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暗黒大景 / ANKOKU TAIKEI【パイロット版】  作者: 火山 千
第1部

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49話 落ち度

 一方、優一とハクアは…。


「お父さん、降参するなら見逃してあげる」


「ハクア、お前は優しいな」


「私、父さんよりも強いよ。まだ戦うというなら手加減できない」


「言うじゃないか」


「お前は僕が戦っているところを見たことがないからそう言えるんだ」


「全力で来いよ」

 僕はハクアを挑発した。


「究極魔法:氷操白崩山(ひょうそうはくほうざん)

 ハクアは黒い大剣を下から上に振った。そうすると空気中を走るように氷塊が僕に目掛けて来た。


「究極魔法か…」

 僕は氷の塊を避け、ハクアに近づこうとした。この手のタイプには接近戦が有効だ。


「くっ…」

 ハクアは剣を振り、僕の方へ氷の塊が来た。僕はハクアに近づけなかった。

 僕は氷の塊を黒い大剣で横に切り裂こうとした。


 しかし…。


「硬い…」

 氷の塊は黒い大剣で切ろうとするが斬れなかった僕は遠くまで飛ばされた。


 僕とハクアの距離は遠かった。

 僕はハクアに近づくために走り出した。


「お父さん、無駄だよ。私には近づけない…」

 ハクアの氷の塊が僕に向かって来た。


「!」

 ハクアは驚いた。僕は風魔法でゲートを開き、僕はゲートを通り、ハクアの目の前に辿り着いた。


「もう終わりだ」

 僕はハクアに黒い大剣を向けそう言い放った。ハクアは地にへたり込んだ。


「お父さんの勝ちだね」


「ああ」


「エリナは何処にいる?」


「お母さんはお父さんも知っている以前、私たちが住んでいた家にいるよ」


「そうか…」

 僕はそう答えた。


「早く、私を殺して…。エリナさんの記憶が消されてしまうよ」


「僕はハクア、お前を殺さないよ」


「お前達がエリナの記憶を消してイシスの記憶を呼び起こそうとしているって。それ嘘なんだろ。お前達の性格からしてそんな事はするはずは無い」


「!」

 僕がそう言うとハクアは驚いた。


「仮にエリナの記憶を消してイシスの記憶を呼び起こすのが本当だとしてもお前は殺さない


「何でですか?」


「それはお前が僕とイシスの子供だからだ。例え血が繋がって無くても僕たちは家族なんだ」

 僕はハクアにそう言った。ハクアはそれを聞いて涙を流した。


「そうやって私に嘘を言わないで!」


「貴方は私に自分の力の一部を譲渡したから情が湧いたから私に優しくしてるだけ」


「そんなことは無い。僕はお前達を平等に愛している」

 僕はハクアにそう言われ弁解した。


「じゃあ何で、私が小さいときお父さんの部屋に食事を持って来た時、転んでお父さんが大切にしていた紙に食事を溢したのは許して、妹が同じく溢した時はもの凄く怒ったの?」


「それはだな…」

 僕は返答に困り何も言えずにいた。


「それは違うよ。お姉ちゃん」

 森の中からぞろぞろと何人かの女達が出てきた。エリナもいた。


「私がお父さんの大切な紙に食事を溢したのはわざとだよ」


「私はハクアお姉ちゃんが食事を溢した時、お父さんは泣いているハクアお姉ちゃんを撫でて許すのを見て羨ましいと思ったんだ」


「だから私はわざとお父さんが書き留めていた紙に食事を溢したの。お父さんはそんな私を見透かして怒ったんだよね」


「………」

 ハクアは何も言えなかった。


「ごめんね。お父さん」

 女は僕にそう言った。


「いいよ、僕にも落ち度がある。あんなに怒って悪かったな」

 僕はあの時、自分が怒ったのを後悔していた。いつか謝りたいと思っていたが謝れなかった。


「仲直りも出来たし、帰りましょ」

 エリナはそう言った。


「エリナ、お前は何を言っているんだ」


「何って…」


「お前は息子や娘、家をほったらかして出て行ったんだ。何で僕が帰るまで待たなかったんだ!」


「ちょっと家を留守にしただけじゃない」


「もし貴方の帰りを待って帰ってきても優一は私がこの子達の家に行くのは反対するでしょ」


「当たり前じゃないか。お前はイシスじゃないんだ、この子達の母じゃ無い。無関係なんだよ」


「何よ、その言い方」

 エリナと僕は口論した。


「お二人とも喧嘩しないで下さい」


「お父さん、エリナさんを連れて行ったのは私たちです。私たちが悪いです」

 イシスの娘の中の一人は僕たちにそう言った。


「そうだよ。お前達が悪い。何でお前達も一緒に転生したんだ。僕はエリナと暮らしてるんだ、邪魔をしないでくれ」

 僕は娘達にそう言った。娘達は悲しそうな顔をした。


「何てこと言うの!自分の娘に向かって!」

 エリナは僕に平手打ちをした。


「エリナ、お前は無責任過ぎる。お前が次に勝手に家を出て行ったら離婚だ」


「………」

 エリナは黙った。エリナは涙を堪えていたが、涙は流れた。


「いい加減にしろ。母さんをいじめるな」

 イシスの娘の一人は僕の首元の服を掴んだ。


「………」

 僕は頭に血が上って好き勝手に言ってしまった。エリナは泣いてそれを娘達が宥めていた。


「悪かった、エリナ。ごめんな」

 僕はエリナに近づき、謝った。エリナは泣いたままだった。僕はエリナを深く傷つけた。


「エリナ、ごめん。離婚するなんて嘘だよ。息子と娘が待ってる、家に帰ろ」

 エリナは泣き止み、頷いた。


「良かった」

 イシスの娘の一人がそう言った。


「何で?」

 イシスの娘のもう一人が聞いた。


「母様はあの時は子供が出来なくて悩んでいたけど、この時代に転生して子供が作れるようになった。本当に良かった…。本当に良かった」

 イシスの娘がそう言うと、みんな涙を流した。僕も涙が自然に流れた。

 

 僕たちはみんなで自然と抱きしめ合った。


 エリナの提案でイシスの娘達は僕たちと一緒に暮らすことになった。


 イシスの娘達は僕たちの家族とすぐに馴染んだ。

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