77話 暗黒五強
「究極魔法:森羅万象」
僕は手を敵の方に向けた。そうすると地面から樹木が現れた。そして樹木で作られた無数の木の龍がこちらに来る敵に向かって飛翔し敵に打つかり、何人もの従者を退けた。
「暴れろ」
僕は立ち向かってくる神々の従者に向けて木の龍を放ち、敵を圧倒した。
「くそおっ、くそおお!!」
タナトスは自分たちが押されているこの現状に怒りが増した。
「勝てない、勝てる訳無い」
他の神々はそう言い、僕を恐れ逃げようとした。
「そうはさせない」
「古代黒魔法:千年結界」
僕は神々を逃がさぬように破れぬ目には見えない結界を張った。
「僕はタナトスに用がある。他の相手に邪魔されたくないから、お前達にはこの相手を打つけやる」
「お前達にこの私の古の術を見せてやる」
僕はそう言い、空間魔法で黒い古い本を出し、その本から一枚の紙を破り取った。
「黒魔術儀式祭壇、顕現」
僕がそう言うと僕を中心に蝋燭、供物、黒魔術の儀式の祭壇が現れた。
「古代究極黒魔術:死者復活」
僕は唱え、古い本から破り取った紙を地に置き、その紙の上に右手を置き魔力を込めると黒い閃光が走った。そうすると大きな黒い蜘蛛が四人の人間の形を象った。
「まさか、あれは暗黒の時代に最強と呼ばれた…」
「暗黒五強」
神々の中の一人が僕等を見て信じられない様子でそう言った。僕等は圧倒的な存在感を漂わせこの場所に佇んだ。
「我らを天国から引き戻したのはお前か?アルタイル」
僕が立ち上がると、僕の前にいる男が僕にそう言った。
「そうだよ、ベガ。僕がお前達を生き返らせた」
僕はそう答えた。
「!」
ベガは一瞬で僕の首元を掴んで殺そうとした。
「落ち着け、ベガ」
僕を殺そうとしたベガの腕を別の男が掴んだ。
「シリウス、邪魔をするな」
ベガの腕を掴んだシリウスにベガはそう言った。
「アルタイル、何か事情があって僕等を蘇らせたんだろ」
シリウスは僕にそう言った。
「ああ、そうだ」
僕がそう言うとベガは手の力を抜き、僕の首を掴んでいた手を離した。
「あーあ、これから面白くなるのにシリウスが余計な事を言うから」
暗黒五強の一人、レグルスはガッカリした。
「レグルス!!」
シリウスはレグルスの言葉に少しばかり怒った。
「アルゴルはどうなのよ。アルタイルとベガの喧嘩見たくなかった?」
レグルスは暗黒五強の一人であるアルゴルに聞いた。
「俺は下らん喧嘩には興味が無い。それよりここには戦いの匂いが充満している。久しぶりの現世だ、暴れたい。アルタイル、あいつらを打ちのめすために俺たちをここへ呼んだんだろ」
アルゴルは僕の意図を汲んでそう言った。
「その通りだ。俺の嫁と息子以外のここにいる全員を殺して欲しい」
僕は嘗ての戦友にそう頼んだ。
「ここにいる連中を片付けたら天国に戻してくれるんだよな」
ベガは僕に聞いた。
「ああ、そうだ。約束しよう。別に天国に戻る前に現世で好き勝手に過ごしてもいいぞ。お前達の望むようにしていい」
「折角、現世に戻ってきたんだし、俺は自分の好きなようにする」
僕の言葉にベガは安心したようだ。
「じゃあ、あいつらを全員殺してくれ」
僕がそう言うと暗黒五強の面々は逃げる神々を追った。戦いは再び始まった。
アマテラスはそっとこの場から従者と共にこの場から逃げようとしていた。
「一体何処に行こうとしているんだ、アマテラス」
僕がそう言うとアマテラスは驚き、身体をビクッと震わせた。
「いやあ、用事を思い出してな。天道の顔も見れた事だし、帰ろうかと」
アマテラスはおどおどした様子だった。
「あれだけ僕を馬鹿にしたのにただで済むと思っているのか?クソガキ」
「妾は高天原を統べる神なんだぞ、決してクソガキでは無い。訂正するんじゃ!」
アマテラスは怒った。
「タナトス、先から一向に話さないから消えたのかと思ったぞ」
「黙れ」
僕がそう言うとタナトスは睨んだ。タナトスはこれからどうすればここを切り抜ける事が出来るか考えていた。
「武器顕現:死の天使」
タナトスの手に黒い大鎌が現れた。
「やる気だな…。取り敢えず、お前達は死ね」
「木龍よ。暴れろ」
僕は手を敵の方に向けた。そうすると地面から樹木が現れた。そして樹木で作られた無数の木の龍が敵に向かって飛翔した。
「があっ」
木の龍はアマテラスとその従者に直撃し、遠くまで飛ばされた。この木龍に身体が当たるとまず骨はずたずたに折れ、最悪死ぬ。
「ああ、すっきりした」
僕がアマテラスをぶっ飛ばしすっきりした所でタナトスはこちらに木龍を避け走ってきた。
「これはどうかな」
僕は無数の木の龍を出し、タナトスに向けて飛ばした。
「死ね」
僕は木の龍でタナトスの行く道を塞ぎ、逃げる道も塞いだ。そして僕は手を握る仕草をすると木龍はもっと蜷局を巻き潰そうとした。
だが…。
「切り裂け!!」
タナトスは木龍を大鎌で切り裂いた。木龍を切り裂いた際に生じた鎌鼬が僕の方へ飛んできた。
「アブソリュートバリア」
僕は青いオーラのバリアを張り、鎌鼬を防いだ。
「やるじゃないか、これはどうだ?」
僕は地から樹木が出て、無数の木の龍がタナトスに向かって再び来た。
「ふん、何度もやっても無意味だ」
タナトスは吠えた。
「特性変質」
僕は木の龍の特性を変質させ、どんなものでも貫通される事が出来るようにした。
「何だと!!」
先、切り裂いた木の龍とは全然比べものにならない位、木の龍は硬かった。そして木の龍はタナトスの大鎌を折り、攻撃を防ぐ物は無くなった。そして木の龍に打つかり、タナトスの骨は砕けた。タナトスは遠くまで飛ばされ、息絶えた。
それから時間は過ぎ、僕等は神々とその従者全員殺し終えた。そして暗黒五強のメンバーは仕事を終えたのでバラバラに散った。また、手を貸して欲しい時は呼べば来てくれるそうだ。
僕はアルテミスとアルドを無事に他の遺跡の最深部に連れて行く事が出来た。僕はアルドを封印しようとしたがアルテミスはまた自分も一緒に封印してと僕に言った。
「アルテミス、それで良いんだな」
「うん」
アルテミスはそう答えた。
「アルテミス、アルド…」
「俺は、本当はお前達を封印するのは嫌なんだ。お前達の居場所を作れなくてごめん」
僕はそう言い二人を抱きしめた。
「いいのよ、アルタイル」
アルテミスは泣いていた。
「父さん、ごめん。僕が神を殺したからこうなってしまった。神々は人間が苦しんでも何もしないし、神々は自分の私腹肥やしている。僕はそれが許せなかったんだ」
アルドは泣いていた。
「アルド、お前は間違っていないよ」
「そうよ」
僕とアルテミスは自分の息子がした事を肯定した。
「ありがとう。父さん、母さん」
アルドは泣いていた。そして自分のしてしまった罪を後悔した。
「じゃあ、封印するぞ」
僕はそう言い、封印する準備を終えた。
「最後に…。アルテミス、この首飾りを僕にくれてありがとう。これのお陰でみんなを守れたよ」
「うん。貴方にその首飾りをあげて良かった。これからも大事にしてね」
アルテミスは僕にそう言った。
「アルテミス、アルド…。お前達が天国に行けるよう俺が何とかするから少しの間、待ってくれ」
「うん」
アルテミスは僕の言葉に涙を沢山、零した。
「母さん、ごめん。僕があんな事をしなければ父さんと母さんは幸せに暮らせたのに…」
アルドは泣いていた。
「いいのよ、アルド」
アルテミスはアルドを撫でた。
「古代黒魔術:千年結晶封印」
アルテミスとアルドは水色の大きな結晶に封印された。
「ううっ…。アルテミス、アルド…」
僕はその場所で泣き崩れた。その後、僕は自宅へ戻った。




