勇者になっちゃったよ!
二話 本当は…
何もない砂漠地帯天気の良い空、朝と言うより昼に近い暑い日差しの中、馬車は山の方に向かう…車と違い乗り心地は悪くよく揺れる、ダイスケは平気そうだが、悟は酒に酔ったのかそれとも馬車に酔ったのかボロボロになってる「悟…大丈夫か?」俺は悟に向かい声をかけた
悟は俺に右手の親指を立てて「大丈夫」のサインをした
タカシ 「後少しですよ!あの山の麓なので」
あの山って…まだ、遠くみえる、こりゃ悟は終ったな…やっぱり、ロールプレイングゲームみたいに復活の呪文とかあれば良いのな…この旅の途中にも怪物とか現れて来たらどの様に戦うのかな…ああダメだ逃げたい!ダイスケは……こっ、こいつ寝てる!この状況で寝てる!
ダイスケは背もたれに両腕を大の字に広げて顔を上向きにして口を開けて寝ていた
昼を過ぎたのか、結構な距離を移動したと思う、馬車に揺られて身体が痛いと思ってた頃。
「つきますよ」タカシが俺達の方を向いて右手人差し指を指す方向を見た。
「小さっ!」思わず声を出した俺、城って言うから、イギリスとかの城とか、日本の江戸からあるような城を思ってただけに、普通の家みたいな…それよりはちょっと立派かな…三階建ての城…って言うか、家だな…そりゃ遠くから「あの山の麓」って指しても見えるはずがない…やっぱりあの家から出てくる王様は、普通のオッサンだったりして…思わず俺は「ぷっ」て笑った。
タカシ 「今、笑いました?お城には色々な形がありますからね、さっ、着きましたよ…王様も待っていると思いますので、降りて行きましょ」
笑ったのがバレたか…少し怒ってるみたいだけど…
お城…まるで家のような門構え、日本の家と言った作りの玄関や家の形だけど、タカシに導かれるまま、俺達は着いていった
入口を開けたら、広い玄関で玄関と言うよりホールだ、右手に1つの扉と左手にも1つの扉、正面には三階まで繋がっているであろう階段で天井は二階までの高い天井、外見は部屋数が多そうにみえたが、中に入ったら広々としている城だ。
タカシ 「今日は長時間の移動疲れたでしょ、出発は明日の朝がよろしいかと思います。今日は王様が不在なため、ここで休んで下さい。」
各部屋に俺達は泊まり一夜を明けることになった…
昨日寝れてないせいか、早く寝れた…
朝になったことも分からないまま爆睡してて、遠くから俺の名前を呼ぶ「繁さん!繁さん!」
だんだん、大きく名前が聞こえてきて「繁さん!朝ですよ!」
はっと、起きた…回りを見て、夢でない事が分かった。
タカシ 「ダイスケさんと悟さんはもう起きて集まって、ダイニングで朝食をとってますよ」
繁はゆっくりとダイニングにいきダイスケ達と合流した、相変わらずの2人食欲旺盛だ。
繁はテーブルに座ると直ぐに朝食を持ってきて
タカシ 「さっ、食べて下さい」
腹が減っては……食べるか、
食事を終えて落ち着いた頃、タカシが「食事が終わりましたようですね…そろそろ、王様をお呼びしますね…では、フロアーに行きましょ」
タカシと俺達はフロアーに向かい、タカシは大きな声で「王様!連れてきましたよ!」
二階に繋がる階段から王様の足が見えてきて、そのまま一階に降りてきた。
クリーム色のポロシャツにブカブカのズボンのモジャモジャの髪の毛
繁 「えっ!えっ!まっ、マスター?」
マスター 「ゴメンね、繁さん、それとダイスケ君と悟君…話さなきゃいけないことがたくさんあるけど…」
マスターの格好はあの時の合コンと変わらないのをみて、俺はドッキリではないのかと思い始めた。
繁 「マスター…これは何の冗談?ドッキリだよね」繁はマスターの話している途中に割り込み、半笑いでマスターに問いかけた。
マスター 「ドッキリだったら、外の光景をみてどう思う…?」
この何もない広い大地で、何もない砂漠を一瞬で移動するとか、仮にスタジオとかだとしても広すぎて無理があるとか、考えていたところ悟が「マスターは何者?俺達をどうする気だ?俺は、タダ酒が飲めると思って来たのに、こんな目に合うなんて、俺達マスターに恨まれるような事をしたのか?」悟がマスターに困惑した様な感じで聞いた。
マスター 「まず、聞いてくれ!」
マスターは両手の手のひらを俺達に向けて冷静になってくれといった感じで落ち着かせようとした。
マスター 「まず、聞いてくれ…なっ、最初にここは日本だよ…君達が生きていた時代より更に進んだ時代、50年位になるから、西暦だと2077年だと思う」
悟 「嘘だ!俺達は何かあって、タイムスリップでもしたってのか?それともあんたが、時空を操ったと言うのか?」
悟はマスターの言葉が胡散臭いと思って、困惑から怒りへと変わったようだた。
マスター 「だから、人の話をまず、聞いてくれ!」
マスターは俺達の怒りを修めようと必死に事の経緯を説明をした。
マスター 「この50年、この時代なら君達はもう70位になるのか、まだまだ、元気だろうね…生きていれば」
繁 「生きていれば?」
マスター 「そう、生きていれば…君達にとってはあの合コンは昨日の出来事だと思うけど、50年の月日が経っている、50年前あの合コンの後に突然、東京湾から大魔王が出てきたらしい、そいつは巨大で東京タワー位、人間の様に二足歩行で目からビームを出して街を破壊して、人々を恐怖にさせた…それが大魔王…大魔王はこの世界中を自分の思いにするために街を破壊して、自分の手下にするため若者を連れ去り、そして身の回りの世話をするための女性を連れ去った…そして、私の娘マユを「この娘を渡したらここから去っても良いだろう…」と言い止む終えずマユを差し出した…自分達を街をこれ以上壊されたくなかったんだ。」
マスターは僕らに頭を下げた
繁 「何となく、話しは分かったんだけど、俺達は格闘家とか武道家でもないし力も無いし、どうやって闘うのかも知らない!それに、怖くって闘いたくないよ!マスターごめんだけど、俺は無理!」
ダイスケと悟も「マスター俺達は無理だって!」
マスター「本当はね…勇者を呼ぶつもりだった…」
ダイスケ、悟 「えっ!」
繁 「えっ、勇者って実際に居るの?じゃあ…俺達、要らないでしょ」
マスター 「今、この荒れた地球には大魔王とか、怪物とかが沢山いてそれを勇者達が戦いに出ているよ」
繁 「勇者達がって?」
マスター 「そう、ドラゴンなんちゃらとか、ファイナルなんちゃら…と言う勇者協会があって、でも頼みたいけど皆さん大忙しでダメだったの…だから考えていたところ、この家の1つの部屋に入ったら、時空が変わっていてあの例のカントリーの店に繋がってて、何故か繁さん達がいる時代になってて、しばらくアッチの時代で過ごしてだけど、年齢が若い人は君達で、後は年羽者だった…街を出て探すことも考えたけど、迷子になるのもね…」
あああっ…結局は誰でも良かったのか…
マスター 「でも、大丈夫!途中本当の勇者と合流できるはず、あの手配したから…何とか現地に行って欲しい!」
工事現場に行って、土方作業員の人数合わせで参加してくれと違うだろ…俺達を何だと思ってるのかな…そもそも、マスターが王様って、そんなに町が無いのに人もそんなに居ないのに王様と言っても、この50年経って何がそんなに地球は破滅になったのか、大魔王ってそんなに恐ろしいい奴なのか…どんだけの破壊力を持った化け物を相手に、何も出来ない俺達が大魔王の所に行って、しかも勇者が途中で合流て…無理だろ、ただ死にに行くだけだよ
あっ、あの部屋に行けば俺達がいた時代につながっているかも!マスターが言ってた、あの部屋が元の時代に繋がってと…そうだ、俺は1人足早にそのドアに向かい「俺は無理だよ」と、言いながらドアを開けた。
そのドアの向こうは、何もない部屋になっていた「え~!戻れないのか!」俺はその場で崩れ落ち膝まずいてしまった。
マスター「ごめん、繁さん、ここに連れてきてしまって…でも、この大魔王を倒せば、時空が戻るはず、約束する…元の時代に戻れるはずだ…お願いだ、皆を助けてくれ!」
俺は戻れない…それどころか、この街全体を破壊した大魔王って奴を倒すどころか、俺が殺されるよ…終わった…もうダメだ
ダイスケ 「行くぞチゲ造!俺達は戻れないんだ!ここに居ても俺達は居場所が無いんだ!だったら、行くしかないだろ!なぁ悟」
悟 「黙って居ても死ぬんだったら、戦って死ぬか」悟は笑いながら言ってたけど顔が引きずってる…そうだよな
こいつら、何時もは何もヤル気なかったクセにダイスケなんて吹っ切れたか、死ぬかも知れないんだぞ!しかも悟も簡単に戦って死ぬかって本気かぁ!
だけど…死にたくは無いけど、ここには居れないよな…まず外に出て、その勇者と合流できれば良いのか、それから何とか助かる方法を考えていくか。
いやいやだけど、重い腰を上げて旅の支度を始めた、奥の部屋から王様の支えの者が手のひらを広げた位の大きな箱を重そうな箱を二人で持ってきて、俺達はの元へと置いた。
王様 「外は何が出るか分かりません、武器と装備とお金です」
足元に置かれた箱の蓋を開けてみると、剣と薄い鉄で出来た帽子に皮でできた薄い服、箱の一番下にお金があった、見たことのある一万円と五千円や千円それに小銭、全部で五万はあった。
王様 「剣は好きなのを選んで持っていってくれ、帽子と皮の服は戦った時に斬られても大丈夫、丈夫に出来てるから、それとお金は五万円入ってる、この城から東に向かうと店があるはず、このお金で買えるから必要な物を揃えてくれ」
支えの者が 「これは、水と少しばかりの食料です、」2リットル位のボトル3本に水と食パンらしき物1斤程の3本を俺達に分けて渡された。
繁 「持つものを持ったら、行きますか…」
ダイスケ 「俺は準備オッケー!悟は…」
悟は親指を立てて 「オッケー」
繁 「マスター!行ってきます!どうして良いか分からないけど、兎に角行きます」
マスター 「ここから東に向かうと店の目印があります、回りはバリケードで囲ってありますから分かると思います、その辺りで勇者と出会うと思いますので、よろしくお願いいたします。」
繁 「分かりました。」テンション低いままリュックを背負い城を出た。
マスター 「気をつけて下さい。」マスターは頭を深々と下げて俺達を見送った。
俺達は、マスターの言う東の方向を向き店の方向へと歩き出した。
3話へ続く