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暗黒大景 / ANKOKU TAIKEI【パイロット版】  作者: 火山 千
第1部

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52/117

52話 何も無い

 レオは自分の部屋に戻った。


「くそお!くそ、くそお!」

 レオは自分の枕を拳で殴った。そして枕を掴み、何度もベッドに叩きつけた。


「大丈夫?レオ」

 ハクアはレオが心配になり、部屋に入った。


「ハクア…」

 レオはハクアの名を呼んだ。ハクアはレオの傍に近寄った。


「どうしたの?」

ハクアは聞いた。


「さっき、父さんが力を誰かに譲渡するって言ったんだ。俺はそれを聞いて一瞬迷った。だから力はアリアに譲渡された…」


「俺はルークのように修行して力を手に入れる度胸もない、弟達のような才能も無い」


「俺には何も無いんだ。俺だって力を使えるようになって誰かをを守りたいよ…」

 レオは涙を流した。レオは弟や妹の前では泣かないと決めていた。だが誰かに心の内を明かしたかった。泣き言を言いたかった、例えそれがどんなに情け無い物でも…。


「私も貴方のように苦しんだから貴方の苦しみは分かるよ。大丈夫よ、レオ。私の力、貴方に上げるから」


「でも、いいのか。ハクアの力は父さんから貰った大切な力なんだろ」


「いいよ、私はレオに力を上げたいから上げるの。手を出して」


「ああ」

 レオは手を出した。ハクアは手を握った。ハクアの頭の上に氷の天使の輪が現れ、そして消えた。レオの頭の上に氷の天使の輪が現れた。


「俺にも力が…」

 レオは自分の部屋にあった鏡を見た。レオの頭の上には氷の天使の輪が浮かんでいた。


「ありがとう、ハクア。本当にありがとう」


「うん」

 レオはハクアを抱きしめた。


「ハクアに何かお礼しないとな、俺に出来ることなら何でもするよ」

 レオはハクアにそう言った。


「うーん。それなら私と結婚して欲しいな」


「えっ」

 レオはハクアの発言に驚いた。


「冗談、冗談」

 ハクアはレオの反応を見てそう言った。


「ハクア、俺もお前と結婚したい」


「えっ…」

 レオはハクアの目を見つめて言った。


「私が貴方に力を上げたから、そのお礼?」


「違う。違うよ、ハクア」

 レオはハクアの両肩を掴み、否定した。


「俺はハクアと初めて会った時、運命を感じたんだ。俺はこの女性と結婚するって」


「一目惚れってこと?」


「一目惚れ、いや、うん、その通りだ。俺はハクアに一目惚れしたんだ」


「そっか…」

 ハクアは顔を少し赤らめた。


「そうだ。ハクアお前にプレゼントがあるんだ」

 レオは机の引き出しを開け、小さなケースを持ってきた。


「もしかしたらいらないかもしれないが…」

 レオは小さなケースを開けた。ケースの中には婚約指輪があった。


「凄い。私にくれるの?」


「もちろん。指を出して」

 ハクアは手を出し、レオはハクアの左手の薬指に婚約指輪を嵌めた。


「大きいね」


「六カラットだから大きいよ」

 ハクアが見たことが無いサイズのダイヤだった。


「ありがとう、大切にするね」

 ハクアはとびきりの笑顔でそう言った。


「ハクア…」


「何?」


「俺と結婚してくれるか?」


「うん、いいよ」


「俺はハクアを一生大事にするよ」

 レオはハクアを抱きしめた。


「ハクア、どうした?」

 ハクアはずっと啜り泣いていたのでレオは心配した。


「お姉ちゃん達と妹達には悪いけど、お父さんと私が血が繋がってなくて良かったと思ったの。血が繋がってないからレオと結婚できるって。でもそんな事を思えるなんて私、性格悪いのかな…」

 ハクアはそう言った。


「そんな事は無いよ」

 レオはハクアを抱きしめ、髪を撫でた。

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