67話 覚悟
三日後…。
「起きて、ユウイチ。起きて」
僕はいつも昼まで寝るのだが昼になる前にルナに起こされた。
「どうしたんだ?ルナ」
僕はルナに聞いた。
「レイナが、レイナが!」
ルナは涙を流しなら慌てる様子に僕は目が覚めた。
僕とルナはレイナの部屋に向かった。
「通らせてくれ」
レイナの部屋の入り口に人だかりが出来ていたので僕はそう言い、部屋に入った。」
「レイナ、大丈夫か?」
僕はベッドで眠っているレイナに聞いた。
「レイナ!レイナ!!」
僕はレイナを揺さぶるが反応が無かった。
「心臓は止まってはないだろうな」
僕はレイナの胸に耳を当て心臓の鼓動を聞いた。
「心臓の鼓動が弱いな…」
僕がそう言うとルナは泣いていた。
「みんな僕の傍から少し離れて!」
僕はそう言い、みんな少し僕から離れた。
「力を半分、譲渡する」
僕の頭の上に赤い天使の輪を顕現させレイナの心臓の上に手を当て力を少しずつレイナの中に注いだ。
「お父さん?」
レイナの目が覚めた。みんなレイナが目を覚まし喜んだ。
「どうしたの?みんな」
レイナは聞いた。
「みんな、レイナが心配だから来たんだよ」
「そっか…」
レイナは納得した。
「レイナ、お前は呪いを掛けられている。僕の仲間と同じ呪いを…」
僕がそう言うとざわついた。
「レイナがこうなる前に誰かに魔法を掛けられた事はあるか?」
僕は聞いた。
「分からない、急に身体の調子が悪くなって動けなくなった」
レイナは答えた。
レイナは昨日から体調が悪くなり、ベッドに伏せっていた。医者のミアに診てもらったが病気では無いが何かにかかっていると言っていた。
一応、薬は処方して貰った。僕はまあ、大丈夫だろうと思っていたがこうなってしまった。
「ユウイチ、レイナはもう大丈夫なんだよね」
「………」
「ユウイチの力を譲渡したから呪いも無くなったんだよね」
「いや、呪いは無くなっていないよ」
「それにこの呪いにかかった仲間と国王は眠っただけで済んだがレイナにはこの呪いに耐えきれる身体を持っていない」
「どういう意味?」
ルナは恐る恐る聞いた。
「レイナはこの呪いに耐えきれずに数日後には死ぬ」
僕は事実を述べた。
「そんな…」
ルナは両膝を地に突いた。
「なら貴方の力を全てレイナに譲渡すれば」
「いや、ダメだよ。力を全て譲渡するとレイナは力の大きさに耐えきらず死ぬよ」
僕がそう言うとルナは神にも見放された表情をした。
「お父さん…。私、死ぬの?」
レイナは今にも消えそうな声で聞いた。
「大丈夫だよ。レイナを助ける良い方法がある。だから安心して眠りな。起きた頃には解決しているから」
僕はレイナの手を握り、そう言った。
「分かった。お休み、お父さん」
レイナは起きていたために体力を消耗したのかすぐに眠りについた。
「父さん、レイナを助ける方法があるの?」
「ああ、あるよ」
ロキにそう言われ僕はそう答えた。
僕は空間魔法である本を取り出した。この本は僕が考えた魔術を書き記した物だ。
僕は本を開き、使う魔法のページを開くとそのページの部分を本から切り離した。そしてルナに渡した。
「この紙に書かれているものは呪いを相手に移す事が出来る魔術だ。これは血の繋がりのある者同士でしか移す事が出来ない魔術だ」
「これを僕とレイナに掛けてくれ」
僕はそう言った。
「何、言ってるんだよ。父さん!」
テオは僕にそう言った。
「いつもルナを傷つける事しか出来なかったから、たまには夫らしい事をしないとな」
僕はそう言い、自分の子供達の傍へ行った。
「父さん、本当にやるんだね」
クロスは僕にそう言った。
「ああ」
僕はそう答えた。
僕の子供達が僕を中心に囲み僕を抱きしめた。
「お前達は僕の宝だ」
僕も自分の子供を抱きしめた。それをエリナ達は見守った。
「レイナに呪いの魔法を掛けた奴は狡猾で陰でこそこそする卑怯者だ。お前達の手で奴を倒し、呪いを解くんだ」
「分かったよ、父さん」
僕は子供達にそう言った。僕は次にエリナ達の前に行った。
「みんな、僕の子供達を頼む」
僕は妻達にそう言った。僕の妻達は涙を浮かべ頷いた。
「アリア、お前には僕の力の一部を渡す。手を出して」
僕はそう言うとアリアは手を出し僕は握った。僕の頭の上に赤い天使の輪が現れ、そして消え、アリアの頭の上に顕現した。アリアの頭の上にあった赤い天使の輪は消え、無事、譲渡に成功した。
「アリア、この力でみんなを守ってくれ」
「分かった」
アリアはそう言った。
「水月、お前がこの中で一番年上だ。みんなを頼んだぞ」
「分かっている、優一」
水月はそう言った。
「ルナやってくれ」
僕はレイナの隣でベッドに仰向けに寝そべった。
(何、泣いてるんだよ)
ルナは僕を見て涙を流していた。
「みんな、頼んだぞ。オレガノを倒すんだ」
ルナは魔方陣を展開させた。そして唱えた。僕の意識は消えた。
「んー」
レイナは目が覚め上半身を起き上がらせた。
「どうしたの?みんな」
レイナは隣に目をやるとユウイチは眠っていた。そしてみんなの様子から察するにレイナのせいでユウイチがこうなったのは明白だった。
「私の所為だ。私の所為でお父さんが!」
レイナは涙を流した。
「違う、違うよ。レイナの所為じゃないよ」
ルークはレイナの手を握り、励ました。
ルーク達はレイナが落ち着いた後、イザベラとフェリクス、阿修羅を呼び、オレガノと戦う作戦を練った。
「お父さん、何で逃げないといけないの?」
フェリクスは自宅に戻ると、家族で逃げる準備を始めた。
「ねえ、お父さん!!」
フェリクスの次女は言った。
「ユウイチが戦えないんじゃ、敵との戦いには絶対勝てない。お前も逃げる準備を早くしなさい」
「呆れた。何でクロス君達は戦うのにお父さんは逃げるの?ゼノ君だって戦うのよ」
フェリクスの次女は聞いた。
「ユウイチの強さは俺が一番よく知ってる。だからユウイチを間接的にとはいえ、戦えなくした敵とは戦えない。戦ったって犬死するだけだ」
「私達はここに残る」
フェリクスの次女はそう言った。長女、三女、嫁もフェリクスの行動に戸惑っていた。
「私の言う事は聞くんだ!」
「嫌だ」
次女は反発した。
「お前達を見す見す、殺される訳にはいかないんだ」
フェリクスはそう言い、次女に眠らせる魔法を掛けた。
「別の世界に逃げるぞ」
フェリクスの普段とは違う様子にみんな従うしかなかった。
(悪いな、ユウイチ。俺には恨まれても守らないといけない家族がいるんだ)
フェリクス一家は四の世界に行った。




