39話 復活
次の日。
僕はエリナとルークで買い物に来ていた。
「母さん、僕武器屋見たいから買い物しといて」
ルークはそう言った。
「でも一人じゃ危ないよ。買い物終わってからみんなで行きましょ」
「大丈夫だから。買い物終わったら、あの噴水のところで集合ね」
ルークはそう言い、走って行った。
「大丈夫かしら」
エリナは心配そうにルークを遠くから見ていた。
僕とエリナは買い物を終え、噴水のところでルークを待っていた。
「遅いわね…」
エリナは心配そうにしていた。
「武器屋に向かうか」
僕はそう言い、エリナと一緒に武器屋に行った。
武器屋に着き、中に入ったがルークはいなかった。
店主に聞くと、ルークは女の人に声を掛けられ、一緒に出て行ったそうだ。それをエリナは聞くと顔が青ざめた。
「ルーク、ルーク!」
「ルークどこだ!」
エリナと僕はルークを探した。
「いた」
エリナはルークを見つけそう言い、僕とエリナはルークの元へ走った。
「ルーク!」
エリナは叫ぶとルークは振り返り、一緒にいたお姉さんは僕らを見ると顔がひきつった。
「お母さん、どうしたの?」
「ルーク、あなたを探していたのよ」
エリナはそういった。
「ごめん、お母さん。お姉さんが道に迷っていたから教えてあげてたんだ」
「ねえ、お姉さん」
ルークはそう言うと、ルークと一緒にいたお姉さんは僕たちからひっそりと逃げようとしていた。
「私、もう道が分かったので、失礼しますね」
お姉さんはそう言うと、逃げて行った。
「母さん、苦しい」
ルークはエリナに抱きしめられていた。
「ルーク、あなたあのお姉さんに誘拐されるところだったのよ」
「そんな、大袈裟な」
エリナはルークの肩を持ち、目を見てそう言った。
「大袈裟じゃない!人に親切にする事は大切だけど知らない人に話掛けられても付いて行っちゃだめ!!」
「今度、知らない人に話しかけられても当たり障りの無い対応をして。分かった?」
「…、分かったよ」
ルークはそう言い、エリナはルークを抱きしめて、頭を撫でた。僕たちは家に帰った。
数日後…。
ルナとの間に生まれた男の子、レイジは不思議な子供だった。
部屋の物置に置かれている石像に興味を示し、欲しがるのでレイジにあげることにした。この石像はカナエという人物が僕の父、シスイの力で石化された物だ。
レイジはよく魔導書を読みあさり、紙に何かを書き記し、空間魔法で誰にも見られない場所に保管していた。ルナはそんなレイジの事を心配そうにしていた。
「よし、これで魔方陣は完成だ」
「石像を中心に乗せて」
レイジは風魔法で石像を浮かし、魔方陣の中心に置いた。
「石化を解きたまえ」
レイジは手を前に出し魔法を掛けた。
ダーン!!
レイジがよくいる部屋から爆発音がした。みんな急いでレイジがいる部屋に集まった。
「レイジ!」
ルナは慌ててレイジを呼んだ。
「お前は…」
レイジの前に座っていたのは昔、僕と戦ったカナエだった。
「レイジ、お前はずっとカナエを元に戻すために魔導書を読み漁っていたのか」
「カナエ。お前がレイジを操って復活したのか?」
僕は空間魔法で剣を取り出し、カナエに向けた。
「父さん、やめてくれ」
レイジは僕に懇願した。
「僕は操られてないよ。石像になったこの人を可哀想に思ったから元に戻してあげたんだ」
レイジはそう言った。
「まあ、ここは狭いし、ダイニングで話しましょ」
ルナはそう言い、みんなダイニングへ向かった。
「レイジ、あなたは本当にカナエさんに操られてないのね?」
「うん。そうだよ」
ルナはレイジに聞いた。
「カナエさん。石化が解けたばかりだけど、あなたはこれからどうしたい?」
ルナはカナエに聞いた。
「私は迷惑で無ければしばらくこの家に居させて欲しいです」
僕はカナエがこんなことを言うと思っていなかった。以前カナエと戦った時、カナエは好戦的で性格がきついそんな感じだった。
「カナエ、もしかしてお前石化されている間の記憶があるのか?」
僕は恐る恐る聞いた。
「そうです。私は石化している間、意識がありました。地獄の苦しみから解放させてくれたレイジには感謝してます。私は以前、ユウイチさんを殺そうとし、皆さんを危ない目に遭わせようとしました。でも石化し、心の整理がつきました。もうご迷惑をお掛けしないので、ここに居させてください。お願いします」
カナエは深々と頭を下げた。
「どうするんだ?」
僕はどうしたらいいのか分からなかった。カナエは僕を本気で殺そうとし、僕の家族を巻き込もうとした。石化し改心したのだろうが、心の底では何を思っているのか怪しい。
「レイジ」
「何?母さん」
「あなたがカナエさんの石化を解いたのだからあなたがカナエさんの面倒を見なさい」
ルナはレイジにそう言った。
「分かったよ。僕がカナエの面倒を見るよ」
レイジはそう言い、話は終わった。みんなそれぞれの場所に戻った。
レイジはカナエの手を取り、家の中の案内をしに部屋を出た。
三日後…
レイジとカナエは家にある調味料が切れたので町へ買い物に行った。
「………」
「………」
レイジとカナエは買い物が終わり、話しながらこの後、何処かで時間を潰そうか話していた。
「くっ…」
カナエは突然、真正面から剣を振るわれ、それを空間魔法で出した剣で防いだ。
赤い髪をした女はカナエ達から距離を取った。
「急に剣を振り下して来て、貴方、何者?」
カナエは剣を振り下ろしてきた赤い髪の女にそう言った。
「何者かを答える必要はない」
赤い髪をした誰かに似ている女はそう答えた。
「行くぞ」
赤い髪をした女はそう言い、カナエ達に向かって獣の如く走り出した。
「……っ、…、…」
カナエは赤い髪の女が振るう剣を何度も受け流した。
「くっ……」
赤い髪の女が振るう剣は重たかった。
「レイジ逃げて」
カナエはそう叫んだ。
「何言ってるんだ、カナエ」
レイジはカナエにそう言われ、理解が出来なかった。
「私ではこの人に勝てない。時間稼ぎするから逃げて」
「そんなの嫌だよ」
「私の言う事聞いて!」
カナエは心に余裕は無かった。
「時間稼ぎか…。果たして私と対等に戦えるのかな」
赤い髪の女の黒い大剣から黒い魔力が溢れ、カナエはゴクリと息を飲んだ。
「ギィィィィィィィィ」
カナエは振り下ろされた剣を防ぎ、剣と剣が擦れる音がした。
「逃げて、レイジ」
レイジはそう言われ、レイジは逃げた。
「私は逃がさない」
(まさか…、レイジを狙っている?)
赤い髪の女はカナエの剣を弾き、逃げるレイジを追いかけた。
(レイジは殺させない!)
赤い髪の女はレイジに追いつき、剣を振り下ろした。レイジも後ろを振り向き、黒い大剣を振り下ろす、赤い髪の女を見て転んだ。
カナエは走っては赤い髪の女には追いつけないと思い、空間魔法でレイジの所へ行き、レイジを庇った。
「がはっっっ」
赤い髪の女に黒い大剣で心臓をひと突きにされた。カナエは体から血が噴き出し、レイジに覆い被さるようにして倒れた。
「カナエ!カナエ!」
レイジはカナエを抱き名前を言った。
「僕たちが何したっていうんだ!僕たちは普通に生活していただけなのに」
レイジはそう叫んだ。
「お前はそうやって嘆く事しか出来ない」
赤い髪の毛の女はレイジにそう言った。
「お前は何なんだ!」
レイジは叫んだ。
「私の名前のことか?私の名前はアリス・レッドフィールド。未来から来たお前の姉だ」
「アリス姉さん?何の冗談だ」
「私は冗談が嫌いだと昔から言っているだろ、レイジ」
赤い髪の女、アリスは笑った。
「何でカナエを殺したんだ?」
レイジはアリスに問いかけた。
「私はカナエを殺してないよ」
「どういう…」
「ごほっ、ごほん」
カナエは息を吹き返した。
「カナエ!大丈夫か!」
「大丈夫みたい。何故か傷も塞がっているし」
カナエは刺された場所を触った。
「アリス姉さん、何で俺たちを襲ったんだ?」
「んー、それは言えないなあ。いつか分かる日が来るよ。じゃあね」
アリスはそう言い、その場を立ち去った。




