリープしてきたのだろうか。

 わたしはしばらくの間、このまま過去の自分を演じることにしたのだった。

 

 確かあの別れ話の次の日から、学校を休んでいた。そしてあみからカラオケに誘われたのだ。ひろきと別れていない今、今日は学校に行ってみよう。

 教室に着くと、先にひろきが来ていた。


「おはよ、ひろき。昨日は楽しかったね」


「ゆま、おはよう。またバイト無い日に遊び行くよ」


「わかった。いつでもOKだよ」


 (こんな風に、普通に話をしてるなんて。嬉しい)

 学校の授業は大変だけど、1日があっという間で楽しい。もうすぐ学校祭もあるらしい。楽しみだな。


 何日かすぎて、あみからカラオケの誘いがあった。

(本当なら、泣きながら歌っていたんだった)

 でも今日は楽しいカラオケになりそうだ。夕方あみと二人でカラオケに行くことになった。


「ゆまと二人でカラオケ久しぶりだよねー。彼氏とはうまくいってる?」


「うんうん、なんとかね。そろそろ付き合って5ヶ月くらいになるかなー。あみは?」


「わたしもなんとか平和だよー」


「もうすぐ学校祭があるんだ。楽しみだよー。よかったら、彼氏と遊びにきてね」


「わかった。行けたら行くー」


 そんな会話をしながらのカラオケは、あっという間に帰る時間になった。明日もまた学校だ、早めの解散をした。


 いまだにこの状況がよくわからない。このまま過去のわたしを演じ続けていいのだろうか。未来のわたしの人生はどうなってるのか?


 このままの人生を続けるなら、数日後に学校祭が行われ、そこでひろきと別れて初めての会話をすることになっていた。

 そして、翌年にまなとと出会う。


 でも…このままだとまなとと出会うことは無くなるのだ。それでは未来が変わってしまう。自分だけ幸せな人生でいいのだろうか。まなとと一緒にいた時間も、わたしにとっては大切な時間だったはずだ。


 わたしは、簡単に考えていた。

『あの日に戻りたい』

 なにげない一言で、わたしだけではなく、わたしに関わったすべての人達の人生を変えてしまうところだったのだ。


 本当は、あの日に戻れないことも…過去は変えられないこともわかっている。でも、この今の世界でひろきに出会えたことだけは運命なのだとわたしは心から思えた。

 そして、満天の星空を見上げたー。


『あの時に戻りたい』


 (ピピッ、ピピッ、ピピッ…)

 ・・・・・あれ?アラームがなっている。

 

 気がつくと、わたしはベッドの中にいた。

(なんかリアルな夢だった…)

 不思議な気持ちで目覚めたわたしは、ゆっくりと今見ていた夢を思い出していた。


(学生のときに住んでいたアパート、懐かしかったな)

(本当に、過去に行っちゃってたりして。なんてね!)


 あんな過去も有りだったかな、なんて一人でにやけていたわたしだったが…あの過去があって今のわたしがいるのだと実感できた。

 運命の相手とは時代が変わっても必ず出会うことができる。ただ、それに気がつくかどうかは自分次第だ。

 だからわたしは、今の世界で一緒にいられない人が運命の相手ならば…生まれ変わってでもまたこの人と出会いたいと思えたー。


 単純に…《ゆまが素直に自分の気持ちを言えていたら》の物語でした。

ゆまの視点から見た、愛とは何かー。

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