59話 ヒーロー
「何だよ、お前達。この私が怖くないのか?」
ガヴェインは焦る。
「怖くないね」
ロキはそう言った。
「まあ、いい。お前達が後で後悔してももう遅いからな」
「クソガキィィィィィィ」
ガヴェインがロキを狙い、こっちに向かって走った。。
「究極魔法:氷操白崩山」
レオは黒い大剣を上から下に振った。そうすると山のような氷が現れた。氷の山で道は塞がった。
「ロキ、逃げるぞ」
レオはそう言った。
「ははは、バーカ。油断したなお前達。死ねえええええええええええェ」
ガヴェインは氷を風魔法で砕き、ロキに向かって剣を振り下ろした。
「ぐっ…がはっ…」
レオはロキを庇い、ガヴェインの斬撃を受けた。
「兄貴!!」
ガヴェインから距離を取るようにレオは風魔法でロキと一緒に自分たちを後ろに吹き飛ばした。
「兄貴、兄貴!」
ロキはレオを揺らす。レオは剣で斬られた場所から血が噴き出した、致命傷だった。
「ロキ…、大丈夫か?」
レオは聞いた。
「俺は大丈夫だけど、兄貴が…」
ロキは回復魔法をレオに掛けた。
「俺は…、もうダメだ。お前だけでも…、逃げろ」
レオはロキにそう告げた。
「何言ってるんだよ、兄貴を置いて逃げれないよ」
ロキはそう言った。
「俺がお前とこの場所に来た理由が分かった。良かった…、お前を守れて」
「でも情け無いよな。昔から俺は大口を叩いていたのにレイス戦でお前たちのピンチに何も出来なかった」
「何言ってるんだよ、兄貴。俺たちが小さい頃、父さんが僕らみんなを殺す奴が現れるかもしれないと話したあの時、僕ら兄弟はみんな不安だった。でも兄貴が『俺がみんなを守るよ』と言ってくれた。その言葉だけで僕たちの不安は消え、安心したんだ!!」
「兄貴は僕たちのヒーローだったんだ」
ロキは泣きながらそうレオに言った。
「ロキ、ありがとう」
レオはそう言うと、目を閉じた。レオが作り出した、氷の山は消えた。
「兄貴?兄貴!、傷は治ったのに何で」
ロキはレオを揺さぶるが反応は無かった。
「死なせない!!」
ロキは思い出した。父さんが昔、話してくれた。人が死にそうなときどうすればいいのかを。
「俺の全ての力を兄貴に譲渡する。だから兄貴を助けてくれ!!」
ロキは手をレオの心臓に当てそう叫ぶと黒い閃光が飛び散った。ロキは全ての力をレオに譲渡した。
「兄貴、兄貴!」
ロキは揺さぶる。
「ロキか…、俺は生きているのか?」
「うん、生きてるよ」
「お前、自分の力を俺に譲渡したな。いいのか?もうお前は力が無いんだぞ」
「いいんだよ、兄貴。俺の力なんて兄貴の命に比べれば」
「ありがとう、ロキ」
レオとロキは抱きしめ合った。
「ロキ、お前もう立つ力も残っていないだろ。そこで見ていろ。俺が奴を倒す」
「分かったよ、兄貴」
ロキはそう答えた。
「ガヴェイン、長く待たせて悪かったな」
レオはガヴェインにそう言った。
「いいんですよ。さあ、戦いを再開しましょうか」
ガヴェインはそう言った。
「俺の新たな力を見せてやる」
「究極魔法:氷操黒崩山」
レオは黒い大剣を上から下に振った。そうすると空気中を走るように無数の黒い氷塊がガヴェインに目掛けて来た。
「くっ……」
ガヴェインは無数の黒い氷塊を避け、レオに近づこうとしたがレオはそうはさせなかった。
「何っ!?」
ガヴェインは動けなかった。
「氷操」
レオはガヴェインの足に黒い氷を作り出し、ガヴェインの動きを止めた。そしてガヴェインの後ろに大きい黒い氷を作り出した。
「死ね」
レオは黒い氷塊を作り出し、黒い氷塊は空気中を走り、ガヴェインに打つかり、ガヴェインは死んだ。
「兄貴、終わったんだね」
ロキは立ち上がり、レオの傍に来た。
「ああ、終わった」
レオはホッとした。




