44話 誓った事
(俺はまた守ることが出来ないのか…)
(アリサの墓の前で誓ったじゃないか、みんなを守るって)
(俺はもう見たくない、自分の大切な人が死んで悲しむ人を見るのは)
(俺が皆を守るんだよ!!誰でもいい、俺に力を寄越せ)
(俺には守らなければいけないものがあるんだ!)
僕の身体に黒い稲妻が走った。それにレイスは気が付きこっちを見た。だがそこには誰もいなかった。
(優一はどこに行ったんだ?)
レイスは疑問に思い、ルークから手を放した。
次の瞬間。
「ぐっ!」
レイスは未来が見える魔眼で未来が一瞬見えた。優一が白い大剣で斬りかかって来るのを。だがレイスは斬撃を防ぐことは出来なかった。レイスが未来を見た瞬間、斬られた。
「チッ」
レイスは後ろに移動し、優一から距離を取った。
「何だ、その姿は!お前にはもう力は無いはず」
レイスは焦った。
「暗黒解放:死と滅亡の運命・失われた恐怖」
僕が身に纏っていた魔導服は白く染められ、僕の大剣は白くなった。僕の頭の上には白い天使の輪が現れた。白い大剣から白いオーラが漏れて漂った。
「どうせ、ただのハッタリだろ。俺にはお前の力とこの魔眼がある。お前が勝てる要素なんて一つもねえんだよ」
レイスはこちらに向かって来た。
「くっ…、くそ、くそがあ」
僕は剣を振り、レイスは防ぐことで精一杯だった。
「何故だ!!俺は魔眼を使っているのに未来が見えないだと」
「もうお前の負けだ」
僕がレイスに剣を振るうとレイスは冷や汗を掻いた。その圧倒的実力差に…。
「くそっ。アブソリュート・バリア」
レイスは斬られそうになり、緑のバリアを張った。
「お前の攻撃はもう効かない」
レイスは僕の究極魔法を防ぐ程の技を使い、調子を取り戻した。
レイスは攻撃に転じた。
「アブソリュートバースト・アナザー」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
レイスはそう叫んだ。魔力を剣に流すことで斬撃の威力を上げた。剣からは緑の魔力が漏れ、緑の魔力が漂った。
レイスは何回も攻撃し、僕の隙を狙っているようだった。だが僕はいとも簡単にそれを受け流した。
「くっ…」
レイスは風魔法で後ろに移動した。
「俺の全身全霊を注いでお前を殺してやる」
「優一ィィィィ。死ねえええええええええええええええええええええ」
レイスは叫び、こちらに飛び込んできた。
ガキン。
鈍い音とともにレイスの大剣を弾き、剣は手から離れた。
「アブソリュートバリアアアアア」
レイスは焦り、そう叫んだ。
「ははははは、俺には攻撃は効かない」
レイスは最強の守りを使い意気揚々に言った。
「………」
僕はレイスのバリアを斬ろうとしたがバリアには傷は付かなかった。
(お父さん…)
みんな掠れゆく意識の中で僕とレイスの戦いを傍観していた。レイスは剣を弾かれ危険な状況に陥った。今がチャンスだ。
「行け、父さん…」
「お父さん、レイスを倒して」
「「父さん、行けえええええええええ」」
みんなは僕にそう叫んだ。それを聞いた僕は力が漲ってくるようだった。
「アブソリュートバースト・ロストフィアアアアアアアアアアアアア」
「んなっ…そんな馬鹿な…」
僕は叫び、全ての力をこの技に使った。魔力を白い大剣に流すことで斬撃の威力を上げた。白い大剣からは白い魔力が漏れ、白い魔力が漂った。僕の技でレイスのバリアを破壊し、僕はレイスを斬り伏せた。
僕は白い姿から元の姿に戻った。白い大剣も黒くなり、僕の頭の上に浮かんでいた白い天使の輪は無くなった。
「勝ったか…」
僕はレイスに背を向け子供達の側に行こうとした。
「「父さん!!」」
子供達が必死な顔をして僕に向かって叫んだ。僕は嫌な予感がした。僕の後ろに誰かが立上がった気配がした。
「!」
僕は後ろを振り返ると、僕の腹部にレイスの鋭い手刀で貫かれた。
「くっ…」
僕は貫かれた腹部から手刀を抜こうと後ろに移動した。
「はあ、はあ…」
僕は血が流れる腹部を手で押さえ回復魔法を掛けた。
「勝ったかと思ったか?残念でしたあああああああ」
「優一。お前の白い力、奪ったぞ!!」
白い姿のレイスは興奮気味であった。
「お前にこの力の真の姿を見せてやる」
「暗黒咆哮・白い牙V2!!」
レイスは意気揚々に声を上げた。空気中にある無数の膨大な白色の魔力がレイスを中心に集まる。レイスの身体は少し浮かび、魔力はレイスに向かって流れ、包み込み、白い球体となった。
そして球体は割れ地面に破片が落ちた。レイスの宙に浮いていた足は地面に着いた。レイスは白色の見たことの無い文字が刻まれた首輪を身に付け白い鎧を身につけた。レイスの眼の角膜の色は白色に変わり、瞳孔は黒く鋭く尖った。
そしてレイスの左の頬に、獣の爪で真っ直ぐ縦に抉られた四本の黒い傷のような物が現れた。そして白竜の腕に白竜の足、白竜の尻尾があり、角と翼の無い竜人の姿となった。
足は美しい白い三本鉤爪のみで足の爪の部分に二本、踵に一本の鉤爪だった。足の鉤爪が地面に突き刺さっており、鉤爪のみで身体を支えていた。鉤爪は人の頭を鷲掴みし、粉砕する事の出来るような大きな爪であった。レイスの両手の全部の指先から白いオーラが煙のように上に上がっていた。
「ははは、素晴らしい」
「遂に手に入れた。最強の力を!!」
レイスは興奮していた。
「さあ、お前も最強の力を見せてみろ!」
レイスにそう言われ、傷を治した僕は立上がった。
「暗黒咆哮・黒い牙V2」
僕は呟いた。空気中にある無数の膨大な魔力が僕を中心に集まる。僕の身体は少し浮かび、魔力は僕に向かって流れ、包み込み、宝石のような深い黒色の渦のような球体となった。そして球体は割れ地面に破片が落ちた。僕の宙に浮いていた足は地面に着いた。
僕の姿は変わり、黒い鎧を身に纏い、四大死宝と深い黒色の見たことの無い文字が刻まれた首輪を身に付けた姿となった。僕の眼の角膜の色は赤に変わり、瞳孔は黒く鋭く尖り、僕の目の光りは失われ冷たい目となった。そして僕の左の頬に、獣の爪で真っ直ぐ縦に抉られた四本の黒い傷のような物が現れた。
そして黒竜の腕に黒竜の足、黒竜の尻尾があり、角と翼の無い竜人の姿となった。足は化け物みたいな禍々しい黒い三本鉤爪のみで足の爪の部分に二本、踵に一本の鉤爪だった。足の鉤爪が地面に突き刺さっており、鉤爪のみで身体を支えていた。鉤爪は人の頭を鷲掴みし、粉砕する事の出来るような禍々しい大きな爪であった。僕の両手の全部の指先から黒いオーラが煙のように上に上がった。先までの力とは別の次元の力となっているのを誰が見ても言える位、異質な力であった。
「行くぞ、レイス!!」
「ああ。来い、優一!!」
僕とレイスは構えた。
「暗黒流動!!」
僕は目に見えない風の斬撃を飛ばした。重い風の斬撃にレイスは遠くに飛ばされる。
「グラアアッ!!」
僕はレイスに向かって手を右上から左下に振り下ろした。すると荒い風の斬撃が物凄い音を立ながらレイスに向かって行った。
「………」
レイスは風の斬撃を避け、僕を中心に周りを走り始めた。
「グラアッ!グラ!グラアッ!!」
僕の周りを走るレイスに僕は風の斬撃を飛ばす動きをし無数の風の斬撃を飛ばした。斬撃は音を立てながらレイスを追うがレイスは全力で走り、回避した。
「直線斬り!!」
レイスは僕に向かって死角から飛び込んできた。
「なっ!!」
「ゴホッ!」
僕は後ろに振り向き、レイスの右手の手刀を左手で受け止め、僕は右足でレイスの腹を蹴り上げた。
「くっ!!」
レイスはその衝撃で後ろに吹き飛んだ。
「クソが…」
僕は攻撃の手を緩めず、レイスに向かって行った。
「暗黒竜拳!!」
僕は深い黒色のオーラを拳に纏わせた。
「真白竜拳!!」
レイスは拳に白色のオーラを纏わせた。
「レイスウウウウウウウウウウウウ!!」
「ユウイチイイイイイイイイイイイ!!」
僕とレイスは互いに拳を振るう。
「くっ……」
レイスは僕の大振りの拳を防御する。
「オラオラオラアッ!!」
僕は両拳で連続攻撃を繰り出した。レイスは的確に防御する。
「!」
レイスも攻撃に転じ、僕とレイスは殴り合った。
「うおおおおおおおおおおおお!!」
レイスは重い一発の拳を僕の頬に打つけた。
「んぐっ!!」
僕は今の攻撃で遠くまで弾き飛ばされた。僕は口から流れ出る血を腕で拭った。
「死ねええええええええええええ」
僕はレイスの元ま走り、レイスの顔に目掛けて鋭い足の鉤爪で打つけようとした。
「真白防壁」
レイスは白いバリアを張り鉤爪の攻撃を防いだ。
「馬鹿な!」
僕はバリアを破壊しようと力を込めるとレイスのバリアに罅が入った。
「ぐっ!!」
僕はバリアを土台に蹴り、後ろに一回転した。僕は地面を手の爪で削り取り勢いを殺した。
「ガアアアアッッ!!」
そして地面を強く蹴り、レイスに向かって物凄いスピードで蹴りを入れた。
バリンッ!!
バリアは破壊され破片が地面に散らばった。
「がああっ!!」
レイスの顔面に僕の鋭い鉤爪の右足が入った。そしてレイスは勢いよく後ろ頭を地面に強打した。
「終わった…」
僕はポツリと言葉を発し、元の姿に戻った。レイスに奪われた力が自分の所に戻ってくるのを感じた。




