50話 財宝
何日か経った…。
「ユウイチ!起きて、ユウイチ」
僕がベッドで寝ていたらエリナに起こされた。
「ルーク達が立ち入り禁止されている遺跡に行ったようなの」
僕はエリナのその言葉を聞いて目が覚めた。
「どうすればいい?」
「取り敢えずみんなで話し合いをしよう」
エリナにそう言われ僕はそう答えた。
「…で遺跡ダンジョンに僕の息子達が行ったのか」
僕はリビングでみんなの話を聞いた。
僕の息子のレオ、ルーク、ロキ、クロス、レイジ、テオは昨日友達の家に泊まると行って家を出たらしいがそれは嘘で遺跡に行ったそうだ。
息子達は遺跡ダンジョン攻略するために王都で人を集めていたそうだ。王都では一攫千金を狙い、何人もの冒険者が志願した。そして十六人で構成されたパーティーが結成され、遺跡ダンジョンに潜った。
王都には遺跡ダンジョンに行った者の噂が広まり、買い物に来ていた、ルナとアリアの耳にも入り、家に急いで戻り、その事をみんなに伝えた。
立ち入りが禁止されている遺跡ダンジョンは一度も攻略されたことが無く、噂によるとこのダンジョンの奥には巨万の富が眠っているらしい。
だから遺跡ダンジョンを攻略しようと多数のギルドやパーティーが挑戦したが誰一人として巨万の富を持ち帰った人はいなかった。
「どうしよう、ユウイチ」
エリナは泣きそうになりながら僕に言った。
「どうするも何も息子達が帰って来るまで待つしか無いよ」
「そんな、悠長な」
僕が言うとルナは僕に言った。
「ユウイチ、貴方を筆頭にパーティーメンバーを募りましょ。」
シエラは僕にそう言った。
「シエラ、もしかしてそれは僕に遺跡ダンジョンに行って息子達を助けろって事か?」
「そうだけど」
僕はソファーに座っていたが足を体躯座りの姿勢にした。
「僕、実は狭くて暗い場所苦手なんだよね。身の危険を感じる場所は特に…」
「なに弱気な事を言ってるの!しっかりしなさい」
シエラに活を入れられた。
「ユウイチ、パーティーメンバーを募りに冒険者ギルドに行きましょ。さあ、早く立って!」
「嫌だ、やめろー」
僕はシエラに腕を掴まれ、ソファーから下ろされ玄関に向かって引きずられた。僕は必死に抵抗した。
「俺は石のように動かん。イザベラが来るまで動かないからな」
僕は全力でその場を動かなかった。
「もう、仕様がないんだから」
シエラは僕の態度に呆れ返った。
ガンガン。
玄関からドアノッカーがなる音が聞こえた。
「はーい」
エリナは玄関へ行き、扉を開けた。
「急に来てごめんなさいね。話があるからお邪魔させて貰うわ」
聞き覚えのある声が聞こえた。
足音がこちらに近づいてきた。
「どうしたの?ユウイチ」
僕が顔を上げるとイザベラが目の前にいた。
「僕は行きたくないって言ってるのに行けって、シエラが僕をいじめるんだあ」
僕がそう言うとイザベラの付き人として来たリリアは駄駄を捏ねる僕をゴミを見る目で見た。
僕の今の姿、他人から見たらどう映っているんだろう。
みんなリビングに集まった。イザベラに事情を説明した
「ユウイチ、貴方は遺跡ダンジョンに行ってはいけない」
「どういう事?」
イザベラが優一にそう言うと、シエラはどういう事なのか聞いた。
「私は夢を見て予言するって前に言ったね。昨日、私は夢を見た。貴方たちの息子が遺跡ダンジョンを攻略し無事に戻ってくる夢をね」
イザベラはそう言い、みんなそれを聞いて一安心した。
「それなら僕が遺跡ダンジョンに行かなくても良さそうだな」
「あー良かった、良かった」
僕も一安心した。
「何言ってるの?助けに行くのよ、ユウイチ」
シエラは僕に言った。
「焦ってはいけないよ、シエラ」
「私が見た夢にはユウイチの姿は無かった。優一が居なくてもダンジョン攻略出来たのよ」
「何が言いたいんだ?」
僕はイザベラに聞いた。
「ユウイチが遺跡ダンジョンに行くと未来が変わり、貴方たちの息子が無事に帰って来るかどうか分からなくなるってことなの」
「………」
それを聞いた皆は黙った。
「じゃあ、私達はどうすれば良いですか?」
ルナがイザベラに聞いた。
「レオ達が帰って来るまで大人しく家で待つしか無いわ」
「そんな…」
シエラは呟いた。
僕たちは息子達の帰還を家で待った。昼は過ぎ、午後の三時になった。
「ただいまー」
クロスの声がした。
みんな声に驚いてすぐに玄関に行った。
「ロキ、クロス!」
シエラはロキとクロスを抱きしめた。
「ただい…」
ルークがただいまと言おうとした時、エリナがルークを抱きしめた。
「何で!何でダンジョンなんかに行ったの」
「小さい頃からダンジョンはお父さんも行くのが怖いっていうほど危ないって教えたよね」
「ごめん、母さん」
ルークはエリナに抱きしめられ、謝った。
「母さん…、ただいま」
テオがカミラに言った。
「良かった、無事で…」
テオをカミラは抱きしめた。
「レイジ…」
「ごめん、母さん。嘘ついてダンジョンに行って」
「ただいま」
「ただいまじゃ無いよ。貴方もしかしたら死んでいたかもしれないんだよ」
「うん」
「でも良かった」
ルナはレイジを抱きしめた。
「母さん、ただいま」
(みんな抱きしめ合っていて、何か照れくさいな。早く自分の部屋に行こ)
レオはそう思い、自分の部屋に行こうとした。
「レオ…」
アリアはレオの名前を呼ぶとレオを抱きしめた。
僕は息子達が無事に怪我無く帰ってきて良かったと思った。
「みんな集まって」
僕の家族全員とイシスの娘達、イザベラ、リリアがリビングに集まった。
「みんな机から離れて」
みんなルークの言うとおりに机から離れた。
「行くぞ!」
ルークは机の真上に空間魔法を沢山、展開した。
ゲートから金色に輝く財宝が降ってきた。机の上は黄金の山となった。
降ってくる財宝は尋常じゃなく、机の上に乗りきらず、下に落ち溢れた。
「凄い、お兄ちゃん凄い!」
弟や妹は喜んだ。
「みんな心配かけたな、この財宝はみんなで山分けだ」
「「やったあ」」
ルークはそう言うと弟や妹は大喜びした。
「わあ、王冠だ!私、王女さまに見える?」
「ああ、見えるよ」
妹は金の王冠を被り、兄たちに見せた。
「俺は勇者だ。みんなで勇者ごっこしよーぜ」
弟は意気揚々に宝石で装飾された剣を持ってそう言った。
「お兄ちゃん達、いいの?私たちもお宝貰っちゃって」
「いいよ。みんなで決めたことだから」
「ありがとう。お兄ちゃん」
妹は喜んだ。
「みんな好きなお宝取っていいぞ」
「イザベラ、リリアも好きなお宝持って帰ってよ」
「えっ、私たちもいいの?」
「イザベラとリリアも僕たちの家族みたいな存在だから、受け取ってよ」
「ありがたく受け取るわ。ありがとね」
イザベラは感極まりそうだった。
「やったあ、私もこれで大金持ちだあああああああ」
リリアは燥ぎ、机の上にある黄金を手繰り寄せ腕一杯に財宝を持った。
それでは飽き足らず、首に掛けたり腕に嵌めたり、頭に被ったりして凄いことになっていた。
「リリア。いくら貰えるからって、それは貰いすぎよ」
イザベラがそう言うとリリアは少し落ち込んで財宝を机の上に乗せようとした。
「良いですよ、戻さなくて。まだ沢山財宝はありますから。好きなだけ持って帰って下さい」
ルークがそう言った。
「ルーク君、好き。私と結婚して!」
「ええっ…」
ルークはそう言われ困った。
「エリナ、いや、お義母さん!ルーク君を私に下さい!!」
近くにいたエリナにリリアはそう言った。リリアの目はグルグル渦を巻き、財宝を見たせいで可笑しくなっているのは明らかだった。
「考えておくわ…」
エリナは当たり障りの無いように答えた。
「お宝が私を待ってる~」
リリアは陽気に机の上の財宝の山へ行った。
「お父さん…」
ルークは僕を呼んだ。
「どうした?」
僕は聞いた。
「ここにある財宝余ったらみんなの生活費の足しにしてよ」
「いいのか?」
「うん。お父さんがいくら稼いだとしてもうちは子供が多いから出て行くお金が多いでしょ。だから生活費の足しにして」
「悪いな…」
僕は自分の息子に心配されるなんて思っていなかったから何だか申し訳なかった。
「父さん。あの時、母さんを止めずに行かせてごめん」
ルークはイシスの娘達がエリナを連れて行かせてしまった事を謝った。
「僕こそ悪かった。ルーク、お前に失望したなんて酷い言葉を投げかけて…」
僕は謝った。
「いいよ。父さん」
ルークは心のモヤモヤが晴れた。
「じゃあ、仲直りのハグだ」
僕はそう言い、ルークとハグをした。
「あと父さんに渡したい物があるんだ」
「これ」
ルークは空間魔法で物を取り出して僕に渡した。
「これは…」
僕は意外な物を渡されびっくりした。
「昔、僕たちが小さい頃、寝るときに話してくれたよね」
「昔の父さんの息子がどこかの遺跡の最深部にお父さんの大切な黄金の首飾りを置いていったって」
「それで父さんは取りに行こうとしたけど遺跡が怖くて取りに行けなかった」
「その黄金の首飾りはお父さんの話していた首飾りで合ってる?」
「ああ、合っているよ…。この首飾りは僕の大切な人から貰った物なんだ…」
僕は黄金の首飾りを首に掛けた。
「父さん、昔その首飾りには何かの効力があるって言っていたよね。どういう効力なの?」
ルークは僕に聞いてきた。
「これはな、勝利の首飾りと言われてる物なんだ」
「勝利の首飾り?もしかしてそれを着けて敵と戦ったら必ず勝利するアイテムとか?」
「いや、そんな便利な物では無いよ」
「これは僕の力、死と滅亡の運命を強化する時に使う補助アイテムだ」
「強化ってどういう事?」
「僕の死と滅亡の運命にはもう一段階…いや、何段階も強くする事が出来るんだ」
「だけどその代わり僕の意識は無くなり暴走するからそれを防ぐ効果がこの勝利の首飾りにはあるんだ」
「いつかルークお前にも死と滅亡の運命を強化したものを見せる時が来るかもしれない。そうならないように生きたいものだがな」
僕はそう言った。
「父さん、僕の死と滅亡の運命・もう一つの力をもう一段階、強くすることって出来るの?」
「ああ、出来るよ」
「そっか。あんなに修行して得た力だから頂点だと思っていたが、まだ上があったんだね」
ルークは嬉しそうだった。
「父さん、僕に強化の仕方を教えてくれよ」
「教えたら出来るようなものじゃないよ」
「お前が敵と戦っていく内に出来るようになるから安心しな」
「それにルーク、お前とよく稽古するがお前には戦いのセンスがある。すぐに僕を超えるようになるさ」
「そっか」
ルークは僕に褒められ嬉しそうだった。
「母さん達…」
ルークは言った。レオ、ロキ、クロス、レイジ、テオも横に並んだ。
「どうしたの?」
エリナは聞いた。
「今から。僕達、仲間内でダンジョン攻略祝いがあるんだ。行っていい?」
「ええ、もちろん、いいわよ」
エリナはそう言った。
「あまり、羽目を外さないようにね」
「分かった」
シエラは釘を刺した。
レオ達は家を出て行った。
「どうせ、分かったって言いながら羽目を外すんだろうなあ」
カミラはそう言った。
「それ位は大目に見ましょう」
ルナはそう言った。
「みんな今日はパーティーよー」
エリナはそう言った。
「やったー」
「わー」
子供達は喜んだ。
イシスの娘達に留守番を頼み、僕と嫁達で寿司とピザを買いに行った。
水月は僕の子供達と遊んでいるから家にいることになった。
僕たちは五の世界にゲートで行った。
「まさか僕の息子達がダンジョンを攻略するとは思わなかったよ」
僕は染み染みそう思った。
「そうですねー。みんな無傷で良かったですよ。本当に」
ルナはそう言った。
「ユウイチ、子供達が小さい時、寝る前にしていた貴方の話を真に受けたから今回、子供達がダンジョンに行ったんだよね」
「今回の騒動、貴方の責任よ。何か弁解はある?」
そうシエラに言われ…。
「弁解の余地もございません。僕が悪かった」
「分かれば良いのよ」
僕はシエラにはキレられると思ったがそうはならなかった。
僕たちは買い物を終え、家に帰った。
家に戻ると机の上や地べたに沢山あった財宝は隅に置かれていた。
みんな僕たちが帰ってくるからお皿やコップ、ジュースが机の上に置かれ、食べる準備がされていた。
僕たちは買ってきた物を並べ、パーティーを始めた。僕たちは夜遅くまで沢山食べ、沢山飲んだ。
僕たちはこうして一日を終えた。




