51話 型
それから二週間が経った…。
その二週間の内に定例会があったのだが、何者かによる襲撃に遭った。僕とカミラとフェリクスは定例会に行かなかったので襲撃には遭わなかった。
僕とカミラ、フェリクス以外の黒十字騎士のメンバーは全員と王は、何者かによる呪いの魔法で眠らされた。起こそうとしても起きなかった。僕が見たところ全員、時間を止める魔法を使われているようだ。何故そう思うのかはもし時間を止められていなく、眠らされているのなら排泄物が勝手に外に出るはずだからだ。途中経過を見ていたが眠っている者、全員排泄しなかった。これは眠らせ時を止める魔法を掛けられたと断定できる。この魔法を解くには術者を殺して解除させるかこの魔法を解除する魔法を掛ける、その二つの方法しかない。王と黒十字騎士のメンバーは配下に任せた。
ロキは彼女がいる。今日は彼女とロキが付き合うことになった記念日だ。だからロキは花束と食事とケーキを彼女の家に持って行った。
「………」
ロキは彼女から合鍵を貰っていたので開けて入った。
(エミリーはまだ帰ってなさそうだな。帰ってきたら驚かせてやろう)
ロキは企み少し笑った。
ロキは食事とケーキと花束を一階のダイニングの机の上に置いて彼女を待とうとした。
上の階から話し声が聞こえた。もしかして彼女と彼女の親が上の階にいるのかと思い、ロキは花束を持って階段を上がった。
話し声が聞こえる部屋は扉が少し開いており彼女の声が聞こえた。
「………」
ロキは驚かせようと中を少し覗いた。
そこには驚きの光景があった。
エミリーは他の男と交わって愛し合っていた。ロキはそれをじっと傍観することしか出来なかった。
「………」
ロキは花束を地に落とした。
ロキは階段を降り、家を出た。
ロキは歩く内に涙を流し、この腐った紛い物の世界を呪った。
次の日…。
ロキは自分の部屋に閉じこもっていた。妹が父さんが外の敷地で呼んでいると教えてくれた。 ロキは足取りが重いが外に出た。
「お前達、全員集まったな」
僕の目の前にはレオ、アリス、ルーク、ロキ、クロス、レイジ、テオがいた。
「そろそろ敵と戦うことになりそうだからお前達をここに呼んだ」
僕はそう言った。
「お前達、これ出せるか?」
僕の頭の上に黒い天使の輪を顕現させた。
「これでしょ」
ルークは赤い天使の輪を顕現させた。
「他に出来る奴はいないのか?」
僕は聞いたしかしみんな黙った。
「お前達は兄に遠慮して出さないようだが遠慮しなくていい。今はそれどころじゃないんだ」
僕がそう言うと。
「僕も出来るよ。兄ちゃんが苦労して手に入れた力を僕は簡単に発現したから言いずらかったけど」
テオはそう言い、砂の天使の輪を顕現させた。
「僕も…」
クロスはそう言い、橙の天使の輪を顕現させた。
「他にもいないか?」
僕は聞いた。
「父さん、俺も使えるようになったよ」
ロキはそう言うと、ロキの頭の上には黒い天使の輪が浮かんでいた。
「ロキ、お前何かあったのか?」
僕は驚いた。黒い天使の輪は力を譲渡されて使えるようになるか強いストレスによって使えるようになるかの二つだった。
「何でも無いよ、お父さん」
「そうか」
僕はそう答えるしか無かった。
「他にはいないか?」
「………」
みんな黙った。
「どうやら、いないようだな…」
僕はそう言った。
「レオ、アリス、レイジ…。お前達の中で一人、僕の力を譲渡しようと思ってる。力が欲しいやつはいるか?」
僕は聞いた。
「僕はいいや。他の人に譲るよ」
レイジはそう言った。
「俺が…」
「私が貰う」
レオが小さい声で言おうとしたがアリスがそう言い、レオの声は掻き消された。
「そうか…。アリス、僕の方へ手を出しなさい」
僕がそう言うと、アリスは手を出した。僕はアリスの手を握り、力を譲渡した。
「!」
そうするとアリスの頭の上には桃の天使の輪が現れた。
「じゃあ、次にお前達に話さなければならないのは、天使の輪の色の種類とその特性についてだ」
僕はそう言い話し始めた。
「まず、僕の頭に浮かんでいる天使の輪、これを僕は運命の輪と名付けた。運命の輪を使うと攻撃力、防御力が飛躍的に上がる。そして特殊な技が使えるようになる」
「僕が今、頭の上に浮かべている黒い天使の輪は攻撃特化型だ」
「次にアリスの頭の上に浮かんでいる桃の天使の輪はバランス型だ。これは運命の輪の中でもバランスの取れた型だ。桃の他に灰色、橙、金がある」
「次に特殊型。相手が剣で斬っても斬れないときに有効だ。無体の物でもその特性を打ち消すことが出来る」
「特殊型は赤、緑、紫、青の四つだ。これの強さの順番はオーラと同じだ」
「次は防御型。種類は氷、砂。防御型は高い防御能力を持っている。上手く使えば攻撃特化の黒い天使の輪と同じくらい強くなる」
「そして最後に運命を変える事の出来る型。これはレイス戦で最後に使った白い天使の輪で、この力のお陰でみんな生きる事が出来た。僕が生きてきた人生であの時、初めて使った謎の多い力。これで以上だ」
「お前達の運命の輪は使い方次第で自分よりも強い奴を倒すことの出来る無限の可能性を秘めているだからお前達はこの力を自由自在に使えなければいけない、分かったな」
「分かったよ、父さん」
僕は話を終え、みんなそれぞれ戻った。




