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35話 吸血鬼の王

「何だ?お前」

 僕の前に立ち塞がったのはフードを深く被った男だった。


「魔力…、固定」

 フードを被った男は凄いスピードで剣を振るった。僕は黒い大剣を作り出し受け止めた。

 

 僕は黒い大剣を振り、男を弾き飛ばした。

 フードを被った男は弾き飛ばされ、フードが脱げた。


「お前は…」

 僕は驚いた。死んだはずの男が目の前に居るのだから。


「フェリクス・ラスト!」

 僕は死んだはずの男の名前を呼んだ。


「久しいな、ユウイチ」


「何でお前は生きている。死んだはずだ!」

 僕は理解できなかった。


「エルドラドに殺されたのは私の影武者だ」


「ドレイクを殺したのはお前か?」

「そうだ」

 ラストはそうだ。


「なぜ殺した」


「奴は黒十字騎士の地位を利用し、沢山の人の人生を滅茶苦茶にしたから私が殺した」

「そうか…」

 僕はそれを聞いて納得がいった。


「悪いがお前も死んでもらおう」


「何で、僕は何も悪いことをしてないぞ」


「死にたくなければ全力で掛かって来い」

 ラストは剣を構えた。


「そっちがその気なら全力で行かせてもらう」


「暗黒解放:死と滅亡の運命(ラグナロク)

 優一は剣を持った右腕を横に伸ばし、黒い大剣を斜め下に向けた。頭の上には黒い天使の輪が現れ、黒い大剣からは黒い魔力が漏れ、身体から黒いオーラが漂った。


「ラストおおおおお」

 僕は叫び、剣を振り下ろした。ラストは受け止めた。


「……くっ」

 僕は幾度も剣撃を繰り出した。ラストはそれを受ける。


「貰った」

 僕は幾度も剣を振り、隙が出来た。僕はラストを殺そうとした。


「なっ…」

 ラストに僕の黒い大剣が当たる直前にラストは何かを唱えた。

 ラストの体は無数の黒いコウモリとなり僕の剣をすり抜けた。


「くそっ」

 僕は後ろに移動した。


「ユウイチ、もう君の攻撃は効かない」

「これが私の限定解放だ」

 ラストの周りに無数の黒いコウモリが飛んでいた。


「お前、その力を隠していたのか?お前、何者だ!!」

「私は黒十字騎士にいた頃はこの力を隠していた。私の正体は吸血鬼?いや、俺は吸血鬼の王(ヴァンパイアロード)だ」


「うおおおおおお」

 僕は走り出し、剣を振るった。ラストの体は無数のコウモリとなり自由自在に僕の攻撃を受け流した。


「お前、避けているだけでいいのか?」


「お前のその無敵状態も制限時間があるんじゃ無いか?」


「くっくっく」

 ラストは図星を突かれ笑った。


「ユウイチィィィ」

 僕とラストは剣を交えた。


「これで終わりだ」


(何だ…、その赤い光は)

 優一の黒い大剣から赤い光が放っていた。


「くっ…」

 ラストは僕の剣を防ぐがラストの剣は折れた。


(無駄だ、私に通常の攻撃は効かない)

 ラストの体は再び黒い無数のコウモリとなっていった。


「アブソリュート・バースト・アナザー」

 僕は叫んだ。


「があああっっ」

 ラストの無体の体が実体となり、ラストに赤い斬撃を浴びせた。



「お前の負けだ」

 僕は地に座っているラストに剣を向けた。


「ふふ、私の負けだよ」


「さあ、私に(とど)めを刺せ」

 ラストは血を吐きながらそう言った。


「ラスト、お前はここで死んでもいいのか?守りたいものは居ないのか?命乞いをしてでも足掻いてでも生きたいとは思わないのか?」

 僕はラストにそう言った。


「私には大切な家族が居るんだ。妻と娘が」


(そうだ、私は足掻いてでも生きなければいけないんだ!!)


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

 ラストは叫んだ。近くにあった自分の剣を手に取り、僕に立ち向かった。


「どうやらお前は生きたいらしいな」

 僕はラストの剣を防ぎ、そう言った。


「見逃してやる」


「何で…?」


「僕は生きたいと必死な奴を殺さないからだ」


「そうか…。ありがとう、ユウイチ」

 ラストは泣いた。


「ほら、これ飲め」

 僕は空間魔法で回復ポーションをラストに渡した。ラストはそれを飲んだ。ラストの傷は完治した。


「そういえば、何で僕を殺そうとした?」


「お前に恨まれるようなことをしたか?」

 僕は気になっていたので聞いた。


「いや。ユウイチ、お前は何も悪くないよ。上の命令でお前を殺そうとした」

 ラストはそう答えた。


「上の命令?お前、何処かの組織に属しているのか?」


「ああ、僕が所属しているのは冥府の十二使徒という組織だ」


「聞いたこと無いな。どういう組織なんだ?」


「私も入ったばかりなので詳しくは分からない。ただ冥府の十二使徒は十二人の強者で構成されているということだ。私は欠番の穴埋めに組織に入ったただの末席さ」


「お前は何のために組織に入ったんだ?」


「私は世界を危機に陥れる者を監視、抹殺しようとしていたから組織に入り調査していた」


「スパイみたいなものか」

「ああ、そうだ」

ラストは答えた。


「まあ、この話はまた今度じっくりしよう」

「そうだな」

 僕とラストは別れた。

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