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食う寝る所に住む所  作者: SF42
2/6

スパイ

【食う寝る所に住む所】



「ジョウ様!ジョウ様!大変です!

ハルカンダ財閥の代々受け継がれる重要機密情報が盗まれたとのことです!ジョウ様の身も危険です!すぐに避難を…」


「あら、ガロン。今から明治に行くつもりだったの。」


「…明治に何を?…ガラムです。」


「この我が財閥の重要機密情報を財閥設立前のご先祖様に見せようと。」


「…持ち出したのジョウ様だったんですか。」


「そうよ。私は次期当主。だから持ち出しても問題ないはずよ。」


「困りますよ。しっかり、奥の金庫に入れておかなければならない決まりなんです。」


「へぇ。ならその金庫のパスワードを私の脳内のスマートフォンを通じてネット上にばら撒いてみようかしら。」


「ダメですよ?それはハルカンダ家の消滅を意味します。」


「安心しなさい。私の体には究極の防衛システムが備わっている。」


「…と言いますと?」


「まずはロボットアームに搭載された生体反応検知センサー!これでパスワードにつられてやってきたスパイはイチコロよ。」


「…ですが、そのスパイがジョウ様に襲いかかってきたらどうするのですか?」


「ロボットアームのロケットパンチとクレーンを使って戦う。後、私は目からフルオートエイムレーザービーム射撃を行うことが可能なの。」


「最早戦闘マシーンですね。」


「そうよ。私はいわば人類の叡智が詰まった究極のサイボーグ。過去、未来の全ての技術と知恵が私を無敵にするの。」


「たしかに、生身で勝てる気はしませんね。那須川天心でも無理ですよ。」


「そして私は足裏に反重力装置と小型イオンエンジンを搭載している。逃げても無駄よ。今の技術では私以上の速度を出せる生命体は存在しないわ。」


「もうどこを目指しているのか分かりかねますが、それはそれはボルトでも追いつけませんね。」


「ボルトどころか、スペアバーサーカー?でも無理よ。」


「リニアモーターカーですね。」


「そう。私には不要な知識だったわ。」


「不要だなんてそんな。何事も知っているのはいいことだとわたくしは思いますよ。」


「無駄は省くわ。」


「ジョウ様の身体はだいぶ無駄が多いと思いますが…」


「何よ。私が無駄の塊だと言いたいの?」


「そう…ですね…」


「でも…考えてみると、無駄こそ人生なのかもしれないわ…遠い未来、無機質なものばかりでつまらなかったもの。」


「ですよね!なんでも効率化だなんてそんなのつまらないですよ。だから…」


「だからといって私の世話役としての仕事の効率化は捨ててはいけないわよ。」


「…すみません。」


「ん、何か鳴ってない?」


「え、侵入者警報です!ジョウ様!お逃げください!」


「待って。重要機密情報は今私が持っているわ。侵入されても何も問題はないはずよ。」


「テロリストかもしれないじゃないですか!

そうなればジョウ様のお命が…」


「ふふふ…そんなこともあろうかと、

私の体には最終兵器が搭載されているわ。

敵対者を塵すら残さず消し飛ばす最強の兵器!」


「…それは?」


「そう!2万8671年の技術で作られた超高性能小型爆弾を用いた自爆よ!」


「じば…え?」


「さぁ、ドラム!窓の外をご覧なさい!」


「ガラム…窓の外?」


「3キロ先に私の体に搭載されている爆弾と同じものを用意させたわ。」


「…見えませんよ。」


「見えるわけがないじゃない。

今から起爆を指示するわ。その威力、とくと見よ!」




「…更地になりましたね。いや、クレーターが出来ましたね。ついでに屋敷の窓が全て割れましたね。侵入者も逃げていったみたいですよ。」


「万が一の時はこれで屋敷ごと消し飛ばし、情報漏洩を防ぐのよ。完璧なセキュリティだと思わない?」


「それは…そうですけど、ジョウ様も、ご主人様もお亡くなりになられますよ?」


「えぇもちろん。自爆だもの。いい?コドン。自爆はロマンではないのよ。漫画やアニメでは自爆は失敗しがちだけど、実際のテロや軍事作戦ではよく使われるわ。成功率も高い。これは私調べよ。最終手段として最も成功を収めているのは自爆なの。」


「そんなに自爆が好きですか?」


「ええ。相手に抱きついて自爆するそのサイコ感がたまらなく好きよ。」


「…そうですか。誤って作動させないように気をつけてくださいね。」


「わかってるわ。私が例え自爆したいと願っても簡単には爆発しないわ。あっ!」





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