57話 アーサー王は安らかに眠る
「やっと姿を現したか…」
灰色のバリアで攻撃を防いだアーサーを見て僕はそう呟いた。
「………」
アーサーは風魔法で宙に浮き、移動した。アーサーは空間魔法で剣を出した。
「ほう、その剣で僕と戦うつもりか?」
僕は聞いた。
「私が持つ武器の中で最強の剣、マルミアドワーズ。これで貴方を倒します」
アーサーは構えた。
「お前の大切な剣が折れても知らねーぞ」
「削れ!」
僕は赤い雷を纏った黒い大剣を振り回すと、纏っていた赤い雷が地面を削り取り、アーサーに目掛けて赤い雷が来た。
「くっ…」
アーサーは赤い雷を剣で防いだ。赤い雷の攻撃は重く、アーサーは後ろに後ずさりした。
「まだまだあっ!!」
僕は剣をぶん回し、赤い雷が地面を削りながらアーサーに攻撃した。
「ううっ…」
アーサーは赤い雷の攻撃を剣で受けるので必死だった。
「もうこれで終わりだ!」
僕は剣での攻撃は止め、左腕を前に出し掌をアーサーに向けた。そうすると掌から赤色の球体を作り出した。その赤い球体は電気を帯びていて、明るく煌めいていた。
「赤いプラズマ」
僕はアーサーに向けて赤い球体を放った。
(赤い球…。何か仕掛けがあるのか?まあ、いい。斬り伏せるまでだ)
アーサーは赤い球体を剣で斬ろうとした。だがしかしアーサーが斬る前に優一が左手の手を握る動作をした。そうすると赤い球体は弾けた。
「うわああああああっ」
赤い球体が弾け、赤い電撃が放電した、アーサーは感電し、動けなくなった。
(今だ!)
僕はアーサーに向かって走り、アーサーを斬り伏せた。アーサーの身体から血が噴き出した。
アーサーは倒れた。
僕は仰向けになっているアーサーの傍に寄り、膝を突いた。
「先生…」
「どうした?」
僕はアーサーの手を握った。
「私は貴方とまた会うことが出来て良かった…」
「ああ、僕もだ」
「先生…、私は小さい頃から貴方に育てられここまで来た。私が貴方の実の子じゃないのに育ててくれて…、ありがとう」
アーサーは泣いていた。
「いいんだよ、そんなこと言わなくても。例え血が繋がって無くてもお前は僕の自慢の息子だよ」
僕も涙を流した。
「先生、貴方から貰った力を返します。僕の力を付与させました、これで灰色の天使の輪を使う時、私の持っている武器を出し入れする事が出来ます」
「先生には必要は無いと思うので先生の子供にこの力を上げて下さい。いつか役に立つ時が来ます」
「分かった」
僕はそう言った。
「先生…」
「何だ?」
僕は聞いた。
「今までありがとう」
アーサーはそう言い、思い残す事無く、塵となって消えた。
僕は立ち上がってその場を動かなかった。
「親父、アーサーは思い残す事無く逝ったか?」
僕は後ろから来た男に言われ、振り返った。
「何だ、ケイか…」
僕は男を見るとそいつは僕の息子であるケイだった。ケイは円卓の騎士の一人だ。
「アーサーは何も思い残す事なく逝ったよ」
「そっか。良かった」
僕がそう言うとケイはそう答えた。
「お前、すっと僕とアーサーが戦っているのを見ていたのか?」
「ああ、見ていた」
「声かければ良かったのに」
僕はそう言った。
「アーサーが王都を襲撃する命令を出した理由は親父と二人の時間を過ごしたかったんだと思う。だからアーサーは他の奴に親父と戦わせないように釘を刺した。俺はアーサーの思いを汲んで親父とアーサーが戦うのを見守ってたんんだ」
ケイはそう言った。
「お前、優しいんだな」
「だってアーサーは俺の可愛い弟だからな」
ケイはそう言った。
「お前はこの後、どうする?僕と戦うか?」
僕はケイに聞いた。
「いやいや、俺は親父と戦わないよ。他の奴と違って親父や親父の家族に対して殺意の衝動が無いから、俺は消えるまでこの世界をぶらぶら散策するよ」
「そうか」
僕は言った。
「戦っている僕の子供達が心配だ。悪いがお前とはここでお別れだ、ケイ」
「またあの世で会おう、息子よ。」
僕はそう言い、ケイを抱きしめた。
「恥ずかしいよ、親父」
ケイはそう言いながら僕を抱きしめた。
僕はケイと別れ、その場を立ち去り、子供達の所へ向かった。




