29話 死の剣:アロンダイト
「あ、起きた」
ライラは目を覚ますのを僕は側でじっと待っていた。ライラは目を覚ました。
僕がライラの頭に蹴りを入れた後、ライラは少しの間、気絶していた。
「アンタの身体、僕の回復魔法で全回復させたから」
「………」
僕はそうライラに言った。
「まだ戦えそうだね」
僕はライラの顔を見てそう呟いた。
「ユウイチ。お前、まさか私を自分の戦闘経験値上げの為に戦わせ回復させているんじゃないよな」
「ああ、そうだよ」
僕は答えた。
「まるでオモチャ扱いだな」
ライラは少し笑った。
「アンタはアリアとレオを自分の都合で玩具扱いした。俺はそれをお前にやり返しているだけだよ」
「………」
僕がそう言うとライラは悲しそうな目をしていた。
「さあ、早く立ち上がって僕と戦え。お前を回復させるのに僕の魔力の大半使い果たした。だからお前には勝機が無い訳では無い」
「お前には膨大な魔力を上げたんだ。もっと僕を楽しませろ。そして壊れるまで僕の手のひらで踊れ」
「………、武器顕現」
ライラは剣を出した。
「空よ…」
ライラが呟くと空には雲一つ無い快晴だったが、黒い雲が現れ、空を覆った。
「究極魔法:紫の雷」
ライラは唱えると黒い雲から紫の雷が僕に目掛けて落ちてきた。
「暗黒防壁」
僕は深い黒色の丸いバリアを自分を中心に展開し、紫の雷を防いだ。
「紫の雷よ、纏え」
紫の雷はライラの突き出した剣に落ちてきた。紫の閃光が剣に走る。剣に紫の雷が纏った 。
「ほう、やる気だな」
僕は剣を鞘から抜いた。
「死の剣:アロンダイト。暗黒咆哮」
僕はそう唱えると、剣から黒い炎が溢れ出した。黒い炎は揺らめいていた。
「削れ!!」
ライラは紫の雷を纏った剣を振り回すと、纏っていた紫の雷が地面を削り取り、僕に向かって行った。
「斬り裂け」
僕がそう呟き、死の聖剣を振った。地面を削りながら来る紫の雷と黒い炎が打つかった。
黒い炎は紫の雷の力に負け、大半が消えた。
「流石だな。これはどうだ?」
「全てを喰らい尽くせ」
僕は下から上に剣を掬うように振り上げた。黒い炎は斬撃となりライラに向かって行った。
「くっ…」
黒い炎の斬撃の威力は凄まじく、ライラは全力の力を出し、蹴散らすので精一杯だった
「まだこんな物じゃ無いよ」
僕は剣を振り、三つの大きな黒い斬撃をライラに打つけた。辺りは黒い炎が燃え、揺らめいていた。
「………」
ライラはバリアを張り黒い炎の攻撃を防いだ。
「!」
そしてライラはこちらに向かって走り出した。どうやら遠距離戦だと不利になっている事に気がついたようだ。
「揺らめく黒い炎よ」
僕は大きな黒い斬撃をライラに打つけた。
ライラは自分の身体を紫の雷で包み、黒い斬撃に突っ込み、僕の元へ走った。
「!」
僕は驚いた。普通の奴ならこの斬撃に臆して避ける筈。だがライラは違った。黒い炎に臆することなく突っ込んで来た。黒い炎は消え、ここまでライラは僕に近づいた。
「剣術なら僕に勝てるだと!!」
「くっ…」
ライラの研ぎ澄まされた剣撃を僕は後ずさりしながら受けた。
「くそ…」
ライラの怒濤の反撃に僕は臆し、防御に回った。
「くそ、くそ、くそおっ!!」
ライラの繰り出される華麗なる剣撃に僕は自分の実力の無さを呪った。
キンッ。
僕の剣はライラに弾かれ僕の手から離れた。
「負けた…、完敗だ…」
僕は地に跪いた。
「剣術の差が出たな…。ユウイチ。お前は自分の膨大な力に頼りすぎている」
「ああっ…、ああ」
僕は悔しくて涙を流した。僕は決して剣術を疎かにした訳では無い。敵と戦う中であまり剣術を使う事が無かったからこうなった。
「ユウイチ、武器を取りな」
「終わりだ」
僕はライラにそう言われたが何もしなかった。もう疲れ切っていた。
「武器を取れ」
「もう終わりだ…」
「武器を取れと言っているんだ!!」
ライラは僕に怒鳴った。
「敵に敵わなかったら諦めてそこで終わりか?」
「お前には命懸けで守りたい家族がいるんじゃ無いのか?」
ライラはそう僕の心に訴えた。
「そうだ…。俺には守らなくちゃいけない家族がいるんだ」
僕は立ち上がった。
「そうだ。頑張るんだ、ユウイチ!!」
ライラは僕を見て腕を組みながら深く頷いていた。
僕は剣を手に取った。
「俺はアンタには勝てない。だから僕は貴方に渾身の大技を打つけます」
僕は剣を構えた。
「それで良い」
ライラは頷いた。




