95話 温泉
次の日…。
僕はリビングのソファーに寝転んで雑誌を読んでいた。もう直ぐ昼なので子供達は長いテーブルの前に座っていた。
ルナが食事の御数を盛った大皿を運んできた。そしてテーブルに置いた。
「!」
ルナが僕の手の届く範囲に来たので僕はルナの尻を触った。ルナはビクッと反応した。そして僕を見て少し睨んだ。
「ふへへ」
僕はルナの嫌がる姿を見て興奮した。
「こら!」
僕はルナの嫌がる顔をもっと見たいからルナの身体に抱きついた。僕はルナの身体に顔をスリスリした。ルナは僕の頭を叩いた。
「貴方、子供の前でやるの止めて!」
ルナは僕に注意をし、僕はルナに抱きつくのは止めた。
「………」
レイジは母さんが嫌がる姿を見てじっと僕を睨んだ。
ルナは調理場に戻っていった。レイジは立ち上がり、調理場に行った。
「母さん」
「どうしたの?」
レイジがルナ側に来たのでルナは聞いた。
「母さんは何で父さんが嫌な事をしてきても強く拒否しないんだ?母さんが強く言えないなら僕が言おうか?」
「言わなくて良いよ。もう慣れっこだから」
レイジはそう言うのでルナはそう答えた。
「父さんはいつもそうだ。母さんが嫌がっているのに過剰にスキンシップを取るし、飽きたら止めて他の女にちょっかいをかけるし、父さんは自己中で性格もクソだ」
レイジは少し怒っていた。
「あまりお父さんの事、悪く言っちゃだめよ。お父さんはその事を気にしていつも夢の中で魘されるから」
ルナは何となくそう言った。
「何だよ、それ。本当なの?」
レイジはルナの言葉に驚いた。
「あっ、冗談よ。冗談」
ルナは何気なく言った言葉にレイジが何かに気がついた様子を見てすぐさま冗談だと言った。
レイジは調理場からユウイチがいる場所に戻った。ルナもレイジがユウイチに何を言うのか心配になり、ユウイチの居る場所に行った。
「父さん、本当なのかよ」
レイジは僕の前まで来て僕に聞いた。
「どうした、レイジ」
僕は身体を起こし、レイジの言葉を聞こうとした。
「俺が父さんに酷い言葉を掛けているから父さんがいつも夢で魘されているって本当なのかよ」
レイジは僕に聞いた。
「違う」
僕は否定した。
「本当の事なんだろ」
「違う。違うよ。俺は魘されてなんか無い」
「知っているんだよ!父さんがいつも夢で魘されて涙を流している事は!」
「何で息子に酷い言葉を掛けられて辛いって俺に言わないんだよ」
レイジは涙を流していた。
「父さんはな息子に酷い言葉を掛けられるのは当然の報いだと思っているんだ。父さんは母さんの夢を踏み潰し結婚した。そしてお前達が生まれた」
「それでも母さんは僕に恨み言なんて一言も言わなかった。母さんはずっと僕のせいで苦しんでいた」
「お前が恨み言を僕に言うことで母さんの心は救われたんだ。だからお前は間違ってないよ」
「僕を恨んでくれてありがとう、レイジ」
僕がそう言った。
「俺は…、俺は!!」
レイジは涙をこぼしながら両膝を地に突き、言葉が出てこなかった。
「救われてないよ、ユウイチ」
「ルナ…」
ルナはレイジの近くにいた。
「救われてない…」
ルナは涙を流していた。
「すまなかった。俺の所為で…、俺の所為で」
僕はルナとレイジを抱きしめた。僕の目から自然と涙がこぼれた。
その日からレイジは僕に対する態度は変わった。よく自分の子供と温泉に行くのだが以前は僕が誘っても来なかったレイジが今回、誘うとついて行く事になった。だから昼ご飯を食べた後、みんなで温泉に行く事になった。
今日の温泉の男湯は人があまり居なかったので男共で湯船に浸かり語らった。
風呂から上がり、コーヒー牛乳やアイスを食していると女性陣も風呂から上がった。女性陣もコーヒー牛乳とアイスを食べた。
僕らは休憩所で一息ついた後、温泉を出た。夜ご飯は外で食べる事になり、子供達の好きな回転寿司に行った。その日はこれで終わった。




