81話 氷白顕在
「お前にもう一つの俺の戦闘形態を見せてやろう」
「氷白顕在」
僕がそう唱えると白い大嵐が僕の身体を包んだ。そして消え、僕の姿は変わった。氷白竜の翼に氷白竜の角、氷白竜の腕と足、そして氷白竜の長い尻尾の姿になった。今まで使っていた暗黒竜眼は消え、氷白竜眼に変わり、眼の角膜の色は赤から白に変わった。僕の今の姿は氷白竜と呼べる位、美しい姿だった。
「氷白竜の氷霧」
ここら一帯に氷の霧が発生させた。こうする事で氷白竜の技の威力を通常の威力より上げる事が出来る。
「氷白竜の氷柱」
空気中の水分を無数の氷の柱に変えた。そしてライカに向かって放った。
「アブソリュートバリア」
ライカは赤いバリアを張った。
「ぐっ…!!」
赤いバリアに無数の氷柱が打つかる。赤いバリアに罅が入る。
(距離を取っては不味い。接近戦に持ち込む!!)
ライカは氷柱を避けながらこちらに向かって走ってきた。避けきれない物は赤いバリアで防御した。
(よし!!)
ライカは優一に十分に近づき接近戦に持ち込もうと、黒い大剣を僕に振り下ろす。
「氷白防壁」
僕は自分を中心に白くて円形のバリアを展開し、斬撃を防いだ。
「アブソリュートバースト・アナザー」
ライカはそう叫んだ。魔力を黒い大剣に流すことで黒い大剣の斬撃の威力を上げた。黒い大剣からは赤い魔力が漏れ漂った。
ガン!ガン!!ガン!!!
ライカは何度も白い結界に剣を打つけた。白い結界は罅が入り割れ、結界は無くなった。
「今だ!!」
ライカは斬撃を僕に浴びせようとし、剣を振り下ろした。
「氷白竜の咆哮」」
僕はライカの剣が僕に当たる直前、咆哮した。咆哮したときに生じる風圧でライカを吹き飛ばした。
「氷白竜の大嵐」
僕は間髪入れず攻撃をした。氷の強い大嵐を複数発生させ、ライカを挟み込もうとした。
「アブソリュートバリア!!」
「!」
ライカは防御しようと赤いバリアを張ったが消えた。ライカは氷の大嵐に直撃した。ライカは大嵐に挟み込まれた。そして大嵐は消え、ライカは地に落ちた。
「くそっ…」
ライカは血だらけになり、地に伏せった。
「氷白竜の吐息」
僕は大きく息を吸い、そして白い吹雪を吐き出した。ライカの身体は吐き出した吹雪で凍え、雪が積もった。
「古代究極魔法:崩山激流」
僕は手を前に出すと僕の後ろに雪の大きな山が現れ、ライカに向けて雪崩が押し寄せ、ライカは雪を被った。
優一はライカを完全に殺しに掛かっていた。
「死んだか…」
僕は一面が雪で覆われたこの光景を見てそう呟いた。
ゴソッ、ゴソッ。
積もった雪の中からライカは出てきた。
「はは、死んでなかったな」
僕は笑った
「これでお前の息の根を止める」
「氷白第四顕在」
僕がそう唱えると白い大嵐が僕の身体を包んだ。そして大嵐は消えた。先までの力とは別格の力となっているのは誰が見ても分かる位、僕の今の姿は圧倒的な存在感を放っていた。
「お前も本気で来い。まだ奥の手を隠しているだろ」
僕はライカがまだ力を隠している事を見抜いていた。
「分かった。私も本気を出す」
ここら一帯の地から黒い魔力が吹き出した。そして魔力の色は赤く変わった。この世界の空気中、地中にある無数の膨大な魔力がライカを中心に集まる。ライカの身体は少し浮かび、赤い魔力はライカに向かって流れ込み、赤い球体となりライカを包み込んだ。赤い球体は中が透けていてライカの姿が見えた。
周囲に無数の真っ黒な蝙蝠が何匹も赤い球体の周りに羽ばたいていた。ライカの頭の上に赤い天使の輪が現れ、赤の球体の周りに黒い閃光が光った。そしてライカの周りに羽ばたいている黒い蝙蝠がライカの赤い球体に溶け込んだ。ライカの赤い球体は黒くなり、天使の輪は赤色から黒に変わった。細くて小さな一匹の黒い龍が飛んで黒い球体を一周した。
「暗黒第四解放:死と滅亡の運命・オーバー」
ライカは唱えた。そして黒い球体は割れた。ライカの宙に浮いていた足は地面に着いた。
今までの力とは別の次元の力となっているのを誰が見ても言える位、異質な力であった。
「ふん、その程度か…」
僕はそう呟いた。
「古竜固有魔法:絶対零度」
六角柱状の巨大な氷の結晶が出現した。無色透明な水晶みたいな氷の結晶にライカは閉じ込められた。
「………」
僕はライカが氷の結晶に閉じ込められているのを見ていた。妖刀の持つ妖力に操られていたが僕は正気を取り戻した。そして僕はこの光景を見て青ざめた。
「ライカ!ライカ!!俺は何てことを」
僕は巨大な氷の結晶を見て、刀を地に捨て氷を割ろうと、巨大な氷の結晶を叩いた。だが氷の結晶は割れなかった。
「覇道羅刹」
僕は元の魔導服の姿に戻り、巨大な氷の結晶を拳で砕いた。
「ライカ!ライカ!!」
僕はライカを揺さぶるがライカは目を開けなかった。ライカの身体は冷たくなっていた。
「暗黒第四解放」
僕の頭の上に青い天使の輪が現れた。
「今、治してやるからな」
僕はライカの胸に手を当てて、力を注ぎ込んだ。
「ライカ、目を覚ませ!ライカ!!」
「何で治っているのに…」
ライカは傷は治っているのに目を覚まさなかった。
その頃、ライカは自分の心の奥深くに沈んでいた。
ライカは心の中で目を覚まし起きて立った。
周りを見渡すと辺りは一面、水で空は雲があり透き通った空模様だった。水が透き通っているから地面の形が見えた。
「起きたのね」
ライカの目の前に女の人が現れた。
「貴方は誰?」
ライカは聞いた。
「さあ、誰なんでしょう」
黒髪の女は少し笑った。
「貴方が求めている言葉で言えば、私は青い力の化身と言えばいいのかな」
女はそう言った。
「私に力をくれるの?」
ライカは聞いた。
「違うわ。貴方は優一に殺された。だから私が貴方を生き返らせるわ」
女はそう言った。
「貴方は鍵の筈だ。私がもっと強く為るための…。だから力を寄越せ!!」
ライカは鋭い目つきで言った。
「ライカ、残念ながら私は貴方が強く為るための鍵では無いよ」
「私はただの青い力の絞り滓だよ」
女はそう言った。
「そんな…」
ライカは言葉を失った。これ以上自分は強くなれない事に絶望した。
「ライカ、貴方にはこれを見せないといけない。私の隣に来て」
ライカは女にそう言われ隣に来た。
「私の手を握って」
ライカは女にそう言われ、手を握った。そしたら見えていた景色が変わった。
「ここは…」
ライカと女は自分の家にいた。
「これは過去の記憶、貴方が生まれた時の記憶よ」
お父さんは赤ん坊の頃のライカをあやしていた。その隣にお母さんががいて、幸せそうな顔で見ていた。
「場面が切り替わるわ」
黒髪の女はそう言うと、場面が切り替わった。お父さんが自分の子供を集め何かを話そうとしていた。
「みんな。ライカがお腹にいた時、ライカが膨大な魔力を持っていたためアリアが死にそうになっていたのは知ってるな。この事をライカが知ったら悲しむかもしれん。お前達、ライカを守るためにもこの事は絶対に話すな」
お父さんはそう言った。
「分かっているよ、父さん」
ルークはそう言った。
「ライカは僕達の可愛い妹だ、何があっても絶対守るよ」
レイジはそう言った。みんな頷いた。
「みんな、ありがとう」
お父さんは泣いていた。みんなももらい泣きした。
「………」
ライカは自然と涙が溢れた。
「私はみんなに守られていたんだ。それなのに私は…」
黒髪の女はライカを抱きしめ撫でた。
そして元の景色に戻った。
「ライカ!!」
ライカは後ろから声がし振り返った。そこにはお父さんがいた。
「お父さん!!」
ライカは僕の方へ走り抱きついていた。
「私、間違っていた。ごめんなさい」
ライカは謝った。
「良いんだよ、ライカ」
僕はライカの髪を撫でた。
「お父さん。お兄ちゃんに酷いことしちゃった、どうすれば良い?」
「お兄ちゃんにちゃんと謝ればきっと許してくれるさ」
僕はそう言った。
「僕はあの人に話さないといけない事があるんだ。ここで待っててくれ」
「うん」
ライカは頷いた。
僕は黒髪の女の元に走って行った。
「アリサ」
黒髪の女は僕の声に振り返った。
「優一くん…」
黒髪の女、アリサは僕の名を呟いた。
「レイジとライカを守ってくれてありがとう」
「いいよ」
僕はお礼を言うとアリサはそう言った。
「アリサ、僕は君と同じ時を過ごしたいから何度も君を生き返らせようとした」
「………」
アリサは黙って聞いていた。
「でも、もう君を生き返らせる事は止めた」
「うん」
「俺はこの最後の一回の人生を過ごして君の元へ行く。だからアリサ君は僕を三途の川で待っててくれ、必ず行くから…」
「うん」
「もし君が僕と一緒にいてくれるなら天国で一緒に暮らそう」
「うんっ」
アリサは僕の言葉を聞き泣いていた。
「もう時間だね…」
アリサは光となって消えていきそうになった。
「アリサ!!」
僕はアリサを抱きしめた。
「私、三途の川ですっと待っているから必ず来て」
「ああ」
僕は答えた。
「私に会いに来てくれてありがとう。そしてさよなら、優一くん。上で待ってるね」
アリサはそう言い残し光の粒となって消えた。
僕はライカと共に心の奥底から出て、意識を取り戻した。僕は刀を拾い仕舞った。ライカは身体の力が抜け、歩けないので僕が抱きかかえ自宅へ戻った。
ドンドンドン。
自宅の玄関の扉から音が鳴る。
「はーい」
エリナが玄関の扉を開けた。
「ただいま」
僕はライカを抱きかかえ、家の中に入った。
「お父さんとライカ姉が帰ってきた!!」
僕の可愛い娘がそう言うとみんな玄関へ来た。
「お父さん、ライカ。お帰り」
ルークがそう言うと、みんなは僕等にお帰りと言った。
「ライカも無事に戻ってきたし、今日はみんなでパーティーをするぞ!!」
僕がそう言うと、子供達みんな喜んだ。僕はライカをリビングにあるソファーに乗せた。
「大丈夫か、ライカ?」
レイジの第一声はそうだった。
「お兄ちゃんごめんね。お兄ちゃんは私を守ろうとしたのにあんな酷い事をして」
ライカは反省した。
「良いんだよ、ライカ」
レイジはそう言い、ライカの手を握った。そしてライカは立ち上がりレイジに抱きつき、泣いた。レイジはライカを撫でた。
ライカが持っている青い力はアリサの消失とともに完全に消えた。
ライカの頼みでパーティーをみんなとした後、僕は黄色い力を改良し、それをレイジに与えた。ライカはもう家族を傷つける事はしないと心に強く刻んだ。




