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暗黒大景 / ANKOKU TAIKEI【パイロット版】  作者: 火山 千
第1部

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30/117

30話 

 大地から膨大な黒く深い赤の魔力が吹き出した。僕はもう自分の身体には魔力が残っていないので龍脈を使い魔力を集めた。龍脈から湧き出た赤い魔力が僕の剣に集まる。


「狂気に満ち、揺らめく赤き業火に全てを喰らい尽くす災いを齎もたらす破滅の力。大禍津日神(おおまがつひのかみ)と化す、我が力よ。我が呼び声に応え給え」

 僕は唱え始めた。僕は聖剣に龍脈の黒く深い赤の魔力を込めた。僕の周りに黒く深い赤のオーラが漂う。剣の持ち手から刀身にかけて聖剣は黒く深い赤のオーラが渦みたいに流れた。


「運命に呪われし我が力。全てを破壊し尽くし新たなる世界を創り変え給え。攻撃不可避の呪術をこの大技に付与する」

 そしてライラも唱え始めた。ライラは剣に有りっ丈の力を込めた。ライラの周りに紫のオーラの色の稲妻が走った。剣の持ち手から刀身にかけて紫の閃光が走る。ライラの剣は紫のオーラが渦みたいに流れた。

 そして両者とも最後まで唱え終えた。

「古竜固有魔法:火神災禍(かじんさいか)

 僕は剣を振り下ろし、龍脈を使って集めた赤い魔力を放った。この技は僕の持っている技の中で一番攻撃力のある災いの技であった。

「究極魔法:イル・ネア・ブラストオーバー」

 ライラは剣を振り下ろした。紫の斬撃を放った。

 ドオオオオオオオオオオオオオオオオンンンンン!!!!!

 赤い斬撃が紫の斬撃と打つかり合い、辺り一帯を吹き飛ばした。もの凄い衝撃と音が鳴り響いた。火神災禍を放った影響で周りの木々や地面が炎で燃え、黒く深い赤色の炎が揺らめいていた。


 

 僕は倒れていたが立ち上がり、剣を鞘にしまった。ライラは無傷で佇んでいた。

(ユウイチの様子がおかしい)

 ライラは無言で佇む僕を見て違和感を感じていた。

「まだ負けていない」

「俺はまだここで負ける訳にはいかないんだ!!」 

 僕はそう呟いた。

「!」

 ユウイチの剣は深い赤色の小さな炎となり、ユウイチの目の前に相対し、そして胸に入り込んだ。

「暗黒再臨・火境V2」

 僕は消え入りそうな声で唱えた。僕の剣が黒い小さな火となり、僕の胸に入った。空気中にある無数の膨大な魔力が僕を中心に集まる。僕の身体は少し浮かび、魔力は僕に向かって流れ、包み込み、宝石のような深い赤色の渦のような球体となった。そして球体は割れ地面に破片が落ちた。僕の宙に浮いていた足は地面に着いた。深い赤色の見たことの無い文字が書かれた首輪を身に付けた姿になり、僕の目の光は失われ冷たい目となった。足は化け物みたいな禍々しい深い赤色の三本鉤爪のみで足の爪の部分に二本、踵に一本の鉤爪だった。足の鉤爪が地面に突き刺さっており、鉤爪のみで身体を支えていた。人の頭を鷲掴みし、粉砕する事の出来るような大きな爪であった。

「くっ…」

 ユウイチの周りから大風が吹いた。ライラは吹き飛ばされそうになった。

「暗黒流動!!」

「ぐっっっ!!」

 僕は獣の手のように指と指の間を開けた。そして右手で斜め上に振り払う動作をすると色の無い透明の風の刃がライラに向かって行き、ライラに打つかった。ライラは見えない風の刃を剣で防いだ。

 普通の人なら今の攻撃を防ぐ事は出来ないであろう。しかしライラは今まで数多の戦闘を経験したから見えない攻撃も容易に防御する事が出来た。

「うらああああああああっっ」

 僕は身体を奇抜に動かし両手で振り払う動作を何度し、見えない無数の風の刃を作り出しライラに打つけた。ライラは風の刃を難なく剣で防いだ。

「があああああああああああああああああああっっっっ」

 僕は接近せんに持ち込もうとライラに向かって行き、手を握りしめ拳をライラの剣に打つけた。

「くっ…」

 僕は何度も拳を打つけライラの隙を探った。ライラも負けじと剣を僕に打つけた。僕の拳は硬いので剣に打つかっても無傷だった。

「!」

 僕は何度も攻撃をした中で隙を見つけ、ライラの身体に重い拳を打つけた。

「うっ!!」

 ライラは僕の拳で後ろに吹き飛んだ。

 僕は透かさずライラに距離を詰め、ライラに無数の拳を打つけた。ライラは剣で僕の攻撃を防ぐが何発かは攻撃を防げず、攻撃を食らった。

「もう終わりだ…」

 僕はそう呟いた。ライラは両膝と両手を地に突けて四つん這いの状態であった。そもそも一振りの剣と両拳。どちらが有利なのかは明白だった。

「まだ甘いな。もう勝った気か?」

「何だと!?」

「ぐっ!!」

 僕がライラを起き上がらせようとするとライラは小さな風の玉を僕に打つけた。僕は遠くまで吹き飛ばされた。


「これで最後にしよう。お前の持っている最強の技でこの戦いは終わる」

 ライラは立ち上がり、剣を鞘にしまった。

火祟火術(かすいかじゅつ)火景火羅万象(かけいからばんしょう)(ぎょく)

 ライラが両手の平を合わせると深い赤色の二頭の大きな龍がライラの両側に現れた。

「悪いがお前の力、私が使わせて貰うよ」

 ライラは勝ち誇った様子で僕にそう言い放った。

「何だ、その構えは…」

 僕は身体の重心を低くした状態で獣のような構えの左手をライラに向け、右手を左手から見て三時の方向に獣の手のように折り曲げた手の指の第二関節を向けた。

 両手はくっ付けず、隙間を空けた。ライラは今まで見た事の無い構えをユウイチがしているので少し動揺した。

「まあ、いい。死ね」

ライラは僕に向けて深い赤色の龍を放った。龍は地面を削り取りながら僕に向かって行った。

「暗黒流秘義:大禍津日神(おおまがつひのかみ)

 僕は叫んだ。僕は目に見えない圧縮した風の力を出した。この大技は空気を圧縮し、放つ事で神速の域に達し、そして物凄いパワーを秘めた物だ。

 二つの力は打つかり合い轟音が轟いた。

 砂埃が立ち込めていたが消え、二人の姿が見えた。

「!」

ライラは驚いた。僕は黒い渦の球体に包まれていた。そして球体は割れ破片は地に落ちた。


暗黒咆哮あんこくほうこう黒い牙くろいきばV2ブイツー

 僕は咆哮した。僕の両手の全部の指先から黒いオーラが煙のように上に上がっていた。深い黒色の見たことの無い文字が書かれた首輪を身に付けた姿になり、足は化け物みたいな禍々しい三本鉤爪は黒色に変わった。

「………」

 僕は獣のような走りをしてライラを中心に回った。物凄いスピードで移動しているため黒いオーラの残煙が僕の後ろから流れ出ているかのように見えた。

(来るッ!!)

ライラは僕の攻撃を察知し、警戒を強めた。

ガッ!!

僕はライラに一直線に向かって行き、指の爪をライラに振り下ろした。

「!」

ライラは強固なバリアを作り出し僕の攻撃を防いだ。

「!」

 だがバリアに(ひび)が入った。

「くっ!!」

ライラはバリアを大きくし、僕を弾き飛ばした。

「………」

僕は空中で回転し、着地した。ライラのバリアは元の大きさに戻った。

「ガアアアアアアアアアッ!!」

僕は指先から流れ出る黒いオーラの出力を上げた。黒いオーラが上に向かって流れ出る。

「………」

僕は獣のような姿勢になり、右手を横に伸ばし爪を立てた。爪から黒いオーラが煙のように上に上がる。

(どうやら次の一撃で決めるようだな…)

(来い!ユウイチ)

ライラはバリアをより強固にした。

僕は物凄いスピードでライラに向かって行った。

暗黒の尖い爪(ダークネスクロウ)!!」

僕は右手の尖った爪でライラの強固なバリアを破壊しライラの身体を引き裂いた。ライラの身体から血が噴き出した。ライラは片膝を地に突けた。

「どうやら私は負けたようだな…」

 ライラは左腕から流れる血を右手で押さえながら荒い息を吐いていた。どうやら先の攻撃は(ただ)では済まなかったようだ。

「………」

 僕は攻撃の後、仰向けに倒れた。意識を失った。僕の竜人の姿と身につけていた装備は消え、元に戻った。ライラは僕の前に立ち見下ろしていた。


「レオ!!」

 アリアと一緒にいたレオが僕の方へ走って行った。ライラの目の前に立ち僕を庇うように両手を広げた。

「お父さんを虐めないで」

 レオはそうライラに言った。

「もう虐めないよ」

 ライラはレオの頭を撫でた。

「!」

 僕は目を覚ました。レオは僕が目を覚ましたのを気が付くと僕に抱きついた。

 僕はレオの頭を撫でた。

「もう私はお前達と敵対するつもりは無い。私の負けだ」

 ライラは僕らにそう告げた。

「ユウイチー!!」

 エリナが僕の名を呼んだ。ぞろぞろとこちらにやって来た。どうやら魔力が吹き出したお陰でエリナ達は僕らが居る場所に気がついたのだろう。

「ルナ、早速で悪いがお前にやって貰いたい事がある」

 僕はルナにそう言った。

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