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食う寝る所に住む所  作者: SF42
1/6

肉体改造

【食う寝る所に住む所】




「ジョウ様!扉を開けてもよろしいですか?」


「許可する。」


「失礼します。ジョウ様、もう学校の時間です。ご主人様がお怒りになられておりますよ!」


「学校、そういえばそんなのがあったな。」


「そういえばって…さてはまた…

今回はどちらに?」


「西暦2万5632年と白亜紀、江戸、第二次世界大戦だ。…ところでお前は誰だ。」


「わたくしはガラムです。ジョウ様の世話役です。お忘れになりましたか?」


「ルジョウナ・ヒルン・ハルカンダだ。

よろしく頼む。」


「ですから、わたくしは…

その髪型はどうされたんですか?」


「これは江戸の遊女とやらの髪型だ。趣深いだろう。」


「遊女だなんて、ジョウ様には…

いいですか。ジョウ様はハルカンダ家の次期当主なのでございます。それなりの自覚を持ってくださらないと困ります。

…その簪なにかおかしくないですか?」


「これか?これは頭部埋込式汎用小型クレーンだ。簪に見えるのは偶然だ。」


「なんですかその気持ち悪い名前の機械は。」


「ジョウは忙しい。故に手が足りない。

腕を増やすのも考えたが、それよりは頭部にクレーンをつける方が良いと考えたのだ。」


「頭部って使いにくくありませんか?

それに、4つも要ります?」


「2万5632年の技術では、人間を機械化することなど容易。しかもその機械も高性能。脳波をキャッチしてフックが自動で任意の方向に飛んでゆく。この左腕を見なさい。」


「…まさか左腕がロボットアームに⁉︎」


「正解だ。ジョウ様ポイントを1万贈呈しよう。ロケットパンチを発射することができる。これもクレーンと同様、脳波で自由に操れる。操作に慣れるのに時間がかかったがな。ついでに、左手掌から立体ホログラムディスプレイを出すことができる。これでリモコン要らずのストレスフリーだ!」


「今時スマートスピーカーで良くないですか?ディスプレイだなんて古臭い…」


「ふん。その思考回路があはれだな。

ジョウ様ポイント1万5000没収だ。」


「…スマートスピーカーじゃないにしろ、スマホでも出来ますし…」


「ははは!スマホなら脳の中央に埋め込んだ。ジョウの脳はいつでもネットにアクセス出来るぞ!」


「それ色々と大丈夫なのでしょうか。

…ジョウ様⁉︎足はどうされたのですか⁉︎」


「あぁ、これか。ジョウは遂に憧れの趾行性への進化を遂げたのだ!喜べ!」


「…趾行性のなにがそんなに良いのですか?」


「まず、背が高くなる!足裏の大きさが大きくなり、かつ、常に爪先立ちで過ごすということは身長の増加を意味するのだよ。

次に、足が速くなる!足が速いと、モテる。」


「…足が速くてモテるのは小学生までです。

ジョウ様はもう高校生ですよ。しかも、足が速いからモテるのは男子の話であって、男子は女子に足の速さは求めてないと思いますよ。」


「そうか…だが、趾行だとカッコいいだろう。」


「そう…なんでしょうか。」


「そしてだ。ジョウは尻尾も手に入れたぞ。

見よ!このしなやかな尾!」


「…そもそもなぜそのような足と尾が?」


「恐竜を食べたのだ。固かったぞ。」


「よく食べようと思いましたね…」


「…長くなったが、学校には行かないぞ。

窮屈だ。窮屈なのは旧日本軍だけで十分。」


「もしかしてその喋り方、戦時中の兵士に影響されました?」


「ジョウは元々どんな喋り方であったか…

思い出せない。まぁどうでもよかろう。」


「いや…困ります。こちらからすれば1日で喋り方に、容姿、別人のように変わられては良い迷惑でございます。」


「これが経験というものだ。」


「いい経験と悪い経験があります。ジョウ様は学校に行った時にどう説明するおつもりですか?」


「素直に趣味がタイムトラベルだと伝える他ないだろう。」


「趣味タイムトラベルだなんて同級生に鼻で笑われますよ。タイムトラベルが出来るのなんてジョウ様くらいしかいらっしゃいませんし…馬鹿にされても仕方ありません。」


「ん?ジョウが馬鹿だと言いたいのか?

無礼極まりなし!」


「いえ!ジョウ様は天才的な頭脳をお持ちでございます。ですが…」


「そうよ!ジョウは天才!なぜなら、ジョウは人類が数百年かけて完成させた三平方の定理を10分そこらで証明できるのだから!」


「…そうですね。そうそう。そうです。」


「納得が行かなそうね。ならばこれを見よ!」


「刀…ですか?」


「これは村正。私が室町時代に盗み出した。」


「え?」


「誰にも気付かれなかったわ。人のいないルートを計算して最も短時間で奪取するよう心掛けた。」


「それって…歴史が変わりません?」


「たしかに…ジョウは不味いことをしてしまったかもしれないわね。」


「歴史の教科書を確認せねば!」


「どれどれ。大阪の陣で勝ったのは豊臣。

何も変わってないわね。伽藍堂の思い過ごしよ。」


「ガラムです。そうですね。刀一本で歴史が変わるなんて大袈裟ですよ。」


「そうよ。全世界のパラレルワールド支持者に向けて言いたい!パラレルワールドなんていうのはただ道具の一つや二つ、一般人の行動なんかで現れる訳がないのよ!なんなら因果律も全部嘘!ジョウがタイムトラベルを繰り返しても世界には何も変化がないのと同じ!」


「…なんか違和感があるような気がしますが、ジョウ様の言う通りでございます。ジョウ様のタイムトラベルの度に世界線が変わっているなんてことがあったらもう大惨事ですもんね。」


「そーそー。つまりジョウが何をしても世界にはなんの影響もない!という訳でジョウは学校には行かない。」


「という訳で、が成り立ってないです。」


「今日は西暦4万年あたりに行こうと思う。それではプラム!また会おう!」


「あ!ジョウ様!学校へ行かねばなりません!タイムトラベルをしては…行ってしまいましたね…そしてわたくしはガラムです。」











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