86話 守る
「ルーク!!」
リリアは敵と戦いボロボロになっているルークを見て叫んだ。
リリアはもう一人の敵に捕まり、首に刃物を向けられていた。
ルークはリリアを人質に取られているため、本気で敵と戦う訳にはいかなかった。
ルークは魔眼の力で未来が見える。本気で戦うと敵はリリアの首を掻き切り、奴はリリアを殺す。だから僕は父さんや皆がここに来るまでの時間稼ぎをしていた。
「本気で戦って、ルーク!!」
リリアは叫んだ。
「おい女、余計な事言うな」
敵の男はリリアにそう言った。
「兄貴、そいつ甚振ってないでさっさと止め刺して下さいよ。でないとあの父親が来ますぜ」
リリアの首に刃物を当てている男がもう一人のルークを甚振っている男に言った。
「分かっている。今良いところなんだ、もっと甚振って楽しみたい」
男はボロボロで地に伏せているルークに何度も蹴りを入れた。
「お前、もう死にそうだな。まあ、いい。お前が死んだら俺がお前の女をたっぷり可愛がってやるから安心しろ」
「俺の濃厚な孕ませ汁をお前の女の中に打っ掛けて、沢山孕ませてやるからな」
「あははははははは」
男はそう言い、ルークは絶望した。
俺は魔眼で数ある中の一つの未来を見た。リリアの腹の中には俺の子供が居る。生まれてくる子供は女の子で生まれると僕とリリアがお世話して可愛がって。そして俺とリリアの娘は大きくなって僕とリリアと娘で何気ない日常を送る。
「がああっ」
僕は男に蹴られ血を吐いた。。
誰かの泣いている声がする。リリアなのか、いや違う。
「俺の娘が泣いているだろうが!!」
ルークは血を吐きながら叫んだ。
「何だ、これは」
ここら一帯の地から黒い魔力が吹き出した。そして魔力の色は赤く変わった。この世界の空気中、地中にある無数の膨大な魔力がルークを中心に集まる。
ルークの身体は少し浮かび、赤い魔力はルークに向かって流れ込み、赤い球体となりルークを包み込んだ。赤い球体は中が透けていてルークの姿が見えた。
周囲に無数の真っ黒な蝙蝠コウモリが何匹も赤い球体の周りに羽ばたいていた。ルークの頭の上に赤い天使の輪が現れ、赤の球体の周りに黒い閃光が光った。
「暗黒第四解放:死と滅亡の運命・アナザーオーバー」
ルークは唱えた。そして赤い球体は割れた。ルークの宙に浮いていた足は地面に着いた。
「何だその姿は!!」
敵の男はルークの異様な姿を見てそう言った。
「こっちには人質がいるんだぞ。大人しくしろ」
敵の男はそう言うと、リリアの首に刃物を当てている男は僕に人質がいると見せつけてきた。
「………」
ルークはリリアとリリアを人質に取っている男に手を向けるとリリアを中心に赤いバリアを少しずつ展開した。
リリアに刃物を当てていた男は弾き出され、血を噴き出し、遠くへ飛んで行った。
「うらあああああああああああ」
もう一人のルークと戦っていた男は剣をリリアに刺そうと、リリアの方へ走った。
「!」
リリアに向かって行った男の前に土の壁が現れ、真っ直ぐ向かって行った男の足を一瞬止めた。
「!」
ルークは黒い姿に変わり凄いスピードで男に近づき男の首を左手で掴んだ。
「ひええええっ…」
禍々しい黒い姿のルークを敵の男は見て戦意を消失した。
「家族を守る…」
「うわあああああああああああ」
ルークは右手で黒い大剣を作りだし男の左腕に黒い大剣を刺した。男は左腕を刺された痛みで絶叫した。
「俺が家族…を…守るんだ」
「止めろ、止めてくれ、俺が悪かった。うわあああああああああ」
ルークは敵の男の首を離すと、右手で相手の右腕を押さえ、左手で黒い大剣を作り出し、敵の右腕を大剣で刺した。
「家族を…」
ルークは右手で黒い大剣をまた作り出した。そして止めを刺そうとしたその時…。
「もういいよ、ルーク君」
リリアはルークを後ろから抱きしめた。ルークの動きは止まった。そしてルークは元の姿に戻った。
「もう終わったようだな」
優一はルークとリリアが泣きながら抱きしめ合っている所に来た。
「遅くなってすまない、ルーク。帰ろう」
僕はそう言い、敵二人を兵に引き渡しみんなで家に帰った。




