61話 凝縮
「じゃあ、キスするぞおおお!!」
トリスタンはカナエにキスをしようとした。
しかし、レイジは黒い大剣を作り出しトリスタンの腕を切り落とそうとした。
トリスタンはそれに気づき、カナエを放り投げて、攻撃を避けた。
「何だ。折角、良いところなのによお」
トリスタンはそう言った。
「暗黒解放:死と滅亡の運命・インフィニティ」
レイジはは剣を持った右腕を横に伸ばし、剣を斜め下に向けた。
そして唱え、ロキの頭の上に青い天使の輪が現れ、黒い大剣から青い魔力が漏れ、体の周りからは青い閃光が光り、そして消えた。
「これじゃあ、お前を倒せないな」
レイジは自分で作り出した黒い大剣を捨てた。そして黒い大剣は魔力となり、レイジの元に戻った。
「黒加具土命」
レイジの後ろに黒い狩衣を着て黒い大剣を二本逆手に持ち、仮面を着けた髪の長い女が現れた。
「何だその使い魔は!」
トリスタンは聞いた。
「これは僕の式神だ」
レイジは答えた。
「何で剣を捨てた?」
トリスタンは聞いた。
「先、捨てた剣は僕の魔力で作り出したものだ。お前の首飾りは魔力の攻撃は無効化されるから捨てた」
「ほう、そうか。ご丁寧にどうも」
トリスタンは礼を言った。
「黒加具土命、剣を寄越せ」
レイジの後ろにいる仮面を着けた式神にそう言うと、式神は右手に持っていた剣をレイジに渡した。
「その剣、魔力で作ったやつでは無いな」
「そうだ」
レイジは答えた。
「黒加具土命、奴を殺せ」
レイジが指示すると黒加具土命はトリスタンに向かって行き、剣を振り下ろした。
(こいつ、動きが早い)
トリスタンは黒加具土命の攻撃を何度も躱した。
「くっ……」
トリスタンは黒加具土命が振り下ろした剣を受け止めた。
「僕もいるよ」
レイジはトリスタンの腹に黒い大剣を打つけた。
「ぐっ……」
トリスタンは咄嗟に風魔法で防御した。レイジは力を込め、トリスタンは吹き飛ばされた。
「はは、中々やるな」
トリスタンは吹き飛ばされたがまた立ち上がった。
(奴らの剣は魔力で作ってないからこの首飾りをしてても攻撃が通ってしまう)
「畜生、この役立たず」
トリスタンは首飾りを強引に取り、地面に捨てた。
「いいのか?」
レイジは聞いた。
「役に立たないからな」
トリスタンはそう言った。
「黒加具土命、行け」
レイジは指示をすると黒加具土命はトリスタンに向かって行った。
「何度も来やがって」
(あれを試してみるか)
「限定破壊」
トリスタンがそう言い、黒加具土命の剣と自分の剣を打つけた。
「何っ!」
黒加具土命が持っていた黒い大剣一振りが破壊された。
「どうやら、その黒加具土命っていう式神の核はその剣二本にあるようだな」
「あと一本、お前が持っているその剣を壊せばお前の式神は終わりだ」
トリスタンはレイジに向かって来て剣を振り下ろした。レイジは剣で受け止めた。
「壊れて死ねえええええええ」
トリスタンは叫んだ
「はは、お前は感情的になると周りが見えなくなるようだな」
「何っ!」
「鬼神砕破」
黒加具土命は両手で力を集め青いオーラを凝縮した物を作り出した。その塊には強い黒い閃光が走った。
そして青いオーラの塊をトリスタンに打つけた。
「があああああああああっ」
トリスタンは青いオーラの塊を打つけられ、塊ごと吹き飛ばされた。
「死んだか…」
レイジはカナエの元へ行った。
「カナエ、大丈夫か?」
レイジが聞くと、カナエはレイジに抱きついた。
「怖かった」
カナエは涙を流していた。
「もう、大丈夫。大丈夫だから」
レイジはカナエを抱きしめた。レイジの戦いは終わった。




