84話 呪われた聖剣
「提案なんだが。ヨミ、お前は見逃してやるから、代わりにお前の娘をこの俺に殺させてくれないか?」
男は僕にそう提案した。
「お前、僕が条件を飲んだら娘を甚振ってから殺すだろ」
「ああ、そうだ」
男は僕の質問に答えた。
「俺は娘を守る」
「そうか、残念だよ」
僕は男にそう言うと男は残念そうな顔をした。
「暗黒第四顕在」
僕がそう唱えると黒い暴風が僕の身体を包んだ。そして消え、僕の姿は変わった。氷白竜の姿から暗黒竜の姿に変わった。僕の眼の瞳孔は黒く尖り、角膜は白から赤に変わった。僕の今の姿は暗黒竜と呼べる位、禍々しい姿だった。
「!」
僕が男に向かって高速で飛んできたので男は驚いた。氷白顕現の姿は長時間の飛行は暗黒顕現の姿より早いが、初速は暗黒顕現の姿が早い。
「ぐっっっ、があああああああああああっ!」
僕は高速で男の首を掴み、黄金の武器を持っている相手の右手の手首を掴み、動かせないようにした。そして僕は男を地面に打つけながら高速で飛んだ。
「ふふっ」
僕は痛がる男を見て少し笑い、男を解放した。
「ボロボロだな」
僕は男にそう言った。
「止めだ」
僕は地に両手を突き、獣の姿のような姿勢になり口を開けた。
(死ね)
「古竜固有魔法:究極の死の砲撃」
僕は力を放った。黒い力が目の前の全てを破壊した。辺り一帯を吹き飛ばした。
「はあ、はあっ」
男は僕の技を受けたが何とか生き延びた。男は血だらけだった。
「ほう、まだ生きているのか。関心関心」
僕はそう言って褒めた。
「じゃあ、これはどうかな?」
「究極魔法:火龍門」
僕は手を組み唱えると僕の前に大きな鳥居が出現した。鳥居の真ん中には異空間の歪みが見られ、そこから巨大な龍の頭が突き出た。龍は咆哮とともに巨大な黒い炎のブレスを男に向けて吐いた。黒い炎が男の目の前に来る。
「習合第二…、いや最終顕在:ラー・ホルアクティ」
男は第二顕在しようとしたが死ぬと思い、最終顕在した。
「死んだか?」
巨大な黒い門と竜は消え、黒い炎は燃え盛っていた。
「はは、不死身だなお前」
黒い炎は段々と消え、男がバリアを張っていたのが見えた。
「………」
男は槍で黒い炎を払った。黒い炎は消えた。
男は黄金の槍を振った。
「!」
僕の身体に何かが打つかり血が噴き出した。
「お父さん、油断しないで!!そいつは見えない風の斬撃を飛ばしてくるわ」
アリスはボロボロな身体で僕に助言した。
「そうか…。助言ありがとう、アリス」
僕はアリスに礼を言うと、男は歯をギッと噛み締めた。
「見えない風の斬撃か…。避けようがないな」
暗黒竜眼で未来は見えるがその見える未来でも風の斬撃は見る事が出来ない。まあ、透明な斬撃だからな。
「それなら…」
「武器顕現。聖剣:フィエルボワ」
鋼鉄で出来た剣を僕は顕現させた。僕は剣を鞘から抜いた。
「その剣はあの伝説の聖剣なのか…。美しい。神速の聖剣。いや、呪われた聖剣と呼んだ方が正しいか」
男は僕の剣を見てそう言った。
「この剣は大切な物だから誰にも見せたくは無かったが…。この聖剣を見たからにはお前には死んでもらう」
男は僕の言葉を聞き、槍を構えた。
「能力顕現:鎧鮫・羅刹」
僕は聖剣、フィエルボワの能力を顕現させた。黒い鎧を着けた躑躅色の大きな鮫が二匹現れ、僕の周りを泳いだ。
「何だ、その鮫は…」
男は僕が出した黒い鎧を着けた躑躅色の鮫を見てそう言った。
「来いよ。風の斬撃、飛ばしてみろよ」
僕は挑発した。
「言われなくてもそうする」
男は槍を振り回すと、見えない風の斬撃が何発も飛ばした。
「!」
風の斬撃が優一に打つかると思いきや黒い鎧を着けた躑躅色の鮫が風の斬撃を防いだ。
「行け」
僕が男に左手を向けてそう言うと二匹の鮫は男に向かって行った。
「くっっ…、がああっ!」
男は槍を振り回し噛みついて来ようとする二匹の鮫を振り払おうとしたが一匹の鮫に噛みつかれた。
鮫は元のご主人様の所へ戻った。二匹の鮫はゆらゆらと優一の周りを泳いだ。
「もう戻って良いよ」
僕がそう言うと二匹の鮫は消えた。
「何故、その力を消した?」
男は聞いた。
「理由は見たら分かるさ。風の斬撃、飛ばしてみ」
僕は指で挑発した。
「死ねえええええ」
「!」
男は黄金の槍を振り回し、風の斬撃を飛ばしたかと思われた。だが優一は掠り傷すら付かなかった。
「どうなってる…」
男は困惑した。
「先の鮫に噛みつかれた相手は使っていた魔法が一時的に使えなくなる。お前の風魔法は使えなくなった。残念だったな」
僕は説明した。
「お前のバリア、風魔法で作っていたんだろ」
「もう防御出来ないな」
僕はそう言い、少し笑った。
「もう終わりにしよう」
「暗黒最終顕在:デスグラシア・ダークネスバベルオーバー」
僕がそう唱えると黒い暴風が僕の身体を包んだ。そして消え、僕の姿は灰色の竜の姿になった。
「暗黒火術:火羅万象」
僕は両手を合わせると、何かの文字が書かれた黒色の石版が僕の後ろに現れた。
「!」
男はこの黒い石版を見てはいけないと思い、腕で目を隠した。
「遅い」
僕は呟いた。白い炎が生み出され男に向かって行った。
「があああっ」
男は口から血を沢山、吐いた。そして前に倒れた。




