66話 夜襲
僕らは夕食を取り、各々寝る準備をした。
夜中になり、寝る時間になったのでみんな自分の部屋で寝た。
ギィィッ。
イザベラの寝室の窓から窓を開ける音がした。
フードを被り仮面を着けた男がイザベラの寝室へ窓から入って来た。
そしてイザベラのベッドの横へ行き、黒い大剣で布団で膨らんでいる所に刺した。
「!」
男は刺した時の感触に違和感を感じ、布団を引っ剥がした。そうすると中には丸められた布団だった。
「残念だったな、イザベラはここに居ないよ」
僕は中身を空にして入ったクローゼットから出てきて仮面を着けた男にそう言った。
「時間が戻っている。お前の仕業だな、優一・レッドフィールド」
仮面の男の声がボイスチェンジャーを使ったような声をしていた。
「イザベラを殺すのは失敗したがまたの機会にしよう、私は逃げる。さようなら、優一・レッドフィールド」
「待て!」
仮面の男は窓から逃げた。
「逃がさない」
僕はゲートを使い仮面を着けた男の目の前に現れ、黒い大剣で斬りつけようとしたが、仮面の男は左腕でガードした。仮面の男の左腕から血が流れ落ちた。
「………」
月明かりが僕らを照らす。僕と仮面の男は剣を構えた。
「おい、お前。何故、イザベラを狙う」
お互いに剣が打つかる。
「イザベラの予言が邪魔だからだ」
仮面を被った男はそう答えた。
「何を隠そう、お前達、黒十字騎士を襲撃したのはこの私だ」
仮面の男は真実を言った。
「お前だったのか。みんなを元に戻せ!」
僕は吠え、互いに何度も剣を交え、鎬を削った。
ギギギギギ。
鍔迫り合いになった。
「アブソリュートバースト!!」
僕は叫び、魔力を黒い大剣に流す事で斬撃の威力を上げた。黒い大剣に赤いオーラが流れた。
「!」
斬撃の威力は上がり、仮面の男の黒い大剣は折れた。そして仮面の男の首元に僕の剣が迫り来る。
「アブソリュートバリア」
仮面の男は迫り来る黒い大剣を青いバリアで弾き返した。僕はバリアの威力に弾かれ、後ろに移動した。
「何者だ!」
僕は叫んだ。
「ふっふっふっ。私の名はオレガノ。覚えておくがいい」
仮面の男は笑い、仮面の男の頭の上に青い天使の輪が現れた。
「まさかお前は!!」
僕は気がついてしまった。仮面の男の正体を…。
「ここまで追い詰められるとは思ってもみなかったよ。また会おう、優一・レッドフィールド」
仮面の男は目の前に黒い煙玉を投げ、辺り一面真っ暗になった。
「くそっ、逃げられた」
もうここには仮面の男はいなくなっていた。
僕はイザベラの家に戻り、リリアの部屋にいるイザベラの様子を見に行った。そして仮面の男の事を話した。僕は朝までリリアの部屋にいるイザベラを見守った。イザベラは安心したのかぐっすり眠った。
「おはようございます、イザベラ」
「おはよう、リリア」
イザベラは日頃の疲れのせいなのか昼まで眠っていた。リリアは昨日の襲撃者の事をみんなに話し、この城の警備を厳重にし、城の守りを強めた。イザベラの傍に手練れの部下を配置した。
「ユウイチは?」
イザベラはリリアに聞いた。
「先、帰りましたよ」
「そうなのね」
イザベラはそう言った。
「!」
イザベラは先まで見た夢を思いだせなかったが急に思い出した。
「リリア!急いでユウイチの所に行きましょ」
イザベラは焦った。
「どうしたんですか?」
「早く行かないとユウイチが!」
イザベラはリリアと共にゲートでユウイチの家に向かった。
僕は昼までイザベラの傍にいたがもう大丈夫だと思い、自分の家にゲートを使い戻った。
「お帰りなさい」
エリナは僕が玄関のドアを開けるとそう言った。
「ただいま」
「ユウイチの分のお昼ご飯準備するから待ってね」
「今日はお腹空いてないからいいや」
「そうなんだ、分かった」
エリナは答えた。
「どうしたの?大丈夫?ユウイチ」
エリナは僕の険しい顔を見て聞いた。
「何でもない」
僕はそう言い、みんなの集まるリビングに行った。
レイジが僕の娘達とお飯事をして遊んでいた。
「レイジ、その腕の傷どうした?」
僕はレイジの腕に包帯が巻かれているのを見て聞いた。
「ああ、これは一人で剣の特訓をしていたら怪我しちゃったんだ」
レイジは答えた。
「ほう。レイジ、お前嘘つくの上手になったな」
「どういう意味?」
レイジは聞いた。
「しらばっくれてるんじゃねーよ!!」
僕はそう言い、レイジの胸ぐらを掴んだ。
「お前がイザベラを殺そうとした犯人って事は分かってるんだよ!」
「何の事だよ」
レイジは父さんが何の事を言っているのか分からなかった。
「お前は昔から俺の事を恨んでいるって言ってたよな。ルナの夢を潰したから」
「だからって俺の仲間とイザベラを襲撃するなんて冗談で済まされるもんじゃねえんだよ!!」
僕は胸ぐらを掴んだ手を高く上げた。レイジは苦しそうだった。僕の娘達は泣き喚いた。
「何してるの!!」
ルナは異常に気づき、僕の方へと来た。
「ユウイチ、やめて。何してるの!!!」
ルナは僕を止めたが僕はレイジから離さなかった。
「何してるんだよ、親父!!!」
ルークもリビングに来て、僕を止めた。僕はレイジから手を離した。
「お、お前、冗談でしたじゃ済まされねえんだぞ!」
僕は激高し、後から来た僕の子供達に止められた。僕はレイジから引き離された。
「遅かったようね」
イザベラとリリアはリビングに入ってきた。
「何してんだよ、親父…」
ルークは僕にそう言い、僕は昨日あった事をみんなに話した。僕は今まで何回も送った人生で青い天使の輪は誰にも譲渡した事が無く、だからレイジが最近身につけた力を知っていたからイザベラを殺そうとしたのはレイジだと思った。
それと夜中の襲撃者に手傷を負わせた、レイジの怪我した場所と同じだったのを見て激高してしまった。
「自分の息子を信じられないなんて、貴方はおかしいわ」
ルナはレイジを抱きしめ僕にそう言った。
「じゃあ、イザベラを殺そうとしたのは誰なんだよ」
僕は自棄糞に聞いた。
「………」
みんな黙った。
「話を聞いてみるに黒十字騎士を襲撃しイザベラを亡き者にしようとしたオレガノと言う奴は計算高い奴だと俺は思う」
「父さんがレイジに激高するように仕向ける事で父さんの家族と父さんと引き離そうとしているんだと思う。だからレイジは犯人では無いよ」
レオはそう言った。
「その通りよ、ユウイチ」
イザベラはそう言った。
僕は皆にそう言われ納得した。
「レイジ。俺が悪かった、ごめん」
僕は土下座しレイジに謝った。
「いいよ、父さん。僕も父さんに疑われるような言動を取っていたし」
僕とレイジは仲直りした。
「さて、積もる話はおやつを食べながらでもしましょ」
「「わーい。おやつだぁー」」
エリナがそう言うと子供達、みんな喜んだ。暗い雰囲気だったがその言葉に救われた。




