70話 力比べ
「大丈夫か?アリス」
僕はアリスに聞いた。
「大丈夫だよ、お父さん」
アリスは答えた。
「アリス、お前達はここで待っててくれ」
「!」
僕は手をオレガノにむけるとオレガノと僕の真下に魔方陣が出現し、僕とオレガノはここから離れた場所に転移した。
「ここなら邪魔は入らない」
僕はそう言った。
「自分の家族が巻き込まれないようにここへ移動したか。まあ、いい」
「行くぞ」
オレガノはこちらに向けて走り出した。
「失われし究極魔法:世界を焼き尽くす炎」
僕は黒く燃える黒い大剣を横に振った。そうすると黒い炎の斬撃がオレガノに目掛けて飛んできた。
「ふんっ!」
オレガノは黒い炎の斬撃を剣で防ぐが、斬撃の威力に後ろに押された。
「無詠唱で黒い炎を打っ放すとは思わなかったよ。流石だ」
オレガノは感心していた。
「これは防げるかな」
僕は黒い大剣を何度も振り、黒い炎の斬撃を飛ばした。
「くっ…」
オレガノは斬撃を見切り避けた。
「じゃあ、これは」
大きい黒い炎の斬撃を打っ放した。
ジジジジジジジジ。
オレガノはもろに食らった。オレガノは少し遠くの後ろの方まで移動するぐらいの斬撃の威力であった。
「はあ、はあ。やるじゃないか」
「最高だ」
オレガノは息を切らしていた。
「意外と効いているじゃないか。もう降参しろ」
僕はオレガノにそう言った。
「何を思い上がっている。お前の大技、お前だけが使えると思っているのか」
「失われし古代究極魔法:世界を焼き尽くす炎」
オレガノは青い炎の斬撃を僕の方に飛ばした。
僕は斬撃を黒い大剣で防いだ。僕の手は斬撃の威力で痺れた。
「無詠唱でこの威力だ。黒い炎には劣るが青い炎も中々良いだろう」
「黒い炎同士だとお互い同じ性質だから打つけても打ち消し合うだけだからこれでいい」
オレガノはそう言った。
「どちらが上か力比べだ」
「ああ、いいだろう」
僕がそう言うとオレガノはそう答えた。
「「おらああっ!!」」
僕の最大火力の黒い炎の斬撃をオレガノに向けて放った。
オレガノも負けず劣らず、最大火力の青い炎の斬撃を打っ放した。
黒い炎と青い炎は打つかり合い、斬撃は地を削り取った。
僕は黒い大剣を地に突き刺し、片足を地に着けた。身体はボロボロだった。
僕の頭の上に浮いている黒い天使の輪は少し割れていた。
「どうやら私の方が力は上のようだな」
オレガノはそう言い、こちらへ来た。
「さようなら、優一君」
オレガノは剣を僕に振り下ろそうとした。
(俺が死ぬ?こんな所で…。嫌だ、こんな死に方は絶対に嫌だ。死にたくない!!)
「暗黒第三解放:死と滅亡の運命・オーバー」
僕が唱えるとオレガノの振るった剣は風で防がれ、弾かれた。
そして頭の上にある黒い天使の輪は元の形に再生した。
「ふふふ、君は一体どこまで強くなるんだい」
オレガノは心の中で喜んでいるようだった。




