4話 暗黒咆哮・黒犬V2
「暗黒咆哮・黒犬V2」
僕は叫んだ。空気中にある無数の膨大な魔力が僕を中心に集まる。僕の身体は少し浮かび、魔力は僕に向かって流れ、包み込み、深い黒い渦のような球体となった。そして球体は割れ地面に破片が落ちた。僕の宙に浮いていた足は地面に着いた。僕の姿は変わり深い黒色の見たことの無い文字が刻まれた首輪を身に付けた姿となった。僕の目の光りは失われ冷たい目となった。足は化け物みたいな禍々しい黒い三本鉤爪のみで足の爪の部分に二本、踵に一本の鉤爪だった。足の鉤爪が地面に突き刺さっており、鉤爪のみで身体を支えていた。鉤爪は人の頭を鷲掴みし、粉砕する事の出来るような禍々しい大きな黒い爪であった。先までの力とは別の次元の力となっているのを誰が見ても言える位、異質な力であった。そして僕は両手の爪を立てて獣のように咆哮した。悲しみと怒りを打つけたかのような獣の咆哮は街に響き渡った。
「ヴアアアアアアアア!!」
僕はメアに向かって行った。
「暗黒竜拳!!」
僕は自分の拳に真っ黒のオーラを纏わせた。
「火景竜拳!!」
メアは自分の拳に深い赤色のオーラを纏わせた。
「くっ!」
僕はメアに拳を打つけたが防がれた。僕とメアは体術を使っての戦いを始めた。
「ヴァアアアアア!!」
「くっ、く、く」
僕の拳を打つけるがメアは攻撃を受け流した。僕はそれでも拳を何度も打つけた。足の三本の鉤爪が地面を削る。
(いいよ、父さん。怒りや悲しみを私に打つけても良いんだよ)
「くっ!!」
僕は拳を何度も打つけた事で生まれた隙を突き、拳をメアの腹に一発打つけた。そしてメアがその一発の拳の痛みを感じている瞬間に回し蹴りをお見舞いした。メアは片手で回し蹴りを防ぎ、もう一つの手で僕の腹に拳を打つけた。
「があああっ!!」
僕は拳の威力に後ろに退いた。
「ヴアアアアッ!!」
僕は手を斜め上から斜め下に爪を立てて振り下ろした。すると風の斬撃を生み出した。
「!」
メアは防御の姿勢を取り、風の斬撃を防いだ。
「くっ…」
僕は風の斬撃を飛ばす動きをし何度も風の斬撃飛ばした。メアは防御したが遠くまで吹き飛ばされた。その飛ばされる空中でメアは僕に向けて風の斬撃を飛ばした。
「があっ!!」
僕はメアが生み出した風の斬撃に当たり遠くまで吹き飛ばされそうになった。僕は空中で一回転し、両手の鉤爪で地面を削って風の勢いに耐えた。僕とメアの距離は十分に離れた。
「お父さん!!もう戦いにけりをつけよう!!」
「………」
メアは僕に聞こえるように大声で言った。僕は何も返答しなかった。だが言葉は理解した。
メアと僕は互いに手のひらを合わせ合掌した。
「暗黒火術:火羅万象」
メアの後ろの地面の土が黒い文字で書かれた黒色の石版の欠片の形となり、黒い石版の欠片が浮かび、パズルのように組み上げられ、何かの古代の文字が書かれた黒色の石版が完成した。
黒い石版は禍々しい深く黒いオーラを放っていた。黒い炎が僕の方へと向かってくる。
「冬禍冬術:冬景絶対零度」
深い青色の氷がメアの方へ向かって行く。
ドオオオオオオオオオオオオオオン。
互いの大技が打つかりあった。轟音が鳴り響いた。
「「………」」
先の技によって霧が発生し辺りは見えなくなっていたが霧は消えていき二人の姿が見えるようになった。
「!」
安心したのも束の間、僕はメアの攻撃を察知した。
「くっ!」
無数の深い赤色の火の刃が僕に向かって降り注ぐ。火羅万象に火刃を組み込んでいたのだろう。僕は黒犬のように氷の上を走り出しメアに向かって行った。
「がああああああっ!!」
僕は火の刃に当たらない位のスピードを維持出来るようになった為、僕はメアに攻撃しようと右手を横に突き出し、爪を立てた。
「ヴァアアアアアアア!!]
僕は咆哮しながら氷のフィールドを走り抜け、普通の地面を走った。周りは黒い炎の残滓が小さく燃えていた。
(来るッ!!)
メアは構えた。
「神速!!」
「!」
神速を使う事で僕のスピードが上がり目にも止まらぬ速さでメアに向かって行った。メアは僕の姿を捉える事が出来ず、焦る。
「毒の尖い爪!!!」
僕は目にも止まらぬ速さで右手の尖った爪でメアの身体を斬り裂いた。メアの身体から血が噴き出した。そしてメアは地面に倒れた。
「もう終わりだ、メア…」
「………」
僕はメアの方に振り向き、メアに向かって歩いた。
「メア?」
メアが何も言わないので不思議に思った。
「メア!!」
メアの側に行き、メアの身体を抱きかかえた。
「しっかりしろメア。力をつかって傷を治すんだ!!」
「………」
「メア!メア!!」
「………」
メアを揺さぶるがメアは虚ろな目をし、何も言わなかった。
…………。
メアはもう既に死んでいた。
「俺が殺したのか…。俺が…」
「うわああああああああああああああああああああああ!!!」
僕はメアを優しく抱え、泣き叫んだ。
「もう全てを終わりにしよう」
「火禍火術:暗黒彗星」
この街一帯に無数の黒色の彗星を落とした。街は彗星によって破壊されていった。
「メア…。すまなかったな…」
僕は涙を流し、そう言葉を発した。そして僕とメアに向かって彗星が落ちた。
「はあっ!!」
イザベラは勢いよく目を覚ました。イザベラは先までの光景を夢で見ていた。
「母さん、おはよ」
部屋にイザベラの息子が紅茶を持って部屋に入ってきた。
「また、予知夢でも見たのかい?」
「ええ、そうよ」
イザベラは答えた。
「母さん、大丈夫?」
イザベラのいつもの様子と違うので息子は心配した。
「大丈夫よ」
イザベラはそう答えた。