とある雨男の短い話
本当に短いです。 すみません。
「新しい服を下ろす日だからもしかしてと思ってたけど、やっぱりか……」
とある朝のある男は、部屋の窓から外を見ながら嘆いた。
彼は筋金入りの雨男で、何かイベントや個人的にいい気分になりそうな出来事が予定されている日には、かなりの高確率で雨が降る。
下ろしたての服や靴、髪を切ったばかりでも。 そんな小さな小さなイベント等でも、そうである事がかなりある。
酷いのはアレだ。
新車の納車が済み、初乗りを済ませ、今日から仕事の通勤にも使おうかとなった時だ。
その週の平日の5日間の内、実に4日は雨がたっぷり降った。
イヤミに感じた日は、通勤中と仕事中は降り、退勤して帰宅する頃に雨が止んだ日だ。
アレは本当に泣ける。
彼は営業の手伝いで外回りに応援作業員として同行する機会もあり、ちょうどその日と重なっていた。
外で雨に降られて濡れながら作業をした日だ。
それで風邪引くかも……なんて思いながら帰社して、片付けをパパッと済ませた後に退社しはじめた頃には、雨が上がっていた。
なぜ帰りだけ止んだ? なぜ嫌味なまでに雲間から光が差してるの? 仕事が終わって清々しい! なんて思うか?
色々思う所があるが、相手は天気だ。 天気に文句を言っても仕方ないと、遠い目をしながら帰った。
他に通勤・帰宅の時だけ雨が降ったりもされる。
特に雨が降る前に仕事が終わり「今日の仕事はしゅーりょー!」と清々しい気分で帰りたいのに、そのタイミングで雨が降ってきたりするのはイジメか!? と空を恨みたくなる。
それで帰宅する途中に止んだりするから始末に負えない。
だからと雨宿りしていれば降り止まないし、雨宿りを諦めて自宅近辺まで着けば、やはり止む。
もう意味が分からない。
狙い澄ましているかの様に、なぜその時だけ?
少し前に言った、車から乗り降りする時に濡らして来やがって、他の時はしれっと晴れやがるなんてよくある事。
ホントにもう意味が分からない。
なぜだ?
「なぜ俺にそこまで雨をぶちまけたがるんだ? この天気は」
大事な仕事の時も雨、棚卸しで忙しくなるときも雨、腹の調子が悪い時も雨、雨、雨、雨雨雨。
「学生をやってた頃は、他の生徒に強烈な晴れ男が居たのか大切な行事の時に雨が降るとか少なかったのに、なんでこんなにも雨が降るんだろうな……」
ちょっとハイライトが消えかけな瞳で、窓の外を見る。
「あー、いやいや。 今日はやることが有るんだから、いつまでもこうしてる訳には行かん」
部屋の外の天気の悪さを今日の予定と言う大切なモノで思考を強引に中断し、出かける支度に戻る雨男だった。
彼のその日の用事は不明。
未公開。 公開予定無し。
あなたの思った事が、正解かもしれません。
なお答えは考えて無い模様。