風船かチョコレートの世界
気がついたら、小さくなってることも。
小さくしぼんだ風船が悲しい
もとからこの大きさに
小さくふくらませてあったのなら
そんなこともなかったのに
ふくらましたての大きさをうかがわせる
しわが寄っているのが なんとも悲しい
半欠けになったチョコレートだって悲しい
もとから半分の大きさで
アルミホイルに包まれていたのなら
そんなこともなかったのに
ぱきって折られた痕がみてとれるのが
なんとも悲しい
そういえば ぼくの世界も
ずいぶんと悲しいことになってる
もとからこんな小さな世界なら
かまわないはずなんだけど
フレームには かつておさめていた
幾つもの景色のはしっこが見切れてるし
閉じた窓だって カーテンをはさみこんでて
嵌め殺しどころか かつては
ひらいてたころがあったんだってにおわせるのが
ものすごく悲しい
ものすごく悲しい気持ちでいる ぼくだけど
ひとつ 考えついたことがある
半欠けになったチョコレートは
もとの大きさにはもどらなくても
しぼんだ風船なら かたい結び目をといて
おもいっきり 息を吹きこんでやれたら
もとの大きさにふくらませてやれるんじゃないか?
もし そうだとしたら ぼくの世界が
風船かチョコレートか まだわからないうちは
悲しみに暮れてるばあいじゃなさそうだ
どっち?