47話 花火
二日後…。
「今日はお忙しい中、来て頂きありがとうございます」
僕は遠山先生にそう言った。
「こちらこそ今日は呼んでくれてありがとう」
遠山先生の家族も一緒に来た。奥さんと息子さん二人だ。
僕らは家の中に入り、ダイニングに着いた。
「おおー。ユウイチ、みんな待ってるぞ」
カミラは僕たちを見てそう言った。
今日、集まってくれたのは黒十字騎士のメンバー全員と僕の家族、イザベラ、リリア、魔女ディアナ、アリスの彼氏のルイス、エリナを診てくれた医者のミアとその助手、阿修羅、ラストとその家族、遠山先生とその家族だった。僕の本当の母、レイカも呼んだら来てくれた。
「ユウイチ、ここに座りなさい」
僕たちは座ろうとした。テーブルには寿司や肉、ピザが並べられていた。イザベラは僕を呼び、僕はイザベラの隣に座った。遠山先生は僕の隣に座った。遠山先生の家族も遠山先生の隣に座った。
「お父さん、何飲む?」
僕の娘、エリカは僕に聞いてきた。
「ビールにしようかな」
僕がそう答えると
「遠山先生にアルコール類はダメって言われているでしょ」
エリカはそう言った。
「一杯ぐらいならいいけどね」
遠山先生は言った。
「先生も良いって言ってるんだし良いだろ」
「それでもダメ」
僕はエリカにそう言われ、ビールは飲めれそうになさそうだ。
「じゃあ、バナナミルクが飲みたい」
僕はお酒が飲めれないならバナナミルクが飲みたいと思い、エリカに言った。
「ユウイチ、バナナミルクはやめなさい。エリカがいつまでも席に着けないじゃないの!」
イザベラは僕にそう言った。
「そうだな。じゃあ、何にしようかな」
「アイスココアにしなさい。アイスココアの紙パックジュース買ってきてあるから」
「じゃあ、アイスココアにしようかな。エリカ、アイスココア頼む」
「分かった。他のみんなは何飲みます?」
エリカは遠山先生の家族に聞いた。
「僕たちはテーブルに出ているジュースで大丈夫だよ」
「すみませんが僕にもアイスココアを下さい」
「僕も」
遠山先生の息子二人はエリカにそう言った。
「エリカさん、すみませんがアイスココアお願いします」
「大丈夫ですよ。奥様は何飲まれます?」
エリカは遠山先生の奥さんに聞いた。
「私はテーブルにあるリンゴジュースがあるので大丈夫です」
遠山先生の奥さんはそう言った。
「じゃあ、持ってきますね」
エリカはそう言い、アイスココアを取りに行った。
「僕は幼少期悲惨な人生を送っていたからまさか未来でこういう家族や友人と集まってパーティーする日が来るとは思わなかったよ」
「折部君が頑張った結果だよ」
遠山先生はそう言った。
「ありがとう、先生…」
僕はそう言った。
「この幸せを守っていけるのかな」
僕は不安を呟いた。
「大丈夫よ。ユウイチ。あなたなら守れるわ」
「イザベラ…」
イザベラは僕にそう言った。
「アイスココア持って来ましたよー」
エリカはお盆の上のグラスにアイスココアを入れ、紙パックのココアも持って来た。
「ありがとうございます」
遠山先生の息子二人はアイスココアを受け取りお礼を言った。
「はい、お父さん」
「ありがとう」
僕はお礼を言い、アイスココアを飲んだ。
「紙パックはここに置いておくね」
「ありがとう」
エリカはアイスココアの入った紙パック二つをテーブルに置いた。
「エリカ、こっちに来て座りなさい」
イザベラはそう言い、エリカを隣に座らせた。
「先生と奥様、飲み物、何飲みます?」
僕は席を立ち、ジュースが置いてある所まで行った。
「私はアップルジュースを」
「僕も同じのを」
「先生、コーラありますよ」
「じゃあ、それにしようかな」
僕はアップルジュースとコーラを持ってきた。
「先生、奥さんにジュース入れてあげて下さい」
「ああ」
僕は遠山先生にアップルジュースを渡した。
「入れるね」
「ありがと」
遠山先生は奥さんにジュースを入れた。
「先生、コーラ入れますね」
「ありがとう」
遠山先生のグラスにコーラを注いだ。
「んっ…、おいしい」
遠山先生はコーラを飲んでそう言った。
「どうやら皆、集まったようだな」
僕は周りを見てそう言った。
「みんな注目ー!」
僕がそう言うと、みんな僕に注目した。
「今日はみんな忙しいのに集まってくれて本当にありがとう。今日、みんなを集めたのはアリスが無事にこの世界に戻ってこれたからだ。アリスがいなければこの世界は終わっていた。みんなコップに飲み物入れてグラスを持って」
「みんな準備出来た?」
僕はみんなに聞いた。
「「出来たよー」」
みんな僕にそう言った。
「アリスとみんなに乾杯!」
「「乾杯」」
みんなで乾杯し食事を始めた。
みんなワイワイ話しながら食事をしていた。
「アリス姉、キス!キス!きやあああああっ」
みんながキスコールを始めた。どうやら話が盛り上がりアリスがルイスにキスしたようだ。
父親としては何だか複雑だった。
「ユウイチ、お前もやっと俺の気持ちが分かったか」
そう僕に言ったのはフェリクスだ。
「俺の娘、三人全員、お前の息子達に誑かされたんだぞ」
「お父さん、変な事言わないで」
フェリクスの娘は父にそう言った。フェリクスの娘は三人とも俺の息子達と付き合っている。 俺の息子達の何が良いのか分からんが、フェリクスには同情する。
「お前には同情するよ」
僕はフェリクスにそう言った。
「お前の息子がうちの娘を泣かせたら、お前の息子を殺す」
「ふふっ。やれる物ならやってみな。僕の息子を殺したらお前の娘を全員殺す」
僕は笑った。
「ユウイチ、お前!ギィッ」
フェリクスは歯を強く噛み締め、今にも殴り掛かって来そうだった。
「まあ、そんなカッカすんなって」
阿修羅がフェリクスの皿に乗っていたピザを食ってそう言った。
「お前、相変わらず人の物を食うの好きだな」
フェリクスは呆れた。
「今日は目出度い席なんだからそういうのは無しだぜ」
「ああ。分かっている」
阿修羅がそう言うとフェリクスはそう答えた。
「お父さんも言い方が悪いよ。フェリクスさんの娘さんは将来、うちに嫁いでお父さんの義理の娘になるんだから大切にしないとダメだよ。家族になるんだから」
「そうだな…。悪かったよ」
僕はエリカにそう言われ謝った。
「ユウイチ、もう飲み物無いじゃないか、入れてやるよ」
「ああ、そこのコーラを入れてくれ」
阿修羅は僕にそう言い、僕はコーラをグラスに注いで貰った。
「ユウイチ。お前の娘、結婚するらしいじゃないか」
「ああ、そうだな」
僕はピザを食べながら阿修羅に返答した。
「お前はいいのか?」
「良いに決まってるだろ。僕は自分の娘が幸せになるのを反対するなんて事はしないよ。確かに親としては自分の娘が巣立つのは寂しいけど、やっぱり娘が幸せになるのは嬉しいものだよ」
「そうか…」
僕がそう言うと阿修羅は納得した。
「俺、自分の娘や息子がいないから自分が親になったらどう思うのかなって思ってさ」
阿修羅はそう言った。
「お前も早く結婚しろ。婚期逃すぞ」
フェリクスは阿修羅にそう言った。
「貴方、阿修羅さんに説教する前にユウイチさんを見習ったどうなの?貴方がそんなんだから娘達に嫌われるのよ」
「えっ、俺嫌われているの?」
フェリクスが驚いた様子だった。
「お前、気づいてなかったのかよww」
僕は笑いながらそう言った。みんな笑うのを堪えていたが耐えれなくなり誰かがジュースを吹き出すとみんなそれにつられ笑った。
「確かに娘達が僕との会話を拒むようになったが、俺そんなに嫌われてるの?」
「「うん」」
周りの人は頷いた。
「まあ、これから父親の威厳を取り戻せばいいさ」
阿修羅がそう言うと、フェリクスは意気消沈していた。
遅くまでパーティーをしたので最後は庭で花火をする事になった。みんな家の外に出た。
僕は一人座ってココアを飲んでいた。
「お父さん」
僕に声を掛けてきたのはアリスだった。アリスは僕の左隣に座った。
「どうした?アリス」
僕はアリスに聞いた。
「今日は私のためにパーティーを開いてくれてありがとう」
「ああ」
「「………」」
お互いに黙った。僕はアリスに何を話せば良いのか分からなかった。
「アリス、レイスと戦った時はありがとな、アリスが居なかったらみんな死んでいた」
「うんん、レイスを倒せたのはお父さんのお陰だよ」
「いや、アリスが過去に行ったお陰で未来が変わった」
「大変だっただろ」
「………、うん、辛かった。元の世界に戻れるか不安だった」
アリスは涙を流していた。
「よく頑張ったな」
僕はアリスの頭を優しく撫でた。アリスは僕にもたれ掛かった。
「長かった。お父さん、長かった。私、ずっと一人だったんだよ」
「ごめんな」
僕がアリスを過去に送ったせいでアリスに辛い思いをさせてしまった。
「アリスにご褒美に何かあげないといけないな、何か欲しいものはあるか」
「………、ルイスと一緒に暮らす家が欲しい。ルイスは仕事しているけど家を購入できるほど収入はないから家が欲しい。ダメかな」
「いや、ダメじゃないよ」
アリスは昔から僕に物をねだることはあまりしないから家が欲しいのはよっぽど欲しいんだと思った。
「どんぐらいの値段の家が欲しいんだ?」
「うーん、五千万ぐらいの家が欲しいかな」
「てっきり、二億ぐらいの家をねだるのかと思ったが、五千万の家でいいのか?」
「お父さん、五千万出せば広い家を買えるよ」
「そうなのか」
「うん、それにお父さんみたいに子供を何人も作らないからそんな大きな家はいらないよ」
「子供がいっぱいいる生活は賑やかでいいぞ」
「考えておくね」
「じゃあ、五千万の家を買おうか。それと別で三千万、アリスの口座に入れておくよ、家具とか物入りだから好きに使いなさい」
「ありがとう、お父さん」
アリスは僕の腕を絡めていた腕をぎゅっとした。
「お父さん、花火盛り上がっているみたいだね」
外から皆、花火を楽しんでいる声が聞こえる。
「お父さん、外に行こ」
僕はアリスに連れられ外に行った。。
「おお、みんな楽しんでいるなあ」
皆、色とりどりの花火で遊んでいた。
「お父さん、はい」
アリスに花火を渡され、火を付けて貰った。」
「おお。付いた、付いた」
僕は感嘆し、花火を振り回した。
「コラー。ユウイチ、花火を振り回すなー」
エリナが僕を注意した。子供達は僕を見て真似をし始めた。
「ああ、もう!!」
収集が付かなくなりエリナは溜め息を吐いた。
今回のパーティー、僕は楽しかったと思った。僕は皆、笑顔でこの場所が心地よかった。僕はこの幸せが永遠に続けばいいなと思った。
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