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暗黒大景 / ANKOKU TAIKEI【パイロット版】  作者: 火山 千
第1部

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42話 家を出る

 次の日。

「お母さん。俺、修行するために家を出るよ」

ルークはエリナにそう言った。


「何言ってるの?貴方はまだ子供でしょ。大人になってからにしなさい」

 エリナはルークが本気で修行をするとは思っていなかった。


「俺、本気だよ」

 ルークはエリナの目を見てそう言った。


「それでもだめ。家を出るなんて私、許さないから。考え直して」

 エリナはルークが本気で言っていると思い、強めに言った。


「昨日、アリス姉が死んだこと、聞いたよ。だから俺は強くならないといけない、皆を守れるように」

 ルークはそう言った。


「それでも…」


「いいんじゃないか」

 エリナが反対しようとしたら僕はルークに肯定した。


「ユウイチ。ルークはまだ子供よ」

 エリナはどうやらルークが心配なようだった。


「いつかルークは家を出て行くような気がしていた。ルーク、後悔の無いように生きろ」


「ありがとう。お父さん」


「いつ、出発するんだ?」


「明日、出発しようと思ってる」


「そうか。これを持って行け」

 僕は空間魔法でカードを取り出し、ルークに渡した。


「これは何?」


「銀行のカードだ。そのカードを見せて僕の名前を言えばお金を引き出せる」


「受け取れないよ」

 ルークはそう言った。


「お前は修行するのに食べ物を探したり、寝床を決めたり、それで時間を潰すつもりか?お前は回り道をするな、真っ直ぐ進むんだ。だからこれを受け取れ」


「分かったよ、お父さん。ありがとう」

 ルークは銀行のカードを受け取った。


「じゃあ、俺は準備するよ」

 ルークはそう言い、自分の部屋に戻った。


「ルークは他の兄弟違って、僕が使う技を使うことが出来ず、ずっと苦しんでいた。だから、自分の可能性を信じて欲しいんだ」

 僕はエリナにそう言った。


「そうね、ルークはずっと苦しんでいた。私、ルークの可能性を潰そうとしていた。私、母親失格だわ」


「そんな事はないよ」

 僕はエリナの髪を撫でた。


 

 その日の夜。

「ルーク、起きてる?」

 エリナはルークの部屋に来た。


「何?母さん」

「明日、家を出るのよね?」

「うん」

 ルークは気まずそうに答えた。


「じゃあ、一緒に寝ましょ」

「えっ、やだよ」

「少し前まで一緒に寝ていたじゃん」

「僕は子供じゃない」

「いいえ、私の可愛い子供よ」

 結局、ルークはエリナと一緒に寝た。


「母さん、くっ付きすぎ」

 エリナはルークを抱きしめた。胸があたりルークは恥ずかしがった。


「ルーク、昔みたいにお母さんに甘えていいのよ」

「嫌だ。絶対嫌だ」

「可愛い」

 エリナはもっとルークを抱きしめた。

 エリナはそのまま眠り、ルークから手を離した。


「………」

 ルークは(さっき)まで母親に抱きしめられたので、離れるとなんだか寂しくなった。ルークはエリナの胸に顔を埋めた。


「あらあら、ルークは甘えん坊ね」

エリナは起きていてルークの反応を伺った。ルークは顔が赤くなり固まった。

 エリナはルークの頭を撫でて夜を過ごした。ルークとエリナはいつの間にか寝てしまった。

 


 次の日の昼になった。

「ルーク、行くのね…」

「うん、行くよ」

「行ってらっしゃい」

「「お兄ちゃん、頑張って」」

 ルークは兄弟、姉妹に別れを言い、家を出た。僕たちはルークを見送った。エリナは寂しそうにルークの後ろ姿を見ていた。僕はエリナの肩を抱きしめた。


 

 僕はみんなをダイニングに集めた。

「みんな、集まったな」


「ユウイチ、話ってなんですか?」

 ルナは僕に聞いた。


「知っている人もいると思うが、遠くない未来、レイスという人物がやってくる。そいつは僕の家族を皆殺しにし、世界を破壊し尽くす。みんなには自分を守る特訓をさせたが、もうそうしてられないほど奴は強い。だからみんなには本格的に奴と戦うための特訓をしてもらう。男、女関係なくね」

 僕はそう言った。


「私は嫌よ。私はこの子たちには戦いと無縁の生活をさせたい」


「シエラ…」

 シエラはロキとクロスを自分に寄せてそう言った。


「昔、話したな。未来から僕に助けを求めた僕の息子がいたのを。そいつはクロス、お前だ。未来のクロスは僕が息子、娘に戦いを教えなかったからみんな何もできなかったと言っていた。だから僕はそれを回避したい」


「ユウイチ、貴方が負けなければ皆、救われるわ」

「そうでしょ、ユウイチ」

 シエラはそう言った。


「いや。正直、僕でもレイスに敵わないと未来から来たアリスは言っていた」


「シエラ。お前の息子、クロスは必死に僕に未来の惨状を伝えた。俺には子供達をレイスと戦えるようにする義務がある」

「………」

 シエラは黙った。


「私も戦うわ」

 シエラはそう言った。

「駄目だ」

僕はそう言った。


「何で駄目なの?あなたは子供には戦わせて、妻には戦わせないの?」

 シエラは僕に投げかけた。


「駄目なものは駄目だ。お前達の強さはよく知ってる、お前達じゃ足手纏いになる」

僕はそう言った。


「貴方はそう言って大切なものを守る。ユウイチ、貴方の子供は大切なものじゃないの?」

「僕は…」

 シエラがそう言うとみんな、僕を見た。僕は何も言えなかった。


「僕、レイスと戦うよ」

 レイジはそう言った。


「私も戦う」

 エリカもそう言った。


「お父さんが私たちの力を貸して欲しいって言うんだから余っ程、困っているって事でしょ。私も戦うよ」

 アメリアもそう言った。


「母さん違うよ。父さんは僕たちの事を大切に思っているよ。それは父さんの子供である僕たちが一番分かってるんだから」

 クロスはそう言った。


「僕も戦う」


「私も!」


「お前達…」

 僕は泣きそうになった。僕の子供全員、レイスと戦うと言ってくれたから。


「ありがとう、みんな」

 僕はお礼を言い、話は終わった。

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