28話 死の耳飾り:ヌト
「死の指輪:アダト、能力顕現」
僕は指輪を嵌めている右手を自分の顔の前に出し、そう呟いた。
死の指輪:アダトは相手が放った魔法を吸収し、吸収した魔力に応じて本来使えない力や武器を使えるようになる代物だ。
「暗黒彗星」
そうすると空から沢山の暗黒の彗星が降ってきた。
「紫電防壁!!」
ライラは力を溜めながら、自分を覆うバリアを張ったが暗黒彗星が数多、結界に打つかり罅が入った。あと数発、暗黒彗星が結界に打つかればバリアは壊れ、暗黒彗星に直撃し大ダメージを受ける事になるだろう。
「くっ…」
ライラは集めて放とうとした黒い塊の力を結界に注ぎ込み、防御に徹した。
「あともう少しだな…」
「火祀火術:火景火羅万象・火刃」
バリンッッ!!
僕は手の平を合わせ唱えた。紫の竜となったライラの周りに無数の大きく深い赤色の火の刃が出現し、紫の竜のバリアに火の刃が一斉に刺さり、バリアを突き抜け、竜の身体に火の刃が刺さった。 無数の火の刃は禍々しく深い赤色で燃えていた。
「があああああああっ」
全ての力を防御に回しても火刃の威力には敵わなかった。
ライラは空から地上に落ちて来て元の姿に戻った。
「うっ………」
ライラは身体から血を流していた。ライラは流れる血を手で塞ぎ痛いのを我慢しているようだった。
「もう終わりか?」
「………」
僕はライラにそう聞き、ライラは何も答えなかった。
「死の耳飾り:ヌト、能力顕現」
「全回復」
僕はライラに手を向けるとライラの真下に魔方陣が現れ、光だしライラの傷を癒やした。
「何故、私を回復させた?」
ライラは僕に聞いた。
「僕はお前とまだ戦いたいから回復させた。安心してくれライラ、耳飾りの能力は一日一回しか使えない。この指輪と首飾りもだ。だからお前に勝機が無い訳では無い」
僕はそうライラに言った。
「ユウイチ、お前イカれているよ」
ライラは僕にそう言った。
「ああ、忘れていた」
僕はそう言い、ライラに再び手を向けた。
「死の首飾り:エンリル、能力顕現」
「能力破壊」
僕は唱えるとライラの古竜化の能力を破壊した。
「古竜化は厄介だから破壊させて貰ったよ。僕も古竜化をこの戦いで使わないし良いでしょ」
僕はそう言うとライラは立ち上がった。
「僕はまだ満ち足りない。もっと命をすり減らすような戦いがしたい」
「さあ始めようか」
僕は両手を外に広げそう告げた。
「私を回復させた事、後悔するがいい」
「紫電竜拳」
ライラは自分の拳に紫電のオーラを纏わせた。
「ほう。拳で勝負か…、良いね」
「暗黒竜拳」
僕は拳に黒いオーラを纏わせた。
ライラと僕は互いに構えた。
「行くぞ、ユウイチ!!」
ライラは僕の方へ向かってきて拳を振るった。
「良いね、良いよ!」
ライラは両手の拳で僕に何度も打つけ僕は後ずさりしながら全ての攻撃を防御した。
「こんなもんか?ああ?」
僕は攻撃に転じた。僕は流れるような拳での連撃を繰り出した。
「くっ…」
ライラは僕の連撃を受け後ずさった。
「まだ、まだあっ!」
僕は拳での攻撃に蹴りも加えた。
「ぐっ!!」
僕はライラの顔に向けて蹴りを入れた。当然、ライラは防ぐが僕の蹴りは重く手が痺れるような感覚が襲った。
「!」
僕はライラに防がれた右足を素早く戻し、自分の左足でライラに蹴りを入れた。
「まだ、まだ足りない」
互いに好戦的に拳と蹴りを混ぜ、力を打つけあった。
「もっと見せてくれ、貴方の力を!!」
僕はそう言い、何度も攻撃を打つけ隙が生まれた。
「おらああっ!!」
僕は空中回転蹴りをし、足をライラの頭に打つけた。
「がああっ!」
ライラは僕の空中回転蹴りを受け、地に倒れた。




