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暗黒大景 / ANKOKU TAIKEI【パイロット版】  作者: 火山 千
第1部

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85話 別れ

「能力強奪」

 新たな敵が僕の後ろに急に現れ、唱えた。僕の中から灰色の竜の力の全てが抜けていくのを感じた。僕は力を奪われた。僕は俯せで倒れた。


「カルマ、お前か…」

 男はもう一人のここへ来た男の名前を言った。


「おお、ソラ。お前、ボロボロじゃねーか」

 カルマはソラの姿を見てそう言った。


「カルマ、そこに倒れているユウイチと娘のアリスを殺してくれないか」

 ソラは頼んだ。


「ソラ、悪いな…。ユウイチは殺せない。僕の奪った能力は元々の持ち主が死ぬと俺はその奪った力を使う事が出来なくなるからね」

 カルマはそう言った。


「それならカルマ、その娘を殺せ」

 ソラはそう言った。


「嫌だ。ソラ、君は勘違いしてる。もう君、死ぬから教えてもいいか」

 男はそう言い少し笑った。


「悪いなソラ…、君の家族を殺すように仕向けたのはこの俺だ。」

 カルマはソラにそう言った。


「そんな…。冗談だろ」

 ソラは絶望した。


「遙か先の未来、君の亡くなった妹の子孫はアリスの子孫と手を組み、俺の脅威となる。だから俺は過去へタイムトラベルし、君の妹と家族を、アリスの子孫に殺させるように仕向けた。君の妹だけじゃなくて家族も殺したから上手く偽装出来たよ。ははは」

 カルマは笑った。


「カルマアアアアアア!!」

 ソラは怒鳴った。


「言ってなかったけど俺の名はカルマじゃない。俺の本当の名前はオレガノだ」

 オレガノという聞き覚えのある名前に僕は驚いた。


「惨めだなああ。君は僕が君の家族を殺すように仕向けた事に気づかず、僕の操り人形となってくれた」

 オレガノはソラの身体を足で踏みながらそう言った。


「君には感謝してるよ。僕はこの灰色の竜の力が欲しかった。本当にありがとう」

 オレガノは笑い感謝を述べた。


「うううっ、うううあああああああああああああああっ…」

 ソラは涙を流し、(うめ)いた


「もう用は済んだ。僕はここで御暇(おいとま)するよ。君は君の家族を殺した僕に復讐も何も出来ずただ地面に這いつくばり項垂れている。君の物語はここで終わり、ちゃんちゃん。あはははははは」

 オレガノは人を馬鹿にしたような笑いをした。


「暗黒最終顕現:デスグラシア・ダークネスバベルオーバー」

 オレガノは唱えると黒い暴風がオレガノの身体を包んだ。そして消え、オレガノの姿は灰色の竜の姿になった。


「じゃあね。バイバイ」

 オレガノはそう言い、翼で飛んで行った。



「うううううっ…、うううっ…」

 ソラは真実を知って項垂れていた。僕は立ち上がり、ソラの側に立ちソラを見下ろした。アリスも僕の側に来た。


「俺の家族が殺されたのはアンタの一族の所為だと思っていた。だが違った。アンタ達を狙って本当にすまなかった」

 ソラは涙を流しながら泣いていた。


「いいよ、ソラ。お前は悪くないよ」

 僕は膝を突き、ソラの手を握った。


「ユウイチ、未来から来たのは俺とオレガノだけじゃ無い」

「どういう事だ?」

 僕は聞いた。


「君達家族に恨みを持った人間が何人も未来からここに来ている。早く行った方が良い。次に狙われるのはお前の息子、ルークだ」


「教えてくれてありがとう、ソラ」

 僕はそう言った。


「お前はもう直ぐ死ぬ。オレガノが殺したお前の家族とお前の無念、俺たちの家族が時間が掛かっても晴らしてやろう」

 僕はソラにそう言った。


「ありがとう。本当にありがとう」

ソラは心から感謝した。そしてソラの目の光は消え、ソラは死んだ。



「お父さん…」

 アリスは側にいたが僕の名を呼ぶと倒れた。


「アリス!!」


「大丈夫か!アリス!」

 僕はアリスに駆け寄り、アリスの身体を持ち、揺らしたがアリスは目を開けなかった。

 アリスは意識はまた深い心の奥底へ沈んで行った。

 アリスはまた辺りは一面が水の場所に来た。


「クロ!!」

 アリスはクロを見つけると呼んだ。クロは振り返り、アリスはクロの方に走ってきて抱きついた。


「アリス、よく頑張ったね」

 クロはアリスの頭を撫でた。


「うん。私、頑張ったよ」

 アリスはそう言い、クロに頭を撫でられた。


「アリス、聞いて欲しい事があるんだ」


「どうしたの?」

 アリスは顔を上げ聞いた。


「僕はもうすぐ消える。だからもう君はここに来ても意味はない」

 クロはアリスに告げた。


「どういう事なの?」

 アリスは聞いた。


「君の心臓を治した時、僕の力の全てを使ってしまった。だから僕は長い眠りにつかなければならない。もう君に会えない」

 クロは悲しそうに言った。


「会えないって。ただ眠るだけでしょ?一年、二年」

「いいや。数百年、眠りにつかなければならない。だから君に会えるのはこれで最後だ」

 クロは答えた。


「嫌だ…」

 アリスは呟いた。


「何で折角会えたのにお別れしないといけないの!!」

「アリス…」

 涙を流すアリスにクロは困った。


「ずっと私の側にいてよ!!」

 アリスは本心を言った。


「アリス、君は僕の娘のような存在だ。君に泣かれると僕は困るんだ。だから泣かないでくれ」

 クロはアリスを慰めた。


「アリス、聞いてくれ。僕が数百年の眠りについてもう君と会えなくなっても僕は君を見守る事が出来る」


「どうやって?」


「君が今持っている力だよ。黒い運命の輪の力を君が持っている限り、僕は眠りについても君の存在を感じ取れる」


「例え話せなくても僕は君を一生、見守るよ。そして君は自分の子供にこの力を継承するんだ。君の子孫は僕が見守っていく」


「優一に黒い運命の輪の力はアリス、君を選んだと言うんだ。優一も分かってくれるはずだ。分かったね」

「うん」

 アリスは頷いた。


「もう時間だ…。僕は消える…」

 クロはそうアリスに告げた。


「アリス、君に会えて良かった」

 クロは最後の言葉を言い、消えて行こうとしていた。


「私もクロに会えて良かった。クロ…私を一生……」

「分かっているよ…、アリス」

 泣きじゃくって言葉を紡ぐのが難しいアリスにクロはアリスの言いたい事を理解した。クロは消えて行った。アリスは消えたクロを見て膝を落として泣いた。そしてアリスの意識は戻った。


 優一はアリスの意識が戻り、ほっとした。アリスは家に帰らせ、僕はルークを探しに行った。

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